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戦闘の指揮やデスクワークと言った仕事ばかりで戦闘の前線にはほとんどでないが、総帥の手はそれほど奇麗という訳ではない。傷もあるし、グンマの実験に付き合わされてついた傷なんかもある。
重なった傷の、一番上。わずかに皮膚が剥がれて赤くなっていた。空気に触れれば痛むその場所を見て、シンタローは思わず顔をしかめる。舐めるつもりがつい噛んでしまったとあの男はいつもの顔で言った。そんな馬鹿な事があるかとシンタローは言った。けれどそれも、乱暴な愛撫でごまかされうやむやになってしまった。
「・・・ちっ」
舌打ちをしてはみたものの、それすらあの男の思うままなのではないかと思いシンタローは頭を抱えた。

獣だった。
それも、猛毒を持った獣だ。
決して即効性ではない。じわじわとめぐる毒が、次第に体の自由を確実に奪って行く。
毒に地に伏す自分を見下ろし、ハーレムはやはり笑うのだろう。
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