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「シンタローさん、遊ぼー」
「遊ぼー」
ヤンキーの手際があまりに悪いので、強引に洗濯物を奪い取って洗いに出た帰り、胸キュンアニマルズに会った。
ほてほてと駆け寄ってくる姿は相変わらず愛らしく、俺は無意識に口許を緩ませる。
「そうだな、これを干し終わったらな」
「わーい」
「今日もよく晴れてんなぁ」
みんなで遊ぶにはいい天気だと空を仰いだとき、エグチくんが一点を指さした。
「ヒコーキ!」

ずきん、と胸が疼いた。
それは期待だったのか、失望だったのか…俺にも分からない。

「…ああ、飛行機雲だ」
精一杯の笑みでエグチくんに応じて、俺は洗い上げた洗濯物を抱え直した。
「じゃあ干してくるから。後で行くよ」
「はーい」
「早くねー」
手を振ってから走っていく2人を見送り、目を伏せる。
俺を迎えに来るであろうあの男に、俺は逢いたいのだろうか、逢いたくないのだろうか?

「シンタローさん」

答えの出ない自問で頭がいっぱいだったから、呼びかけられて心臓が跳ねた。
「…んだよヤンキー、いたのか?」
「シンタローさん」
「掃除は終わったのかよ。ぐずぐずしてっと眼魔砲を―――」
口だけを動かして洗濯物を押し付けようとした俺を、リキッドの真っ直ぐな視線は許さなかった。
「いま、誰のこと考えてたんすか」


その夜のリキッドは、これまでにないほど執拗だった。
連れ出された夜の森で、俺は暴力的なほどの熱さに喘がされ啼かされた。
欲望を吐き出してなお衰えを知らない若い体に抱きすくめられ、プライドを投げ捨てて許しを乞うた言葉も無視されて、限界まで責め立てられた。
快楽に霞む視界では、俺を抱く腕が誰のものなのかも分からなくなる。動くたびに揺れる金髪と、俺を見つめる青い眼と、アングロサクソン特有の白い肌しか見えない。
そう思っていたら、肩を強く噛まれて俺は悲鳴を上げかけた。急に目の前がクリアになった。
「ちゃんと、俺を見て」
年下の恋人は切なくなるような掠れた声でささやく。
きっと肩にはこいつの歯形が残っているに違いない。

もう誰とも抱き合えないくらい、お前の痕を残してくれればいいのに。
その手で、俺の心まで抱きしめてくれればいいのに。

どうしてあの男もこいつも、俺なんかに惚れてしまったんだろう。
(俺は、誰も幸せになんか出来ないのに)
いつもは少し嫌がる素振りを見せただけで手を引っ込める、時にもどかしいくらい俺を失うことを怖れるこいつが、強引に欲情をぶつけてくる。
何度も何度も俺の名前を呼び、愛しているとささやく。
俺の記憶の中に眠るあの男を追い出そうとして、奥まで貫く。

それが嫉妬でも焦燥でも構わないと思った。


―――こんなふうに、お前に抱かれたかったんだ。

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