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ss

紫色の花達

チ、チ、チ
携帯片手に時計を睨む。
あと少しで今日が終わる。
あちらではもう日付が変わっていることは調べてある。
だから、あとはこっちの時刻。
そして。

カチッ

今日が終わり、グンマは手に持っていた携帯を机の上に乱暴に置いた。
わかりきったことだけれども、やはり悲しい。
5月13日。時刻は0時。
いろんな人から祝ってもらったけれども、二人ばかり足りない。
一人は多分忘れていて、もう一人は覚えていても祝ってくれないのだろう。
少し緊張していたのだろう。
大きなあくびをひとつすると、携帯を充電器に立てかけ、眠るためにベットへと向かった。


部屋に戻ってまず確認するのは、携帯の着信履歴。
電気をつけ、仕事用に持っていた携帯を充電させる間に片手で操作をする。
以前は携帯は一台しかもっていなかったが、仕事に差し支えるということで二つ持つようにしているのだ。
「うわ、何回鳴らしたんだよ、親父…」
着信拒否をすればその度に新しい番号で鳴らす傍迷惑な父親に、このままではいたちごっこだと思い、最近ではそのままにしてある。
一応、留守録を聞くが大抵の場合どうでもいいものなのではじめの一秒を聞いて消去する。
そんなことが幾度と続き、いい加減めんどくさくなり、総て消してしまおうかと思ったとき。
『お兄ちゃん?僕だけど…』
「コタロ~~~!」
今までと一変し、一語たりとも聞き漏らさぬようにしっかりと携帯を耳に当てる。
しかし、コタローの声はどこか冷ややかだった。
『まさかと思うけど、今日が何日だか忘れてないよね?』
その言葉に、何かあったかと疲れている頭を総動員して考える。
まず、なにかコタローと約束していたかという問いには否。
コタローはあれが欲しい、これが欲しいと我侭は言うが仕事の妨げにならないようにと気を使っているらしく、あまり約束をしようとしてくれない。
それが兄としては悲しいのだが、大人になろうとしているのだと思うと頬の筋肉が緩まる――と同時に、鼻から生暖かい液体が流れ出る。
他には、今日のスケジュールやここ最近の戦況を思い出すがどれもコタローに呆れられることはないはずだ。
今日だって、泣く泣くコタローと別れて某国との協議に赴いたのであり、それが長引いてしまったがために何日も地上に降り、飛行艇に戻ってくるのが遅くなってしまったのだから。
『…こっちはお兄ちゃんがふて腐れて大変なんだから、せめて日付が変わる前に電話してあげてね』
ぷつ、と薄情な音を立ててメッセージが終わった。
愛しい弟の声が聞こえなくなったことに、非常に落胆したが、引っかかることを言われて、もう一度考える。
彼の言う兄は、3人いる。
自分と、従兄弟の二人。
一人は確か、どこぞの学会に出ていてもう一人は屋敷にいるはずだ。
そして、コタローはというと同じく屋敷にいる。
となると、この場合の兄は屋敷にいるグンマ。
そこで、ようやく気がついた。
コタローの言う今日、つまりはもう日付が変わってしまったところから昨日は、グンマの誕生日であるということに。



同じくコタローからメッセージを受け取ったキンタローは首をかしげた。
無論、彼はグンマの誕生日を忘れたわけではない。
忘れたくとも、彼らの親代わりである高松が一ヶ月ほど前からことあるごとに鼻血を流しながら、その日のことをのたまっていたからだ。
去年は確か、屋敷にいたので誕生日祝いを上げたのだが、今年はつい忙しくて旅立つ前に渡すことが出来なかったのだ。
グンマの性格は知っているからこそ、用意こそしていたが、まさかここまでごねるとは思っておらず、暫し思考が止まった。
電話をかけた方が良いかと、メモリを呼び出したがあちらとの時差を考えて、すぐにやめる。
代わりにもう一人、多分こちらは今日の今日まで忘れていたのではないかと思われる従兄弟に電話をした。


メールが二件。
見当がついてしまい、思わず不機嫌になる。
朝は弱いほうだからぼーとしながら、メールを開くと予想通り。
ふて腐れてしまうのは、簡単に裏が見えてしまったから。
多分、昨日ぽろりと零した言葉が原因なのだろう。
弟であると知って、早数年。
しかし、話をするようになったのは最近というややこしい関係だが、そこそこうまくやっていけていると思う。
これなら従兄弟が入れ込むのはわかると、思わず納得してしまうくらい可愛いのだ。
それなのに、ついぽろりと本音を言ってしまい、何とか誤魔化したがきっと気持ちを読まれてしまったのだろう。
「別に、祝って欲しかったわけじゃないもん」
昨日と裏腹のことを言ったが、それはある意味事実で。
別に、言葉が欲しかったわけではない。
ただ――

はふぅ。

大きく溜息をつくと、せめて気を使わせてしまった弟に感謝しないとと、気持ちを切り替えた。



「はい」
渡されたものに、面食らいながらも、せっかくいただいたものだからありがたく受け取っておく。
「ありがとう」
「どういたしまして」
いつものようにやわらかい笑顔に、笑顔で返すが、どうしてもわからない。
小さかった頃には気がつかなかったが、兄弟だとわかったせいか、なんとなく似ている気がする。
二人とも父親と比べるとどこか色素が薄い気がするが、なんとなく足したらあの色になるんじゃないかなといい加減なことを思ったことがある。
温和(なように見える)兄と、高飛車な自分。
子供のように駄々をこねる兄と、ちょっと生意気な自分。
正反対に見えるのに、結構波長が合うのは、もしかしたら、この兄が合わせてくれているんじゃないかなと思うようになったのは結構前からだった。
それは自分だけでなく、総ての人に対してだと見当つけたのもその頃。
気をつっているわけではなく、なんと言うか、溶け込んでしまうかのような、そんな感じ。
けれども、このプレゼントがなんなのか、全く見当がつかない。
多分、お菓子なのだろうとは思うが、いったい何のお礼なのか思いつかずに手に持っていると、くすり、と笑われた。
「シンちゃんたちから、メールが来てたんだ」
その言葉に、失敗したな、と思いつつもわかりやすい反応をした兄達が悪いと、責任転嫁をする。
「僕、何もしてないよ?」
それでもとぼけてみるが、あいにくこの兄に通用しないことはわかっていた。
グンマも、コタローが誤魔化しているのがわかっているから、ぺろり、と舌を出して肩をすくめる。
子供がいたずらに成功したみたいに。
「コタローちゃんが、二人に教えたんでしょ?」
正解。
そういってやるのが悔しくって、頬を膨らませる。
「…なら、これはいらないよ」
コタローもプレゼントは用意したが、たいした物をあげられたわけではない。
有名店のプリンを取り寄せて、それをそのまま渡しただけ。
いくら仲がよいとはいえ、何をあげていいか迷ったために、そんなものしかあげられなかったのだ。
それなのに、次の日にこんなものまで貰ったら悪い。
「ん、でも欲しいもがもらえたからいいよ」
にこ、とそのまま押し切られた。
多分気が疲れているんだろうなと、天井を仰ぎ見る。
せめて、この兄が喜ぶことをしたいと思い、二人の携帯にメッセージを残した。
同時に腹ただしくなったのも事実。
自分の時には盛大に祝ったというのに、連絡ひとつよこそうとしない兄達。
(全く…)
本当は、満足なんてしていないはずだ。
けれどもいったい何が欲しかったのかわからないコタローはとりあえず、もう一度礼を言って、貰った包みをどうするか考えた。



そしてそれから一週間近くたち、二人の誕生日が近づいた。
結局誕生日プレゼントということで、シンタローからはケーキを、キンタローからはネクタイとクッキーの詰め合わせを貰った。
しかし、それで喜べるかというとそうではなく、ニコニコ笑いながら受け取ったが、内心では沈む一方だった。
些細なことだと自覚している分、誰にも言うことが出来ず、もやもやが晴れることは無い。
とりあえず、目の前にある学会に提出する論文と、誕生日プレゼントを考える。
やはりいつものとおり、自分らしいものにしようかと考えている。
たとえばガンボットシリーズとか、動き自体は凄いが大して役に立ちそうも無いロボットとか。
そういったストックはいくつもある。
外装を変えてやればいくらでも作れるのであまり急ぐ必要は無い。
それとも、意表をついて普通の、たとえば時計とか――
きこきこと椅子を揺らしながら考え込んでみたが、決定的なものが浮かばず、溜息をつく。
どうせなら、この前の意趣返しに嫌がらせになるものにしようか。
けれどもそれで捨てられてしまったらもったいない。
その境界線を見極めるのに毎回苦労しているのだが、成功したときの達成感を考えると、手を抜くことが出来ない。
いつの間にやら研究を離れ、一見落書きにしか見えない誕生日プレゼントの設計図を何枚にもわたって描いていた。


久し振りに本部に帰ってきて、総帥室に閉じ込められたかのように身動きの出来ないシンタローは心底辟易していた。
無論、朝から晩まで閉じこもっているというのもあるが、いやなこと続きなのだ。
たとえば、誕生日が近いせいか、浮かれてねじが何本か外れてしまったような親父が毎日騒いでいる。
グンマの誕生日以降、なぜかコタローがつれない。
話しかけても大抵無視されて、流石に堪える。
しかも、たまに返事をしてくれるのはグンマが取り持ってくれたときという、なんとも物悲しい状況なのだ。
そんなわけで仕事が手につかないとか言ってみたいがそういうわけにも行かず、日に日にやつれていく。
「…俺、何かしたか?」
幸い、今日は話し相手がいる。
思い切って聞いたが、書類をまとめている従兄弟はそっけなかった。
「それは俺も同じ気持ちだ」
キンタローも、シンタローと同じような境遇だった。
しかし、キンタローにしてみればきちんとプレゼントを用意しておいて、渡し損ねたというだけで同じ仕打ちを受けているのだ。
それで平常通りいろというほうが無理である。
「溜息をつくな、こちらまで気分が重くなる」
うっとうしそうに、種類ごとに纏められた書類をシンタローに渡し、代わりに決済済みのものを受け取った。
紙媒体の書類というものは廃止されているものが多いのだが、廃止するべきではないと判断されたこれらは、たとえ文字に気分が影響されて乱暴になっていようとその重要さが失われるわけではない。
電子を介して製作される様なものは、どこにいても処理することが出来るが、こうした書類はたとえまだ決裁されてなくとも紛失は許されぬため、総帥が帰ってくるまでそのまま溜められている。
戻ってきたときに一斉にその書類に判を押されるのだが、大抵の場合はその前に指示が出ているし、ここにあるのはつまり総てが終わった後で処理されるというおかしな形をとったものばかり。
こまめに帰っていればここまでたまることは無いのだが、そうも言ってられない状況のため、時間が空いていればここ、総帥室に閉じ込められるのだ。
「…やっぱり、気にしてんのか?」
それは、目の前にいる人間に対して言っているわけではない。
いわば独り言のようなものだが、キンタローも同じことを考えていたため、黙ってうなずく。
時刻は一般世間で言うところのティタイム。
彼らの従兄弟がやってくる時間。
なのに、シンタローが帰ってきてからやってこない。
そのくせ偶然会ったりするといつものように笑っていたりするからたちが悪い。
「けどよ、どうしろって言うんだよ」
弟からの冷ややかな態度に、態度は完璧だがどこかよそよそしい従兄弟。
精神的なダメージを着実に受けている今、どうにかしてこの状態を抜け出したいのだが、打開策が思いつかない。
げっそりとしているシンタローに対し、同じ被害を蒙っているキンタローは大きく溜息をついた。
「ひとつだけ言っておくが、俺のほうがひどいぞ」
苦虫をかんだような顔をしながら、チェックを終えた書類を纏める。
「高松に会うたびに、早く謝ったほうがいいといわれるんだからな」
それで、こちらに非難してきたというわけだ。
「俺達、謝りはしたよな」
「お前はともかく、俺はちゃんと覚えていたんだけどな」
盛大な溜息を吹き飛ばすかのように、ドアが開いた。
「やっぱり、お兄ちゃん達ってばだめだね」
甲高い子供特有の声。
今朝と違って機嫌が良いらしく、ニコニコと笑っている。
「こ、コタ…!」
「僕、お菓子食べたいな♪」
鼻血を撒き散らしながら突進してきた兄をかわして、座り心地の良いソファを占領する。
そこでようやく、二人は弟が心から笑っていないことに気がついた。
「…たいした物は無いぞ」
弟の絶対零度の笑みに固まってしまったシンタローを尻目に、飲み物とお菓子を出してやる。
「仕事、忙しいそうだね」
勿論、嫌味である。
あからさまな言葉に、最早シンタローは灰になる寸前だ。
多分暫くの間は仕事が手につかないだろう。
いくら、忙しくないからといってこれは大打撃につながるだろう。
「で、コタローはどうしてこっちに来たんだ?」
兄と同様、時間があったらここに居座るはずなのに最近は全く来ていなかった。
理由は多分、グンマの誕生日が絡んでくるのだろうが、だからこそ、突破の道があるのではないかとキンタローも必死になる。
「別に?あ、でもお兄ちゃん達が誕生日はどうするんだろうと思って」
ここにきてもまだ、誕生日らしい。
しかし、そんな主だった予定は立てていない。
当然だが、しょっちゅういるわけでもないシンタロー。
高松が開こうと躍起になっても、興味深い学会等があったらそちらを優先するキンタロー。
そんな二人が何かを考えているわけではない。
「ふ~ん、まあいいけどね」
部屋の温度が下がったことを二人とも気がついた。
そ知らぬ顔でお茶を飲んでいるコタローだが、その顔にはもう笑顔すらない。
「コタローが来てくれるなら、お兄ちゃんやっちゃおうかな?」
「僕、が?」
冷ややかな視線を受け、間違ったことに気がついたシンタローはそのまま撃沈。
「来ないのか?」
それに乗っかって、追撃をかけるが、それも鼻で笑われ、失敗。
「二人とも、最低」
出されたお菓子を総て平らげ、口元を拭くと勢い良く立ち上がった。
もう用はないといわんばかりに、ドアに向かって歩いていく。
「…誘わなきゃいけないのは、他にいるでしょ?」
ドアが閉まる間際、正真正銘の笑顔と共に残された言葉。
その笑顔によって何とか復活を遂げたシンタローだが、ようやくコタローの言いたいことに気がつき溜息をつく。
「つまり――」
「そういうことらしいな」
それで解決するかはわからないが、試すしか道の残されていない二人は顔を見合わせて、ついでこれからのスケジュールにどう折り合いをつけるかを頭をつき合わせて考えた。



そして、5月24日。
二人の従兄弟の行動を不審に思っていたグンマだが、この日、もっとも困惑させたのは弟の行動だった。
「お兄ちゃん、絶対におうちに帰ってきちゃだめだから」
嬉々として宣言され、家から追い立てられたのが始まり。
入れ違いのように総帥である従兄弟が家に戻ったと聞いたのは研究室についてから。
連日、家に戻ってこないで総帥室から出てこなかったのに、今日は一日屋敷にいるらしい。
さらに驚かせたのは、同じく鬼気迫る表情で研究室に篭っていたキンタローも同じく休みであるということ。
ラボが分かれているため、顔を合わせることはあまり無かったが、顔色がよろしくなかったので、こちらに関してはなんともいえない。
「…高松?」
そんなわけで、何かを知っていそうな人を訪ねたのだが、どこかすねているように見える。
「ねえ、もしかして高松も疲れているの?」
「いえ、そういうわけではないのですが。やはり堪えるみたいです…」
何かを知っているみたいだったが、口を割ることはしないらしい。
「高松なんかきらーい」
「ああ、ぐ、グンマ様…」
役に立たないとわかった以上、鼻血を盛大にまき散らかしているのを放っておいて、仕方がなくラボへと戻った。
誕生日プレゼントの準備をしたかったのだが仕方が無い。
とりあえず、用意しておいたものを別の形で使うことにして、ようやく仕事に取り掛かった。


総ての準備が終わり、ようやく溜息をついた。
「…これで本当に大丈夫かよ?」
「駄目でも仕方が無いだろう。それより、デザートは大丈夫なのか?」
「任せろ、ちゃんと固まっている」
大きな体を寄せ合いながらぼそぼそと会話を交わすと、携帯を取り出し、弟に電話をする。
『あ、もう出来たの?』
「完璧だ。コタローの大好きなアップルパイもあるぞー」
「ありがと。じゃあ、グンマお兄ちゃんを呼んでくるね』
プツ

無常な音に、あからさまに落ち込んでいるが、そこに乱入してきたものがいた。
「シンちゃんのいけず!ちゃんとパパが用意するって言うのになんで、自分達で作っちゃうの?さらには、キンちゃんと一緒に作るな…」
「うるせぇ!ガンマ砲!」
精度抜群、威力最大限だが被害は最小限のガンマ砲は狙いたがわずマジックのみを吹き飛ばした。
それでも気になるのかキンタローは出来た料理の見栄えを確認する。
「別に吹き飛ばすなとはいわんが、埃が立つ」
影響が見られなかったことにほっとしつつ、飲み物の準備に移る。
「まだ大丈夫だろ?」
「だが、帰ってきてから準備をするのもあわただしく見えるだろう」
「グンマが帰ってきてから何が飲みたいか聞いたほうがいいんじゃねえか?」
ちなみに、飲みやすい白ワインからスパークリングワイン、ジュースを各種用意してある。
自分達用に酒も何種類か揃えてあるが、メインはあくまでグンマなので酔っ払うつもりは無い。
もっとも、多少飲んだところで酔っ払いはしないだろうが。
「なら、後やることは…」
「あれの処理だろ?」
シンタローの指差すほうには、吹き飛ばされたときのままのマジックがいた。


同じ頃。
「せっかくたくさん用意したのにな~」
ぶちぶちいいながらも、何とか形にしようと躍起になっているグンマ。
本来ならば、入り口から従兄弟達の部屋までを花で飾ろうと用意していたのだが、その準備をするまもなく家を追い出されたため、あまった花をバスケットに詰め込んでいた。
真ん中には勿論、ガンボット。
卓上クリーナになっていて、自動的に汚いところを掃除してくれる優れものだ。
「余った分どうしよう?」
無理やり詰め込んだのだが、当然それ位では処理しきれずに、大量の花が余っている。
「お兄ちゃん」
そんなタイミングで、コタローがノックもせずにドアを開けた。
朝と同じく、いやそれ以上に楽しそうだ。
「うわ、凄い花だね~」
部屋を埋め尽くさんばかりの色とりどりの花に歓声を上げながら、グンマのところまで危なげなくやってきた。
いつもならば整頓されているこの部屋も、従兄弟のために用意した花によって歩くスペースも限られていたのだ。
「どうしたの、これ?」
「シンちゃん達のプレゼント。せっかく二人を驚かそうと考えてたのに、コタローちゃんのせいで台無しだよ」
当然の問いに、ちょっと怒りながらもきちんと答えた。
「え~、でもこれをどうするつもりだったの?」
確かに大量の花が贈られたら、びっくりするかもしれない。
いや、その前に怒り出す人がいる。
そんなことを考えているコタローをよそに、あっけらかんと答えを出してくれた。
「あのね、家の中を華やかにしてみようかなって」
「――え?」
「だからね、敷き詰めたらびっくりするでしょ」
あまりにも得意そうに言われて、もしかしてやはり怒っていたのではないかと勘ぐってしまうのは仕方が無いことだろう。
「まあ、それも出来なかったし、仕方が無いからこれで我慢したよ」
ひょい、とコタローの前に二つの花籠を掲げる。
センスについては良くも悪くも無い、しかし、命いっぱいに詰め込まれているのが可哀想かもしれない。
真ん中にはいつものとおり、ガンボットがいてようやく、兄らしいと笑えた。
「とりあえず、お兄ちゃんも準備OKということで、行こっか?」






とりあえず、次の日からきっちりとお茶の時間になると総帥室に向かう仲の良い兄弟の姿があったとか。











<あとがき>

というわけで、兄弟ズの誕生日話。
ごちゃごちゃしていてすみません。
とりあえず、もっと書きたかったのはマジックと高松のいじけっぷりですかね。
当然、一緒にご飯は食べられませんから(笑)
きっとご飯を食べた後は、4人一緒にごろごろしながら、同じ部屋で寝たりするんですよ。(その様を書けよ、いいから)
やっぱり、従兄弟ズラブです!

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