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「ちょっと痩せたか?」

 呼び出したハーレムと対面して開口一番に言われたので無言で眼魔砲を放つ。だが首を軽く傾げるだけでたやすく避けられ、咥えた煙草の先を焦がしただけだった。
「悪ィな。ちょうど煙草の火がほしかったトコだ」
 そう言いながら笑われた時に覚えたムカツキをどう表現していいのやら。とりあえず無視していると突然顎を捕まれて無理やりに上を向かされた。
「おいおい。冗談じゃなく痩せてないか? ちゃんと食ってんだろうな?」
「うるせぇ。放せ」
 無礼な手を払いのけ、シンタローはおもむろに立ち上がりながら内心で毒づいた。

――ああ、確かに体重は落ちたとも! 悪かったな!!

 たとえ内心でも『痩せた』とは認めたくないらしい。
 なれない総帥業の激務のせいということもあるが、本当の原因がこの体だ。十八歳のまま時が止まったジャンの体は元のシンタローの体よりずっと筋肉が薄かった。激務の合間をぬって筋トレをしたところでなかなかもとの体に近付かない。

――くそぉ、なんて筋肉のつきにくい体なんだ!

 どうやら個体差のせいで筋肉が落ちたことがよほど悔しいらしい。シンタローは苦虫を噛み潰したような顔でハーレムに突きつける資料のファイルを棚から出そうと無防備に背中を向けた瞬間。
「!!!」
 あろうことかハーレムが背中からシンタローを抱きしめて、その上トドメの一言。
「ま、俺的にはこれくらいの方が抱きやすくてちょうどいいがな」
「……が」
「が?」
 からかうようなハーレムの声。
「眼魔砲――――!!!」
 これも半身を捻って避けられ消滅したのは総帥室のドアだけ。
「出てけ! 二度と俺の前にその面ァ出すな!!」
「おう、そうさせてもらうぜぇ」
 にやりと笑い紫煙をくゆらせながら部屋を出るハーレムの後姿を見て、ハッと気づいて慌てて呼び止める。
「オイコラちょっと待てオッサン…!」
 だが、時すでに遅し。ハーレムの姿はそこにない。即座に廊下に出て憎らしいその背中に怒鳴る。
「テメェ、その前に借金返していきやがれ―――!!」
 廊下の向こうでハーレムが煙草を持ってひらひら手を振る。

――……してやられた……!!

 ハーレムはシンタローが横領の物証を掴んだ事を知っていたのだ。――と、言ってももとより小細工を施して隠すような小狡いこともしていなかったのだが――。知っていて話をはぐらかしたのだ。
「くそっ、どこまでセコいオッサンなんだ!」
 手にした資料を握りつぶしながら吐き捨てるが、それを受け取るべき相手はすでに見えない。
 シンタローはため息を一つついて執務室に戻り内線を手に取った。
 とにかく眼魔砲で焦げた壁と無くなってしまった扉を直してもらわないと。秘書達もそこは慣れたもので、これくらいの仕事なら眉一つ動かさず処理してくれる。
 二度と姿をあらわすな、と言ったところで一応は一族であるヤツとはすぐに顔をあわせることは必至だ。受話器を置きながらシンタローは強く心に誓う。

――次に会う時までに三キロ増やしてやる……!

 シンタローにとって横領された三億より傷つけられたプライドの方がよほど重要らしい。







END。。。。。






『プライド』












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ハレシンと呼ぶにはあまりにもおこがましいのでハレ+シン
この二人はVSな関係もけっこう好きです。
でもハレシンはも――――っと好きですv(某引越しセンターのCM風に)

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