あいつは、いつもシンちゃんシンちゃんと、大声を上げ鼻血を大量にたらしながら俺に抱きついてくるくせ、絶対先に進もうとはしない。
本人にしては、ただのスキンシップのつもりなのかもしれない。
だが、年頃の俺にとってはあの逞しい腕に引き寄せられ、熱い胸板に包まれるあの感触に性的欲求を感じてしまうわけで、毎回親父が抱きついたときに股間が熱くなるのをなんとかごまかし、そのあと一人トイレで抜いていた。
「シンちゃ~ん」
「ぐお!よるな、触るな、近づくな!!」
「嫌だよ~」
どれだけ俺が嫌がっても、必ず抱きついてくるクソ親父は、俺が抱きしめられながらあそこが硬くなり始めているなんて、微塵にも思っていないんだろう。
「いい大人が父親に抱きしめられているなんて、恥ずかしいだろ!!」
「何を言っているんだい?お前は、まだまだ子供だよ」
まだ子供だから、なんて思われてしまっている現実が、悔しくて、悲しくて、そして腹立たしかった。
だから、俺はある計画を立てた。
そりゃ、ガンマ団NO.1的な、学者もびっくり計画!
「と、いうことなので、『親父ホイホイ作戦』するからお前ら手伝え」
俺の恋愛(?)相談を、真剣に涎を垂らしながら聞いてくれていたミヤギたちに、今回の計画を持ちかけた。
「・・・丁重に、お断りさせていただきます」
ミヤギ、トットリ、コージは土下座をして断ってきた。
「シンタローはん・・・・わ・・・・」
ガウン、ガウン、ガウン、グシャ・・・・・
「ヒッ!!」
近くで無視が泣く音が聞こえたが、手短にあったトカレフを打ち込んで黙らした。
「ああ、嫌だな。夏は虫を無視するのもウザってえのに。やっぱ蚊取り線香(トカレフ)は必需品だな」
目の前に紅い水溜りが大きくなりかけていた。
そろそろ、雨でも降るんだろうか。
・・・・・雨
・・・水
シャワー・・・裸
「あああああ!!何考えてんだ!!」
雨だけで、裸の親父がシャワーを浴びているシーンが・・・・
「いいかも・・・・ポッ」
「シンタロー、顔あかいっぺ」
「あれは、恋わずらいじゃな」
「僕、早く逃げたい」
「いいな、親父のあの熱い胸板に、俺のか細い体が包み込まれて・・・・」
ああ、その光景が想像できる。
「・・・・か細いだっちゃ?」
「そして、二人は己の体からあふれ出る体液をこすり合わせて・・・・」
ああ、体液だなんて生々しかった・・・・でも、それって・・・・フフ。
「なんじゃ、唾液か?」
「う●こかも、しれんっぺ」
「そして、上り詰めるお互いの楽園に」
飛び散る波のように、お互いの汗も飛び散るんだろうな。
「パラオの人もはた迷惑だっちゃ」
続く
結局、コージたちは必要な助言もせず、邪魔ばかりしてきて役に立ちそうも無かったので、近くの空き地に埋めた俺は、一人団内をとぼとぼ歩いていた。
俺の立てた計画は最高なのだが、どうしても俺ぐらいの秀才ではないとこの計画が分からないらしい。
トットリなんて、説明していた途中であまりの難しさに理解で傷、顔を真っ青にして倒れてしまったぐらいだ。
ああ、誰かこの計画に賛成してくれるやついねえかな。
そんなことを考えていると、前方の角から高松とグンマが何かを話しながら、こちらのほうに向かって歩いてきているのが目に入った。
俺のことには気がついていないみたいだが、こいつらもしかして使えるかも。
なーんて、天才な俺様は考えたわけよ。
グンマは以前、俺のことそういう意味で好きだって告白してきたからな。
モテる男はつらいな。
まあ、あいつのそんな気持ちを受け止めたくても、俺には最愛の親父がいるし・・・・
だから、まあ、この計画に参加してもらううってつけの『生贄』だな。
「おい、グンマ!」
「あ、シンちゃん!」
声をかけると俺に気がついたグンマは、高松に向けていた顔をこちらに向けると、まるで大型犬が喜んではちきれんばかりに尻尾を振るかのように、満面の笑みで手を大きく振りだした。
そりゃ、もうぶんぶん音が鳴るぐらいに。
「シンちゃん!何か用?もしかして、僕と付き合ってくれるの?」
振っていた手はそのままで、スキップしながらそんなことを叫ぶグンマ。
まあ、これも計画通りだ!!
廊下にいる他の団員の、生暖かい視線を受けながら俺も満面の笑みでグンマの質問に頷いて答えた。
「ああ、抱かせてやる!!」
その後、グンマは顔を真っ赤にして見事なまでに鼻血を大噴射し、そのまま出血多量で医務室に担ぎ込まれた。
「ああ、グンマ様。どうして・・・・」
集中治療室に、運ばれたグンマの状態はかなり危険なものだった。
鼻血を噴射したことにより、血液不足による意識不明の重体。
「ああ、グンマ様が、どうして・・・・・・」
機械が奏でる心拍数の音は、今にも途切れんばかりの弱い音だった。
白いベッドの上で、人工呼吸器、点滴を付けたその姿は痛々しいものだった。
俺はそんな状態になるほどの攻撃を、こいつにしたということなのだろうか?
罪悪感が俺の胸を締め付ける。
「グンマ様、どうして・・・・」
そのベッドの傍には、真っ青な顔の高松がカメラを片手にグンマの手を握っていた。
・・・鼻詮付で。
パシャ!
これで、何度目のシャッター音だろう。
高松は「危篤状態の寝顔なんてめったに拝めない!」といった理由で、もう一時間ほど同じ台詞をこぼしながらシャッター音を病室に鳴り響かせていた。
「どうして、グンマ様が・・・・」
何度も繰り返す高松のその言葉に、段々イライラし始めた俺は腰に手を当てながら応えてった。
すると、折角教えてやったのに大きな溜息を吐かれ「あんた、バカですか?」なんて暴言を浴びせられた。
「な・・・っ!」
怒りに拳を作りかけた左手に、血痕が僅かについている高松の右手が重なった。
因みに左手にカメラ。
「グンマ様は、貴方を自分のものにしようと本気なんですよ?そんな純粋なグンマ様の心を、軽々しくもて遊ばないで下さい」
純粋な奴が、鼻血噴くか?
「だって・・・・」
言い訳をしようとすれば、また溜息を吐く声が聞こえちょっとムカっとした。
高松を睨みつけてみたが、案の定あまり効果が無かった。
「そんなに男に抱かれたいのなら、私が抱いて差し上げますよ」
「は?」
一瞬、何を言われているのか理解ができなかった。
コチ、コチ、コチ・・・・
時計の秒針の時を刻む音が、やけに大きく感じる。
ところで、グンマの心音の音は聞こえないな~。
「もう一度言いましょうか?」
「っ!」
その声に、俺の脳はやっと動き始めた。
高松に抱かれる??
俺が?
ありえない!
ありえなさ過ぎる!!
想像なんてしなくても、俺の末路が予想できる。
いかがわしい変態プレイのオンパレードで、耐え切れず精神崩壊する可哀想な俺。
―(シンタローの妄想)―
「もっと・・・もっ・・・お願いです・・・ここに、しろいの・・・いっぱい・・・・・ほし・・・」
「なら、私のモノを立たせなさい」
「は、はい、ご主人様ぁ・・・」
「ふふ・・・好き物ですね」
「ゴメンナサイ、欲しいんです、これ・・・ふゃぁ、おっきくなったぁ・・・」
「っぎゃああぁぁぁぁっ!! いやだぁぁぁぁっ!!」
な、なんで俺がネコ耳メイドの格好をして、高松のモノを奉仕しちゃってんだよ!
っくそ、ダメだ!
もし、そんなことになったら、俺の野望が水の泡・・・・。
「さ、しましょうか?」
あれ?
からかいでもなく本気ポイ。
もしかして、高松を怒らしちゃったのか?
「い、いや・・・いい」
首を小さく横に振る。
「っち・・・・。まあ、本当に抱かなくてもあの人ぐらい、簡単に騙せますよ?」
その言葉はまさに、泥舟の助け舟が俺の目の前に来た瞬間だった。
「本当?」
「ええ」
気味の悪い笑みを浮かべながら、高松を俺の首の後ろに手を回したかと思うと、ぐいっと強い力で引っ張られた。
「うわっ!!」
一瞬ピリッとした感触と、生暖かいモノが首に触れる感触に、自然と体中に鳥肌が立ってしまった。
「ちょ、何するんだよ!」
高松にかぶさるように倒れた上体を起こし睨みつけるが、あいつはすました顔で「キスマーク付けただけです」とぬかしやがった。
「てめ、何勝手なこと・・・・」
「それがあれば、抱かれたと言っても信用してもらえますよ」
一瞬高松が天使に見えた。
一瞬だぞ!
ほんの刹那だ!
「なるほど! サンキュー! じゃ、さっそく行くか!」
膳は急げとばかりに、俺は心拍数の機械音が途絶えた病室を出た。
その後聞いた話だが、グンマは少しの間心配停止状態にまで陥ったと、高松が溜息を吐きながら言っていたが、まあ俺のせいではないのでそれもすぐに忘れることとなった。
スキップをするように親父の執務室に向かい、そして何も言わずにドアを開けると・・・・・美味しそうに餡蜜を食べている親父と目が合った。
そして、俺は腰に両手を当て仁王立ちのポーズで胸を張った。
目を大きく開けたままの親父。
この様子からすると多分親父は、このキスマークに気がついただろう!
そして、段々と興奮し始めて・・・・・。
へへ、ちょろいぜ。
「親父、俺、高松とね・・・・・・」
親父の持っていたスプーンから、黒豆が落ちる音が聞こえた。
あれ、何でだろう。
真っ暗。
俺、どうしてたんだっけ?
えっと、確か高松のキスマークを親父に見せに行ったら、そうそう親父びっくりしちゃっててそんで、黒豆落として・・・・・・ああ、そうだ!
秘石眼が光って・・・・・・って、俺、今どうなってんだ?
「ひゃああぁぁぁぁっ!」
強制的ともいえる強い快感に、今まで閉じていた瞼を開け状況を確認しようと、ぼやける視界に何とか焦点をあわせた。
「・・・・ほう、狭いな」
目の前にいたのは、俺の股間を見つめる親父・・・・。
「ふぁ・・・ひゃふ・・・ああ、んぁっ!」
一体何しているのかと、声を出そうとしたがうまく声が出ない。
何故だ?
ってか、何で変な声ばっかでんだよ!
「抱かれたというわりには、キスマークは一つだけか。それに、ここも・・・未使用のようだね」
「ひゅあぁっ!」
何故だかわかった。
親父の指が俺の中に、ぐにゅぅって入って、そんで中で何かを触ってる。
そこをかりっとされる度に、眩暈を伴う快感が体中を駆け巡る。
「感度は、良好か・・・・。天性の淫乱かぁ」
小さな声で「まいったな」なんて言いやがって、わざとらしい溜息もちょっと腹が立ってくる。
殴りたいが、腰が抜けてしまっているみたいで全く力が入らない。
それよりも、体がこの快感をもっと味わいたいと貧欲に求め始めている。
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