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声をかけるとそれがふわり、と後をついてくる。

「高松?」
「珍しい、というかやはり、というべきか」
「俺が温室にいちゃおかしい?」

高松は静かに微笑む。
シンタローは熱帯の植物の集まる温室に一人たたずんでいた。

「懐かしいだけだ。どこにもいきゃしない」
「その言葉は私ではなくキンタロー様やグンマ様へ。私は先刻承知、ですよ」
「そうだな。あんたはわかっているな」
「ただ――」

しっかりと後ろで結ばれた黒髪。
白いTシャツに黒のジーパン。

「その格好はいただけませんね」
「たまたまあるのを着たらこういう組み合わせになっただけだろ?」
「もう少しあの子達の気持ちを考えておあげなさい」
「これ以上執着しないようにするにはいいんじゃないのか?」
「あれは青の一族の性質ですよ。本能のようなものです。どうにもできない」
「じゃああんたは何故?俺はルーザーの息子じゃないぜ?」

ふわり、とシンタローが振り向く。
一つに結ばれた髪が後をつづく。

「・・・・愚問ですね」

手を伸ばしその存在を腕の中に閉じ込める。

「愛、ってやつですよ」
「そうでしたっけ?」

笑い声が腕の中で響く。

「だからね。私だって嫌なんですよ。頭で理解していても心のほうはそうはいかないんです」

髪紐をとくと艶やかな髪が背中を覆う。
たかがそれだけのことなのに。
それだけのことに安心する。

「安心させてくださいよ」

あなたが永遠を生きるというのなら私もそれにつきあいますから。
腕の中の愛しい人はその言葉にくしゃり、と顔をゆがめて。

「しょうがねぇなぁ」

そう照れくさそうに、泣きそうに、笑って。

「しょうがねぇから安心させてやるよ」

腕が伸ばされ引き寄せられ触れるだけのキス。
ふっと笑ってこちらからキスをした。

「それだけじゃあ安心できませんよ」

触れるだけではない、もっと貴方を感じさせてくれるキスを。
そう願えば薄い唇は僅かに開きこちらを誘う。
誘われるまま首の後ろに手を回し深く口付ける。

ああ、どうかお願いです。
聖域を思い出させる場所で、私だけを感じていてください。


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