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 明るい日差しが差し込む部屋の棚に置かれたガラスケースの中、彼は小さな両手でピーナッツを持ち、カリコリと音を立ててその好物を齧っていた。隣のケースではやはり彼の同胞がピーナツを齧っていたが、彼が半分ほど食べ進んだ時には既に食べ終わっており、うらやましげに彼の方を眺め始めたので、彼は慌てて同胞に背を向け、ピーナッツをゆっくりと味わった。
 不意にガラスケースの蓋が開き、上から薬品臭のする白い袖口に包まれた大きな手が降りてきて彼は掴み上げられた。
 彼がジタバタと暴れると、
 「ちょっと簡単な実験に協力してもらうだけですよ」
 と言って、大きな箱の中に降ろされた。彼が混乱しその場を歩き回ると、溜め息が聞こえ、
 「脳の活動部位の変化は見られませんね。やはり、薬剤の媒介による記憶そのものの伝達には無理がありましたか・・・。まぁ、他にも方法は考えますし、別にいいんですが」
 と誰かが呟いていた。彼にはその意味が全く分からなかったが、再びつまみ上げられ、ガラスケースの中に戻されたので安心した。
 「実験にご協力、ありがとうございました」
 声が聞こえ、餌箱の中にはピーナッツが入れられた。
 「あ、そうそう。ついでに君にもオマケであげましょうかね。封を開けたままだと湿気っちゃいますし・・・」
 どうやら隣の同胞もピーナッツを貰ったようであったが、彼は気にせず好物を齧る事に集中した。バタンと大きな音がし、どうやら人間は部屋から出て行ったようである。
 不意に意識が途切れ、我に返った際、彼は手にピーナッツを持っていなかった。そして、周囲の環境にも何故か違和感を感じた。ガラスケースの向こうでは、ピーナッツを食べ終えていたはずの同胞が、ピーナッツを齧っていた。彼は全く訳が分からず、部屋の匂いを嗅いだりおが屑の敷かれたガラスケース内をウロウロした。再び目の前が暗くなり、気がつくと手にはピーナッツの欠片を握っていた。彼には一体何が起こったか解らなかったが、とにかく手に持っていたピーナッツを急いで口に放り込むと満足し、ヒゲを震わせて
 「チィ」
 と一声鳴いた。


 彼は眠っていたが、明るさと物音を感じたので眠りから覚めた。
 「わァ、ハツカネズミだッツv高松が実験で使ったのかな?」
 と人間がガラスケースを覗き込んできたので、彼は慌てて巣箱の中に顔を引っ込めた。
 「あれッ、高松いないのー??それじゃ、約束のリンゴとミカンのハチミツ、勝手に貰っていくからねッツ♪今からシンちゃんにケーキを焼いてもらうんだ~vvv」
 そう言うと、人間は再びバタバタと騒々しく出て行ったので彼はホッとした。




 


 (・・・ここは、総帥室の前か?)
 マジックは気がつくと、見覚えのあるドアの前に立って居た。
 (前髪が鬱陶しいな)
 片方の腕は何やら持っていてふさがっていたので、無意識にもう一方の手で髪を掻き揚げると、少しは視界が広くなった。
 ふと、視界をよぎった腕の服地の色が自分の着ていたスーツと違ったので、色々と不審に思いつつも、とにかくドアを開けた。
 「シンちゃーん!元気だった?朝会ってお茶を入れてもらったばかりだけど、寂しかったヨーvvv」
 「相変わらず、ウゼェ!!・・・って、アラシヤマ!?」
 マジックは、顔を上げて自分を見たシンタローが非常に驚いたような顔をしたので、自分も驚いた。
 「シンちゃん?」
 (アレ?やっぱり私の声じゃないね。・・・この声は、アラシヤマなのか??)
 「・・・てっめぇ、何の悪ふざけだッツ!?」
 椅子から立ち上がり、胸倉を掴んだシンタローは自分よりも背が高かった。
 「シンタロー」
 と、低く呼び、両目で見つめると彼は動揺しているようであった。服を掴んでいる手に手を重ねると、手を振り払って逃げようとしたが、もちろん逃すようなマジックではなかった。
 (シンちゃん、何だかすっごく可愛いし。・・・こんな表情、私には見せたことがないよねぇ)
 シンタローを抱き寄せ、耳元で、
 「シンタロー、いつもヤツにはこんな可愛い顔を見せているのかい?ムカツクね?」
 そう囁くと、
 「一体、何だってんだよ・・・」
 困惑したような力ない返事が返ってきた。
 その時、扉がバンッと開き、
 「シンタローはーん!大変どすえ~!!気がついて鏡を見たら金髪オヤジになってたんどすッツ!!」
 片目を前髪で隠し、何故か京言葉のマジックが入ってきた。
 「あっ、シンタローはんがわてに襲われてますやん!?一体全体どういうことどすか!?頭がこんがらがりそうどすが、とにかく離れてんかッツ」
 マジック(アラシヤマ)がシンタローからアラシヤマ(マジック)を無理矢理引き離すと、シンタローは既に我慢の限界であったらしく、
 「何だかわかんねぇけど、眼魔砲ッツ!!」
 と二人に向かって眼魔砲を撃った。
 「あっ、元に戻りましたえ~・・・」
 「シンちゃん、酷いヨ~・・・」
 どうやらお互い本来の体に戻ったらしい二人がそう言ってバタリと倒れると、シンタローは彼らをドアの外に引きずって行き、
 「テメーら、しばらく俺の前にその面見せんなッツ!!」
 そう叫ぶとバタンとドアを閉めた。何やら、扉の向こうで重いソファやテーブルを引きずる音がし、扉の前に積み上げているようであった。
 「―――アラシヤマ。お前のせいで、シンちゃんに嫌われちゃったじゃないかッツ!!」
 「・・・前総帥。シンタローはんをどないしはるつもりやったんどすか?自業自得ですやろ!?」
 「あっ、お前色々ムカツクし、減給ね」
 「それとこれとは、話が違いますえー!!」
 二人はボロボロになった状態でいがみ合っていたが、元凶のハチミツについては知るよしもなかった。
 その頃、高松の実験室では、ハツカネズミがグンマから
 「おすそ分けだよ~v」
 と胡桃を貰い、幸せそうにそれを齧っていた。










 i 様ー!リクエストをしていただき、本当にありがとうございました・・・!(涙)
何かまた的外れなSSのような気もします(汗)が、 i 様に捧げますので・・・m(_ _)m


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