シンタローは、青の一族の直系であり、一番強い力を持つ兄、マジックの息子であるが、一族の象徴ともいえる秘石眼を持たず、黒眼黒髪の平凡な少年だった。彼は平凡であるが故に並々ならぬ努力をしてきた。
マジックの息子の肩書に、いつも重苦しい重圧に、人の好奇の目に堪えて、その肩書を嫌ってはいたが、イヤ、本心は嫌っている訳ではないのだろう。
きっと比べられるのが嫌なのだ。
生まれながらの覇王と、平凡な自分を。
シンタローは昔からサービスが好きだった。
猫っ可愛がりするおちゃらけた父親より、クールな叔父が。
何だかサービスだけは自分を一人の人間として、男として扱ってくれる。そんな感じがしたのだ。
そんな叔父と修業を始めて1年が過ぎた。
今までも華奢だった訳ではないが、筋肉も付き、一族の奥義眼魔砲をも会得する為修業を続けている。
顔も、少年らしさの残るあどけなさは消え、替わりに凜とした青年の顔付きに変わる。
そうする事で嫌でも思い出してしまう、自分が殺した親友を。
子供の時から似ている、と思っていた。
だが、成長するにつれ、似ているとか言うレベルではなくなってきている。
うり二つなのだ。
親友の生まれ変わりなどと、非化学的な事すら思ってしまう。
「シンタロー。そろそろ暗くなってきた。今日はこの辺で止めておこう。」
「ハイ。叔父さん。」
サービスの言葉に素直に従うシンタローに、サービスは少し笑った。
自給自足の生活なので、食料の調達もしなければならない。
いつものようにシンタローが行こうとすると、サービスがシンタローの肩に手をかけた。
不思議に思いシンタローはサービスを見る。
「どうしたの?叔父さん?」
「今日は俺も一緒に行こう。」
その発言にシンタローは目を丸くした。
食料の調達はかなり危険が伴い、体力も消耗する。
サービスなのだから危険、の部分は大丈夫だとしても、シンタローとしては大好きな叔父に疲れさせる事はさせたくない。
ただでさえ修業をしてもらっているんだから。
「い、いーよいーよ!俺一人で大丈夫だから!」
「シンタロー、俺と一緒に居るのはそんなに嫌か?」
悪いと思って言ってるのに、お門違いな事を言われてシンタローは慌てて反論する。
「違うよ!俺、叔父さんの事大好きだもん!叔父さんに苦労かけたくないっていうか…」
シンタローは頭をかき、何と言えばいいのか考える。
「気にする事はない。俺がお前と一緒に行きたいだけなんだから。」
そう、綺麗な笑顔で笑われれば、シンタローは頬を赤らめて黙るしかない。
シンタローとて、この美貌の叔父と一緒に居たいのだ。
沈黙を肯定と理解したサービスは、シンタローの背中をポン、と押し出発を促す。
シンタローは、嬉しさと申し訳なさが混ざった感情の中、サービスと歩き始めた。
食料を取る場所は決まっている。
この辺りの荒野では町も民家もない。
ないのだ。ガンマ団が破壊したあの日から。
沢山の兵器を使用し、全てを壊し尽くした場所ではあるが、草花はそれでも懸命に生まれてくる。
余り被害のなかった場所、今居る山を下り、谷を越えた次の山なのだが、走って往復で4時間以上はかかる。
それも修行の一貫と理解しシンタローはいつも行っていた。
いつものように走り出そうとすると、サービスに肩を引き止められる。
「待て。」
不思議に思いサービスを見る。
「今日は歩いて行こう。知識の面で話したい事もある。」
「でも叔父さん、走らないと夜迄に着かないんじゃ…。」
「ああ。だから俺も一緒に行くんだ。」
サービスはそう言ってシンタローの隣を歩いた。
サービスの話は、体術について、兵器について、そして、戦術についての話で。
体術がいくら出来ても兵器には敵わない。いくらいい兵器を持っていたとしても戦術がなければただの鉄クズ。戦術が得意でも、実行出来る体術がなければ意味がない。つまり、この三つができて初めて一人前になれるのだ。と言うような内容の話をされた。
シンタローは何度も頷き、サービスの言葉を聴き入る。
「お前のそうゆう所がジャンには似ていないな。」
「ジャン?」
儚気に笑うサービス。
聞いた事のない名前にシンタローは思わず聞き返した。
ミステリアスなこの叔父の過去がもしかしたら聞けるかもしれないという期待。
シンタローは少しでも、この叔父の事が知りたかった。
「ああ。この間話した俺の親友の名だ。お前によく似ていたよ。双子かとみまごう位にね。」
そう言ってシンタローの髪を撫でるサービスは、とても穏やかな顔をしていて。
その瞳が恋をしている目だと瞬時に解ってしまって、シンタローの心はツキリ、と痛んだ。
そして思う。もしかして、自分を可愛がってくれているのは、その親友に似ているからという理由なんじゃないか、と。
そんな不安を心に残しながらシンタローはサービスと歩く。
それに、そんな事を聞けないし、聞きたくなかった。
だってもし、そうだ、と叔父の口が動いてしまったら、シンタローのこの淡い初恋は一瞬にして終わるし、明日から叔父をいつものように見る事ができないから。
臆病者なのかもしれないが、恋をすれば誰でもそうなるだろう。
「この辺りか。」
サービスの声でシンタローは我に返った。
見渡せばいつも自分が食料を取りに来る場所で。
「俺も昔、ジャンと取りに来た事があるんだ。」
また、ジャンの事。
確かにこの場所はサービスがシンタローに教えた場所。
サービスが知っているのになんら不思議はない。
でも、親友と来ていたのか、と、思う。
冷静に考えれば当たり前で。
ここで戦闘が行われ、二人を残して壊滅状態だったと聞く。
だとしたら食料を求め二人でここまで来たとしてもそれは至極当然の事だ。
「そ、そうなんだ。」
声が上擦らないように、シンタローはボソボソと話す。
そして、自分はポーカーフェイスなんて器用なマネが出来ないから、いそいそと食料を摘む為、肩にかけてきた籠を置いた。
サービスを見ないように。
動物を捕まえる為の罠の場所に歩いて行こうとした瞬間、後ろからサービスに抱きすくめられた。
時が、止まる。
ザワ、と、風が辺りの木々と二人を撫でてゆく。
背中から伝わるサービスの体温と、胸から伝わる心臓の鼓動。
ドクン、ドクン、と、波うっている。
辺りは既に暗くなってはいたが、今宵は満月で、シンタローは自分の顔が赤いのがサービスにバレないかと心配だった。
耳にかかるサービスの吐息。
どうしたのだろう。
そう思ってサービスの方へ向き直そうとしたが、それは叶わず、シンタローはサービスに押し倒される形になった。
せめて顔だけでも見ようと振り返ると、いきなり唇を塞がれる。
「―――ッッ!?」
苦しい体制の中、サービスの綺麗な唇の感触だけがシンタローを支配する。
苦しくて、息をつごうと唇を少し開けると、そこからサービスの舌が侵入してきた。
まさかサービス叔父さんは、ジャンと俺を間違えてるんじゃ…
そう思った瞬間、シンタローはサービスに体当たりをした。
少しよろめいた拍子にシンタローは間合いを計る。
そして、赤く上気した顔が見えないよう影に隠れてから言い放つ。
「俺は叔父さんの親友じゃない。」
唇を腕でゴシゴシふいた。
嫌だった。誰かの代わりにされる事が。
まして好きな人の思い人なら尚更で。
逃げようとするが逃げられない。
サービスとシンタローの力は歴然としている。
叔父に限って無理矢理とかそうゆう事はないだろうが、それでも怖い。
本気になっても叶わない相手だから。
「知っているよ。」
夜空のシン、とした空気の中、サービスが呟いた。
まるで消えそうだったが、しっかりとしていて耳に残る何とも不思議な声色だった。
「彼は死んだ。俺が殺した。死んだ者は生き返らない。」
ザク、ザク、と一歩一歩踏み締めるようにサービスはシンタローへと近づく。
「だけどシンタロー。お前の事をジャンと重ねた事は誓ってない。」
その言葉をサービスが吐いた時、シンタローの頬にサービスの白魚のような指が振れ、もうこんな近く迄来ていたのかとその時解った。
サービスの指は冷たくて、サービスをシンタローは見上げる。
何時もの綺麗な顔だった。
サービスの青い瞳を見る。
吸い込まれそうな青だった。
端正な顔立ちと、それにそぐ海のような青い瞳。
この人の前では嘘をつけない、ついてはいけない気持ちになる。
「叔父さん、本当に?」
「ああ。髪も、瞳も、全て違うよ。それに…」
「それに?」
「アイツは親友ではあった。だが、お前を目の前にした時のような劣情はよもおさなかったよ。」
俺はそうゆう意味でお前が好きなんだよ。
耳元で囁かれて、シンタローは全身に甘い痺れが走るのを感じた。
「奮えないで。」
そう言われ抱きしめられたと同時に自分は奮えていたのだと知る。
温かい体温に包まれ、微かな安らぎさえ覚えた。
そして、頭をあやすように撫でられ、唇が触れ合う。
ちゅ、ちゅ、と啄まれ、歯をなぞられた。
顔が熱い。
でもそれ以上に心臓が痛い程高鳴っていた。
「おじさ…」
はぁ、と、熱い吐息を吐きながら、シンタローがサービスを呼ぶ。
サービスは人差し指をシンタローの唇に当てた。
「サービスだよ、シンタロー。いいかい?」
コクコクと、シンタローは頭を上下に振る。
ぼぉっとした頭の中でシンタローは嬉しさを噛み締めていた。
叔父さんも、俺の事好きでいてくれたんだ。
そう思うと、こんなに自分は幸せでいいのかとさえ思う。
「シンタロー。」
散々熟された若い体を、ツツ、と、指でなぞる。
「一人でシてご覧。」
「え…?」
一瞬何を言われているのか解らなかった。
シンタローは、目を大きく開く。
「シンタロー。俺の言っている意味が解らないのか?」
ふぅ、と綺麗な唇からシンタローの耳に息がかかる。
ビク、と、シンタローは震えた。
そんな事を言われても、どうしていいのかわからない。
でも、長い修業生活で身についてしまっている主従関係。
サービスには逆らえない。逆らってはいけない。
そう叩き込まれている。
「やり方が解らない訳じゃないだろう?一人でシた事がないなんて言わせないよ。」
もう体は大人なんだから。と、付け足される。
サービスの指がシンタローの腕を絡めとる。
そして、促すように、ズボンの渕へとシンタローの手を置いた。
「見ててやるから上手にしなさい。お前が俺を好きだと証明して御覧?」
美貌の叔父が月明かりに照らされて、いつもより妖艶に見えた。
シンタローはヒク、と、喉を上下に動かしてから、意を決したように日焼けして小麦色になった指をボタンとジッパーにかける。
カチャカチャと、震えている指が上手く動かない。
「焦らなくていい。ゆっくりでいいんだ。」
そうサービスが言うが、サービスの声が音として耳には入って来るものの、その言葉の意味を理解できる程シンタローは冷静ではなかった。
ようやくボタンを外す事ができて、ジィ…と、金属音が響く。
そこからシンタローは止まってしまった。
半分パニックになっている頭は、何故こんな事をしなければいけないかという疑問よりも、俺は何時もどうやっていたのか思い出せないという方が強かった。
助けを求めるようにサービスを見ると、綺麗に伸びた白い指でサービスがシンタロー自身を取り出す。
半分勃ち上がっているソレをサービスは上下にグラインドさせた。
そして、快楽に顔を歪ませるシンタローの唇に又キスを落とす。
「ふ、うン…」
シンタローが切なそうな声を上げ始め、自身からテラテラと、半透明の液体が垂れ、サービスの指を濡らした。
「ん、あ?」
サービスの指が離れて、シンタローは疑問の声を上げる。
止めないで欲しいと、思ってしまった自分を恥じた。
「ホラ、シンタロー。続きは自分で出来るだろう?」
そう言われ、己の手を自身に宛がわれる。
恥ずかしくて正直嫌だったが、サービスの言う事は聞かなければならない。
それに、この体のほてりは既に言い訳のできない所迄きていた。
恐る恐るではあるが、シンタローは確実に自慰を始めた。
くち、くち、と、粘膜の擦れる音が聞こえ、それを出しているのも、音を作っているのも他ならぬ自分であると思うと羞恥心が掻き立てられる。
うっすらと、薄いサービスの唇が三日月のように笑っている。
「ン、は、はぅ…」
吐息が漏れる。
「気持ちいいのか?シンタロー。」
クスリ、と音を立てて笑われれば、シンタローは恥ずかしさの余り下を向く。
でも、下を向けば己の直立したモノを直視しなければならなくなる。
だから目線を斜めに反らした。
俺は今、サービス叔父さんに一人で慰めてる所を見られてる。
見られてるんだ。
そうは思うが、既に熟されてしまった熱い体に理性は効かない。
いや、反対に段々興奮してきている。
見られているという快感。
家族も、親戚も、学校も、全てにおいてシンタローはストイックだった。
性に目覚め始めた今という青春時代は特にストイックに生きていかざる得ない状況に置かれていて。
何故なら寮は二人部屋、もしくは三人部屋が主で、一人部屋なんて言うものはない。
だから自慰なんてできないし、厳しい士官学校生活ではそういった類いの雑誌及びビデオなんてものもない。
何時も何処でも軍と規律なのだから。
久しぶりの快感と、サービスに見られているという背徳感から、既にシンタローはイキそうだった。
「ンあ!サービスおじさ…ッ!おれ、も…もぉ…」
目に生理的な涙を溜めてサービスを見る。
「もう、何?」
解っているくせにサービスは意地悪な質問をする。
このストイックな甥に卑猥な言葉を言って欲しい。
体だけじゃなく、心も犯してしまいたい。
サービスのサディスト心がふつふつと沸き上がる。
「―――ッ」
シンタローは恥ずかしいのか、言えなかった。
その為、手が止まる。
「シンタロー、どうしたんだい?休んでいい、と俺は言った覚えがないが。」
そして、ツツ…と長い指を下から上に持って行き、シンタローの先端を人差し指で円を描くようにクルクルと弄ぶ。
「アアン!お、サービスおじさ…ッ!や、やめて!!」
左手でサービスを静止させようとするが、今度は強く尿通を押さえられ、シンタローは切なそうな声を上げる。
「も、ダメ!ダメェ!!」
シンタローが息を詰めたかと思うと、ビュルビュルと、シンタロー自身から白濁の液が飛び散り、シンタローの顔と、サービスの腕を濡らした。
マジックの息子の肩書に、いつも重苦しい重圧に、人の好奇の目に堪えて、その肩書を嫌ってはいたが、イヤ、本心は嫌っている訳ではないのだろう。
きっと比べられるのが嫌なのだ。
生まれながらの覇王と、平凡な自分を。
シンタローは昔からサービスが好きだった。
猫っ可愛がりするおちゃらけた父親より、クールな叔父が。
何だかサービスだけは自分を一人の人間として、男として扱ってくれる。そんな感じがしたのだ。
そんな叔父と修業を始めて1年が過ぎた。
今までも華奢だった訳ではないが、筋肉も付き、一族の奥義眼魔砲をも会得する為修業を続けている。
顔も、少年らしさの残るあどけなさは消え、替わりに凜とした青年の顔付きに変わる。
そうする事で嫌でも思い出してしまう、自分が殺した親友を。
子供の時から似ている、と思っていた。
だが、成長するにつれ、似ているとか言うレベルではなくなってきている。
うり二つなのだ。
親友の生まれ変わりなどと、非化学的な事すら思ってしまう。
「シンタロー。そろそろ暗くなってきた。今日はこの辺で止めておこう。」
「ハイ。叔父さん。」
サービスの言葉に素直に従うシンタローに、サービスは少し笑った。
自給自足の生活なので、食料の調達もしなければならない。
いつものようにシンタローが行こうとすると、サービスがシンタローの肩に手をかけた。
不思議に思いシンタローはサービスを見る。
「どうしたの?叔父さん?」
「今日は俺も一緒に行こう。」
その発言にシンタローは目を丸くした。
食料の調達はかなり危険が伴い、体力も消耗する。
サービスなのだから危険、の部分は大丈夫だとしても、シンタローとしては大好きな叔父に疲れさせる事はさせたくない。
ただでさえ修業をしてもらっているんだから。
「い、いーよいーよ!俺一人で大丈夫だから!」
「シンタロー、俺と一緒に居るのはそんなに嫌か?」
悪いと思って言ってるのに、お門違いな事を言われてシンタローは慌てて反論する。
「違うよ!俺、叔父さんの事大好きだもん!叔父さんに苦労かけたくないっていうか…」
シンタローは頭をかき、何と言えばいいのか考える。
「気にする事はない。俺がお前と一緒に行きたいだけなんだから。」
そう、綺麗な笑顔で笑われれば、シンタローは頬を赤らめて黙るしかない。
シンタローとて、この美貌の叔父と一緒に居たいのだ。
沈黙を肯定と理解したサービスは、シンタローの背中をポン、と押し出発を促す。
シンタローは、嬉しさと申し訳なさが混ざった感情の中、サービスと歩き始めた。
食料を取る場所は決まっている。
この辺りの荒野では町も民家もない。
ないのだ。ガンマ団が破壊したあの日から。
沢山の兵器を使用し、全てを壊し尽くした場所ではあるが、草花はそれでも懸命に生まれてくる。
余り被害のなかった場所、今居る山を下り、谷を越えた次の山なのだが、走って往復で4時間以上はかかる。
それも修行の一貫と理解しシンタローはいつも行っていた。
いつものように走り出そうとすると、サービスに肩を引き止められる。
「待て。」
不思議に思いサービスを見る。
「今日は歩いて行こう。知識の面で話したい事もある。」
「でも叔父さん、走らないと夜迄に着かないんじゃ…。」
「ああ。だから俺も一緒に行くんだ。」
サービスはそう言ってシンタローの隣を歩いた。
サービスの話は、体術について、兵器について、そして、戦術についての話で。
体術がいくら出来ても兵器には敵わない。いくらいい兵器を持っていたとしても戦術がなければただの鉄クズ。戦術が得意でも、実行出来る体術がなければ意味がない。つまり、この三つができて初めて一人前になれるのだ。と言うような内容の話をされた。
シンタローは何度も頷き、サービスの言葉を聴き入る。
「お前のそうゆう所がジャンには似ていないな。」
「ジャン?」
儚気に笑うサービス。
聞いた事のない名前にシンタローは思わず聞き返した。
ミステリアスなこの叔父の過去がもしかしたら聞けるかもしれないという期待。
シンタローは少しでも、この叔父の事が知りたかった。
「ああ。この間話した俺の親友の名だ。お前によく似ていたよ。双子かとみまごう位にね。」
そう言ってシンタローの髪を撫でるサービスは、とても穏やかな顔をしていて。
その瞳が恋をしている目だと瞬時に解ってしまって、シンタローの心はツキリ、と痛んだ。
そして思う。もしかして、自分を可愛がってくれているのは、その親友に似ているからという理由なんじゃないか、と。
そんな不安を心に残しながらシンタローはサービスと歩く。
それに、そんな事を聞けないし、聞きたくなかった。
だってもし、そうだ、と叔父の口が動いてしまったら、シンタローのこの淡い初恋は一瞬にして終わるし、明日から叔父をいつものように見る事ができないから。
臆病者なのかもしれないが、恋をすれば誰でもそうなるだろう。
「この辺りか。」
サービスの声でシンタローは我に返った。
見渡せばいつも自分が食料を取りに来る場所で。
「俺も昔、ジャンと取りに来た事があるんだ。」
また、ジャンの事。
確かにこの場所はサービスがシンタローに教えた場所。
サービスが知っているのになんら不思議はない。
でも、親友と来ていたのか、と、思う。
冷静に考えれば当たり前で。
ここで戦闘が行われ、二人を残して壊滅状態だったと聞く。
だとしたら食料を求め二人でここまで来たとしてもそれは至極当然の事だ。
「そ、そうなんだ。」
声が上擦らないように、シンタローはボソボソと話す。
そして、自分はポーカーフェイスなんて器用なマネが出来ないから、いそいそと食料を摘む為、肩にかけてきた籠を置いた。
サービスを見ないように。
動物を捕まえる為の罠の場所に歩いて行こうとした瞬間、後ろからサービスに抱きすくめられた。
時が、止まる。
ザワ、と、風が辺りの木々と二人を撫でてゆく。
背中から伝わるサービスの体温と、胸から伝わる心臓の鼓動。
ドクン、ドクン、と、波うっている。
辺りは既に暗くなってはいたが、今宵は満月で、シンタローは自分の顔が赤いのがサービスにバレないかと心配だった。
耳にかかるサービスの吐息。
どうしたのだろう。
そう思ってサービスの方へ向き直そうとしたが、それは叶わず、シンタローはサービスに押し倒される形になった。
せめて顔だけでも見ようと振り返ると、いきなり唇を塞がれる。
「―――ッッ!?」
苦しい体制の中、サービスの綺麗な唇の感触だけがシンタローを支配する。
苦しくて、息をつごうと唇を少し開けると、そこからサービスの舌が侵入してきた。
まさかサービス叔父さんは、ジャンと俺を間違えてるんじゃ…
そう思った瞬間、シンタローはサービスに体当たりをした。
少しよろめいた拍子にシンタローは間合いを計る。
そして、赤く上気した顔が見えないよう影に隠れてから言い放つ。
「俺は叔父さんの親友じゃない。」
唇を腕でゴシゴシふいた。
嫌だった。誰かの代わりにされる事が。
まして好きな人の思い人なら尚更で。
逃げようとするが逃げられない。
サービスとシンタローの力は歴然としている。
叔父に限って無理矢理とかそうゆう事はないだろうが、それでも怖い。
本気になっても叶わない相手だから。
「知っているよ。」
夜空のシン、とした空気の中、サービスが呟いた。
まるで消えそうだったが、しっかりとしていて耳に残る何とも不思議な声色だった。
「彼は死んだ。俺が殺した。死んだ者は生き返らない。」
ザク、ザク、と一歩一歩踏み締めるようにサービスはシンタローへと近づく。
「だけどシンタロー。お前の事をジャンと重ねた事は誓ってない。」
その言葉をサービスが吐いた時、シンタローの頬にサービスの白魚のような指が振れ、もうこんな近く迄来ていたのかとその時解った。
サービスの指は冷たくて、サービスをシンタローは見上げる。
何時もの綺麗な顔だった。
サービスの青い瞳を見る。
吸い込まれそうな青だった。
端正な顔立ちと、それにそぐ海のような青い瞳。
この人の前では嘘をつけない、ついてはいけない気持ちになる。
「叔父さん、本当に?」
「ああ。髪も、瞳も、全て違うよ。それに…」
「それに?」
「アイツは親友ではあった。だが、お前を目の前にした時のような劣情はよもおさなかったよ。」
俺はそうゆう意味でお前が好きなんだよ。
耳元で囁かれて、シンタローは全身に甘い痺れが走るのを感じた。
「奮えないで。」
そう言われ抱きしめられたと同時に自分は奮えていたのだと知る。
温かい体温に包まれ、微かな安らぎさえ覚えた。
そして、頭をあやすように撫でられ、唇が触れ合う。
ちゅ、ちゅ、と啄まれ、歯をなぞられた。
顔が熱い。
でもそれ以上に心臓が痛い程高鳴っていた。
「おじさ…」
はぁ、と、熱い吐息を吐きながら、シンタローがサービスを呼ぶ。
サービスは人差し指をシンタローの唇に当てた。
「サービスだよ、シンタロー。いいかい?」
コクコクと、シンタローは頭を上下に振る。
ぼぉっとした頭の中でシンタローは嬉しさを噛み締めていた。
叔父さんも、俺の事好きでいてくれたんだ。
そう思うと、こんなに自分は幸せでいいのかとさえ思う。
「シンタロー。」
散々熟された若い体を、ツツ、と、指でなぞる。
「一人でシてご覧。」
「え…?」
一瞬何を言われているのか解らなかった。
シンタローは、目を大きく開く。
「シンタロー。俺の言っている意味が解らないのか?」
ふぅ、と綺麗な唇からシンタローの耳に息がかかる。
ビク、と、シンタローは震えた。
そんな事を言われても、どうしていいのかわからない。
でも、長い修業生活で身についてしまっている主従関係。
サービスには逆らえない。逆らってはいけない。
そう叩き込まれている。
「やり方が解らない訳じゃないだろう?一人でシた事がないなんて言わせないよ。」
もう体は大人なんだから。と、付け足される。
サービスの指がシンタローの腕を絡めとる。
そして、促すように、ズボンの渕へとシンタローの手を置いた。
「見ててやるから上手にしなさい。お前が俺を好きだと証明して御覧?」
美貌の叔父が月明かりに照らされて、いつもより妖艶に見えた。
シンタローはヒク、と、喉を上下に動かしてから、意を決したように日焼けして小麦色になった指をボタンとジッパーにかける。
カチャカチャと、震えている指が上手く動かない。
「焦らなくていい。ゆっくりでいいんだ。」
そうサービスが言うが、サービスの声が音として耳には入って来るものの、その言葉の意味を理解できる程シンタローは冷静ではなかった。
ようやくボタンを外す事ができて、ジィ…と、金属音が響く。
そこからシンタローは止まってしまった。
半分パニックになっている頭は、何故こんな事をしなければいけないかという疑問よりも、俺は何時もどうやっていたのか思い出せないという方が強かった。
助けを求めるようにサービスを見ると、綺麗に伸びた白い指でサービスがシンタロー自身を取り出す。
半分勃ち上がっているソレをサービスは上下にグラインドさせた。
そして、快楽に顔を歪ませるシンタローの唇に又キスを落とす。
「ふ、うン…」
シンタローが切なそうな声を上げ始め、自身からテラテラと、半透明の液体が垂れ、サービスの指を濡らした。
「ん、あ?」
サービスの指が離れて、シンタローは疑問の声を上げる。
止めないで欲しいと、思ってしまった自分を恥じた。
「ホラ、シンタロー。続きは自分で出来るだろう?」
そう言われ、己の手を自身に宛がわれる。
恥ずかしくて正直嫌だったが、サービスの言う事は聞かなければならない。
それに、この体のほてりは既に言い訳のできない所迄きていた。
恐る恐るではあるが、シンタローは確実に自慰を始めた。
くち、くち、と、粘膜の擦れる音が聞こえ、それを出しているのも、音を作っているのも他ならぬ自分であると思うと羞恥心が掻き立てられる。
うっすらと、薄いサービスの唇が三日月のように笑っている。
「ン、は、はぅ…」
吐息が漏れる。
「気持ちいいのか?シンタロー。」
クスリ、と音を立てて笑われれば、シンタローは恥ずかしさの余り下を向く。
でも、下を向けば己の直立したモノを直視しなければならなくなる。
だから目線を斜めに反らした。
俺は今、サービス叔父さんに一人で慰めてる所を見られてる。
見られてるんだ。
そうは思うが、既に熟されてしまった熱い体に理性は効かない。
いや、反対に段々興奮してきている。
見られているという快感。
家族も、親戚も、学校も、全てにおいてシンタローはストイックだった。
性に目覚め始めた今という青春時代は特にストイックに生きていかざる得ない状況に置かれていて。
何故なら寮は二人部屋、もしくは三人部屋が主で、一人部屋なんて言うものはない。
だから自慰なんてできないし、厳しい士官学校生活ではそういった類いの雑誌及びビデオなんてものもない。
何時も何処でも軍と規律なのだから。
久しぶりの快感と、サービスに見られているという背徳感から、既にシンタローはイキそうだった。
「ンあ!サービスおじさ…ッ!おれ、も…もぉ…」
目に生理的な涙を溜めてサービスを見る。
「もう、何?」
解っているくせにサービスは意地悪な質問をする。
このストイックな甥に卑猥な言葉を言って欲しい。
体だけじゃなく、心も犯してしまいたい。
サービスのサディスト心がふつふつと沸き上がる。
「―――ッ」
シンタローは恥ずかしいのか、言えなかった。
その為、手が止まる。
「シンタロー、どうしたんだい?休んでいい、と俺は言った覚えがないが。」
そして、ツツ…と長い指を下から上に持って行き、シンタローの先端を人差し指で円を描くようにクルクルと弄ぶ。
「アアン!お、サービスおじさ…ッ!や、やめて!!」
左手でサービスを静止させようとするが、今度は強く尿通を押さえられ、シンタローは切なそうな声を上げる。
「も、ダメ!ダメェ!!」
シンタローが息を詰めたかと思うと、ビュルビュルと、シンタロー自身から白濁の液が飛び散り、シンタローの顔と、サービスの腕を濡らした。
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