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ks*
二人揃って商談に赴くのはめずらしくない。
けれども、ガンマ団から離れて誕生日を迎えるのは初めてのことだった。



*



「あ~!くそっ。値切られるなんてな!!」
シンタローは髪をかき回しながら、ノブを回した。
カード式のキーが蛍光色に点滅しているのが夜目にも分かる。
ドアが開くとすぐにそれは引き抜かれ、色を失ったがそんなことどうだっていい。

「まあ、そういうな。あれ以上請求したら商売敵に持っていかれる」
この国は財政難なんだ、と宥めながら従兄弟のあとに続いて部屋に入る。
ドアを閉めて、内鍵も下ろす。
シンタローは「財政難!俺たちを最上階のスイートに泊めてかよ」とジャケットを乱暴に脱ぎながら言った。

「三ツ星だろうが国と癒着しなければ経営できないだろう。ここは経済統制された国だ」
「せめて、もう少しランク落としていいっていうのになあ」
落ちつかねえよ、とシンタローは言いながら靴を脱いだ。

「そうはいかないだろう。警備に穴があるのは危険だ。おまえに何かあったら困る」
「……にしたってスイートはねえだろうよ」
ジャケットを脱ぎ、ついでにベッドへと放り投げられたシンタローのものも一緒にクローゼットへ仕舞い込む。
彼の方はといえば、スリッパを履かず裸足のまま冷蔵庫を物色していた。


小さな冷蔵庫から飲み物を取り出しているシンタローを置いて、バスルームの扉を開く。
脱衣所と洗面台は朝とは違いきれいに片付いていた。
奥のガラス扉を開き、スリッパを脱いで裸足で進む。
金色の猫足がついたバスタブはなだらかな曲線を描いていて、優雅だった。
バスタブにためられた湯は一定の温度を保ち、いつ入ってもいいように適温が保たれている。
今朝、通訳にバスタブには何も入れるなと頼んだが覗き込むと改善はされていない。
昨夜と同じく、色とりどりの薔薇の花弁が浮いていた。


「シンタロー」
扉を閉めて、彼のほうへと向かうとシンタローはなにかを読んでいた。
ちょうど掌に収まるくらいの小さなカードだ。


「あれほど注意したのに風呂に花があったぞ」
「そうかよ」
ろくに聞いていない。
昨日「甘いにおいがウゼエ!!」と騒いだのはおまえだろう、と言ってやろうと近づくとそれに気づいたシンタローが「ほらよ」とカードを投げて寄越した。

「見てみろよ。俺たち二人に誕生日カードだ」

寄越されたそれは金色の文字で俺たち二人の名前と祝福の言葉が印字されている。
そういえば、誕生日だったなと思いカードを眺めているとシンタローはさらに「ケーキもあるってさ」と言った。

「ケーキ?」
「ああ。冷蔵庫にあるって最後の方に書かれてる」

ああ、本当だ。
少し小さめの文字で書かれている。
わざわざ、そんなサービスはしなくてもいいんだが。

「なあ、食おうぜ。さっきの会食、デザートはシャーベットだったから平気だろ」
「あまり甘いものを夜取るのはよくない」
「誕生日だしいいだろ。今日だけだから太らねえよ」
酒だって同じだろ、とシンタローは言った。
「それはそうだが……」

二人だけの誕生日なんてはじめてだろ。
お祝いしようぜ、とシンタローは口にする。

「少しならいいだろう」
仕方なく譲歩するとシンタローはにやっと笑った。



***



食べる前にとりあえず風呂に入ったほうがいいだろうと提案するとシンタローは承諾した。
彼のことだ。おそらく、ケーキだけじゃなくて酒も開けるに決まっている。
さっき、冷蔵庫を漁っていたときは結局ヴォルビックを開封したようだったが、ここにはなんでも揃っている。
飲み始めたらシンタローも俺も止まらない。
とくに明日は兵器工場の査察だけだった。どうしようもなく気分が悪かったら部下に頼むことも出来る。
久しぶりに彼と飲み明かすのもよいと思った。

「じゃあ、先に入ってきてくれ。俺は今日のことをまとめて本部にメールをしている」

「なんでだよ。一緒に入ろうぜ」
持ってきたノートパソコンと書類の類を用意しようとすると、シンタローはそれに対して怪訝そうな声を上げた。

「別に帰ってからでも間に合うだろう。第一、誕生日だぜ。
しかもここには煩い親父はいない。俺とおまえだけなんだぜ。楽しむにはピッタリだろ?」

ふ、と意味深な笑みを浮かべながらシンタローは言った。
一緒に入ってしまえばそれだけでは収拾がつかなくなる。
艶めいた色を瞳に浮かべたシンタローにそれでも、
「明日も仕事だぞ」
と酒だけならばまだしも、体を重ねてしまえば明日が辛いだろうと言い募っても彼は引き下がったりはしなかった。


「たまには甘い夜も過ごしてみたいんだよ。誕生日だしな、それとも嫌なのかよ?」


そこまで言われてしまえば頷くしかない。
もっとも、こんなチャンスは滅多にないのだ。普段だったら誕生日に二人で過ごすことなど出来ない。
誰かしらが互いの傍にいる。

甘い夜を、と所望されれば叶えるしかなかった。
誕生日のシンタローの望みは叶えてやらなくてはならない。



***



バスルームのドアを開けるとシンタローは服を脱ぐことはせずに、先程の俺と同じようにことバスタブを確認しに行った。
扉を開け、そこを覗き込むと彼は眉を顰めた。
「なんだ、ちっとも変わってねえじゃん。花が入っている」
とバスタブを覗き込みながら文句を言う彼にため息が出る。

さっき言ったじゃないか。聞いていなかったんだな。

言ったじゃないか、と思っているとシンタローはうすい白い紙に包まれた石鹸を手にとっていた。
包みを開け、バスタブの奥の壁についている小物入れに手を伸ばして戻している。
丸めた白い紙を左手に、右手には石鹸を持つ彼は不安定だった。
入るときにやればいいのに、馬鹿なやつだ。

「落ちるぞ」
彼のシャツには湯が少し染みていた。腰を支え、引き戻してやるとシンタローは悪戯っぽく笑った。

「落ちても風呂に入るにはかわりないだろ」
「服が濡れる」
ホテルでクリーニングに出すのは面倒だ、と口にするとシンタローは笑った。

「そうだな。じゃあ、濡れないようにおまえが脱がせろよ」





じゃれ合いながら互いの服を剥ぎ取り、邪魔になったそれらを籠に放り込もうとすぐ隣の脱衣所へと戻る。
シンタローはすでにバスタブの中だ。
二人分の衣料とはいえ、大した嵩ではない。彼の手を煩わす必要はないのだ。

シャツや下着類はそのまま籠に放り込み、ズボンだけは皺にならないように折り目に沿って畳む。
手早く作業を終えて、シンタローの元へと戻ると彼はゆったりとバスタブの縁に足を伸ばしていた。
美しいモザイクのタイルに溢れた湯と花びらが模様を描いている。

「シンタロー、石鹸をくれ」
促すと彼は放り投げて寄越した。
まだ使っていないから手の中で滑らずにきちんとキャッチできる。

彼が温まっている間に適当に洗ってしまおうとシャワーを捻る。
シンタローは機嫌よく鼻歌を歌っていた。




「シンタロー、交代しよう」
香りつきの風呂は好きではないが仕方がない。
シンタローはバスタブから立ち上がった。けれども、そこをどこうとはしない。

「シンタロー?」
「一緒に入ろうって言っただろ。早く来いよ」

仕方がない。今日は徹底的に甘やかすと決めたわけだし、と思いバスタブに足を入れる。
ぬるくも熱くもない。温度はちょうどよかった。

二人分の体積で湯と花びらが流れ出す。
同じようにバスタブの中で立ったままのシンタローを抱き寄せると彼は甘えるように俺の名前を呼んだ。



互いに向かい合いシンタローが上に乗り上げた格好でバスタブの背に凭れかかる。
湯に沈んでいないあらわになった彼の背中に黄色と白の花びらが付着していたのに気づいて指で払ってやるとシンタローはくすぐったそうに身じろいだ。

「なあ。いつもみたいにおまえが洗ってくれよ」

いつも一緒に入ったときは俺が洗ってやると怒るくせに、シンタローはそう言った。
バスタブに浸かるときに戻しておいた石鹸を手に取るとシンタローは俺の額にキスを落とす。

「よく洗えよな。あとで食わせてやるから」



石鹸を泡立てて、鎖骨のラインをなぞり上げるとシンタローはくすぐったいと文句を言った。
取り合わずにそのまま下へと指を滑らして女の胸を揉むようにやわやわと胸を触りながら泡を擦り付けると彼は怒った。
「そういうヤらしい洗い方はやめろよな!すっと洗えばいいんだよ!!」

別に照れることはないじゃないか。
まあ、怒らせるのはよくない。

胸から腰までのラインをごく普通に洗い始めるとシンタローは「それでいいんだよ」とぼそっと言った。
これでは俺としてはあまりおもしろくないんだが、という言葉は飲み込んで鍛えられた腹筋を触るとシンタローの睫が震えた。

くすぐったいんだろう。

臍をやさしく人差し指で撫でたときは睫だけではなく、肩も揺れた。

「次、背中な」

きゅっと首にかじりついてシンタローから注文が入る。
ここからがおもしろいところだったがまあいい。

抱きしめた状態で背中のくぼみをなぞるとシンタローはぴくっと反応した。
もう一度石鹸を軽く泡立てて、首筋へと指を落とし、なだらかな背中を丹念にマッサージをするように擦っていく。
すべすべした腰から尻にかけてを円を描くように擦りながら洗うと、シンタローはじとっとした目つきで「キンタロー」と言った。
それには取り合わず谷間を割って彼の秘所をやさしくプッシュする。
そのまま中も洗ってやろうと指でつつこうとするとシンタローは吠えた。

「キンタロッ!!そこあんまりいじんじゃねよッ」
「どうして」
別にいいじゃないかと言うと彼は「ダメだ。おまえが欲しくなる」と噛み付くようなキスを仕掛けながら言う。
彼の舌に応えようとさらに深くくちづけようとする。
けれども、シンタローはすっと離れた。

「もういい。こっから先は自分でやる」

立ち上がりシンタローはタイルへと足を落とす。
シャワーを捻り、俺から取り上げた石鹸を使う彼に思わず笑いが漏れた。

べつにここでコトに及ぼうとする気はなかったんだが。警戒されたのか。
それとも単なる意地悪なのか。
ふっとため息を吐くとシンタローはべえっと舌を出して笑った。




***




「もう出る、おまえもシャワー浴びろよ。花ついてるぞ」とシンタローは言ってシャワーを俺に寄越した。
彼が石鹸を戻しタオルで顔を拭っている間にさっと体を流す。
花のにおいは湯で流しても体に沁みついてとれなかった。
シンタローに続いて脱衣所へと入り、乾いたタオルで彼を軽くぬぐってやった後、ローブを着せてやろうとしたが拒否されてしまった。
濡れた足でぺたぺたと歩き、シンタローは全裸のまま部屋へと戻る。
体を拭いているのが面倒になってローブを羽織って追いかけていくと彼は冷蔵庫を覗き込んでいた。
全裸のまま、四つ這いのような格好で小さな冷蔵庫からなにかを取り出すシンタローにくらくらした。

そういう格好はやめてくれ。

「お!これだな、多分!!」
あった、あったとウキウキした口調で銀色の包みを取り出し、シンタローは満面の笑みで振り返った。

「キンタロー!!ケーキ食おう」
包みを手にしてはしゃぎながらシンタローはベッドへとダイブした。それから彼は、
「おまえフォーク知らねえ?冷蔵庫になかったから探せよ」
と言いながらうつぶせの姿勢でリボンを解き、包みを開けている。


「シンタロー」
「なんだよ?あったか?」
きれいに包装紙を開き、うすい白いガーゼのような包み紙の端を持ったままシンタローは言う。
俺を見ようともしない。ケーキにすっかり夢中になっている。
だが、ぎしっとベッドを軋ませるとシンタローは体を起こして俺のほうへと向いた。

「なに?フォークなかったのかよ?」
じゃあ、手か。まあレアチーズケーキみたいだしいいよな、とシンタローは俺に包まれたままのケーキを見せる。

「結構うまそうだぜ。ほら、キンタロー、あ~ん」
指に少し掬い取ってシンタローはそう言った。
突きつけられた彼の指をぱくっと口に入れる。
やわらかな酸味と甘さを舐め取るとシンタローはくすぐったそうに笑った。

「ちゃんと舐めろよ。なあ、うまい?」
「ああ」

それじゃ、俺も食おうとケーキを指で掬い舐め取った。ふわと溶ける食感に目を細めている。
半分こにしてやるからな、と小さめのケーキをぱくつきながらシンタローは言った。
その表情はかわいい。


「うまいからグンマに買ってってやるか」
と彼は従兄弟のことを口にした。
至福といった顔でシンタローは蝕している。白い雪のようなレアチーズから赤いジャムが流れた時は歓声を上げて喜んだ。



「シンタロー」
「なんだよ。勝手に掬って食えよ」
ほら、こっから先がおまえの分と指しながらシンタローは言った。

「いや、ケーキじゃない」
「じゃあ、なんだよ」
いらねえんなら俺が食うぞ、と口を尖らせた彼の頬にはクリームがついている。
それを指先で拭ってやると彼は合点した表情を浮かべた。
「なんだ口で言えよ」

ほら、おまえも食えよとシンタローは勧める。けれども首を振ると彼は「甘いのいやか?酒にするか?」と尋ねた。

「ケーキよりも酒よりもおまえが食いたい」
あとで食わせてくれるといっただろう、と手首を掴むとシンタローは「仕方ねえな」と俺に言った。

めずらしい。
彼はいつもより機嫌がいい。いつもだったら「ふざけんな」とか「すぐにサカるな!!少し待てよッ」とか色々と口にする。
だが、別にいい。願ってもなかなか訪れない好機だ。

彼からケーキを取り上げて押し倒すとシンタローは人が悪い笑みを浮かべた。

「そのケーキ食い終わったら突っ込ませてやるよ」
残りはおまえの分だから、と笑いながら言うシンタローが少し憎らしい。

「いいだろう」
承諾してケーキの包みを開けるとシンタローはおや?という顔をした。

「めずらしいな。おまえあんまりそういうの食わないのに。手伝ってやろうか?」
俺の体の下にいたシンタローは上体を起こしながらそう口にした。願ってもないことだ。

「そうしてもらおうか」
手伝ってくれ、と言うとシンタローはぱっと顔を輝かせた。よほど気に入ったのだろう。
帰りにはグンマと彼の分を買うのを忘れないようにしないと。

クリームを掬い取って口に含む。
ほのかな甘みに口腔が満たされているままシンタローに口づけると彼はやられたという顔をした。

「ん……むぅ。ふ……」

クリームを舌で舐めとり、味わうようにシンタローの舌が動き回る。
キスをやめて、瞼にくちづけを落とすと彼はじっと睨んだ。

「ずりぃぞ、キンタロー」
「手伝ってくれるんだろう。それにシンタローの方が食いたい」
「ったく。しょうがねえなぁ」
勝手にしろよ、と照れくさそうにシンタローは吐き捨てた。



お許しが出たのを幸いに、クリームをさらに掬い取って彼の体に塗りつけていく。
シンタローはべたべたとクリームが塗りつけられるのを口を尖らせて見ていた。
「ちゃんと全部舐めろよ」
それとあとで風呂な、と彼は要求を重ねた。そんなことあたりまえじゃないか、と思うも素直に「分かった」と言うと彼はぷいと顔を背けた。

シンタローの上半身はクリームが擦り付けられ、ところどころ白くなっている。
彼の体に乗り上げてふい、と背けた顔を覗き込むと指でクリームを塗りながらやわらかく体をなぞっていたことで目は少し潤んでいた。

「シンタロー。好きだ」
好きだ、愛していると繰り返し黒い目の縁にやさしいキスを落とすと彼は俺の髪を掴んだ。

「ん……。はやく食えよ」
照れくさそうにシンタローは身をよじった。
彼も俺に愛していると言ってくれないのが少し残念だった。

ちゅ、と喉元に齧りついて肩を甘く噛むとシンタローは小さい声を漏らした。
左肩にはクリームが少しついている。
甘く噛みながらぺろぺろと舌で舐め取ると彼の体が揺れた。
くすぐったそうにしている。
そのまま鎖骨をすーっとなぞり、くぼんだ場所のクリームをちゅっちゅっと音を立てて吸い上げた。

「あ、やめ……キンタロー」
「ここはくすぐったくないんだな」

顔を落として滑らかな胸に頬を当てる。
ど、ど、どと速く鼓動を刻むシンタローの心音が耳に響いた。
赤ん坊が母親に抱かれるような体勢で彼の胸の尖りに舌を伸ばすとシンタローはさらに体を揺らした。
クリームに隠されて小さな盛り上がりになっている乳首に吸い付くとシンタローはぎゅっと髪を掴んでくる。

「あ、ん……。う…ふ、やめ」
白いクリームを舐めてぷくっと膨らんでいるそこを吸い付くとシンタローは反応した。
このケーキと同じだ。
白いところからうす赤くはりつめた蕾が舐めるたびにじわじわと現れてくる。
ちゅ、ちゅと音を立てて吸うとシンタローは顔を覆った。

「な!あ、やめ……この…あ、」
頬を寄せていた右の胸もついでにかるく弄ってやると彼は非難の声を上げる。
やだ、と顔を覆って恥ずかしそうにしている彼が愛しい。
クリームを枕元に置いた包みから掬い取り、覆っていた顔から手を引き離させた。彼の指に纏わりつかせる。
そのまま口に含ませてやるとシンタローは目をとろんとさせた。

「甘くてうまいだろう。指でもしゃぶっていろ」

もう一度、クリームを掬い取って彼の胸に擦り付ける。
再び、乳を吸い始めるとシンタローは指をしゃぶりながら喘いだ。
悩ましいため息を吐く彼の全身は熱を帯びている。
腹に塗ったクリームがとろり、と臍に流れ込んでいる。
胸に吸い付くのはやめて、流れ落ちる溶けたクリームを急きとめようと臍の下から舐め上げるとシンタローは悲鳴を上げた。

「アッ、ア……ン!!」

臍のくぼみを舌先でつつくとシンタローは震えた。
その少し下部へと視線を落とすと彼自身はすでに熱を帯び、じわじわと勃ちあがっている。
それをクリームでぬめる手で絡めとると「ひっ」とシンタローが息を呑んだ。

「舐めているだけなのにもうこんなんになっているんだな」
腰を深く割り込ませて、彼の足を俺の背へと掲げる。
ちょうど子どものオムツ替えのような姿勢になった。シンタローは浮いた足をぴくぴくと震わせた。。
もうひとかけらになってしまったクリームを手にとって彼のモノと奥ずく秘所へと塗り込める。
ぬるぬるした手で握り込んだまま、口に含むとシンタローはびくっと大きく反応した。

「んあッ!!キンタロー!」

白いクリームでべたべのシンタロー自身はすでに達してしまったように見える。
ぬるぬると滑る手で押さえながら、先端に吸い付くと甘さとともに滲み出た彼の蜜が口に広がる。
少しの苦味がクリームの味をアンバランスに壊していく。
けれども、それには構わずにぬめりつく指にもたついた愛撫を施す。
シンタローはしゃぶっていた指を噛み締めながら必死で耐えていた。

乳首に与えていた刺激よりも強く吸い付く。
ぬちゃぬちゃと濡れた音を響かせながら揉みしだくとシンタローは涙を流している。
指を口に入れたまま声にならない喘ぎを絶えず零し、彼の口元は唾液ででろでろになっていた。

クリームの味が薄れ、シンタロー本来の味が口腔を満たす頃合になると彼は「もうっ……はやく、もっ…」と泣きながら懇願し始める。
クリームを塗り込んだまま放置していた彼の秘所はぱくぱくと欲しがるようにひくついている。
真っ白いクリームはシンタロー自身がとめどなく流すカウパー液で少しゆるくなっていた。
張り詰めたシンタロー自身を口腔に含んだまま、左手の指をぬぷっと秘所に差し込む。
自身の熱で温められ、ひくひくと蠢いていたソコはクリームの滑りもあって楽に進入した。

「あっ…ソコ…ふ、い、い。ああ…キンタロー」
早くとねだるように腰をシンタローは押し付ける。
体などとっくに何度も重ねあっている。
さして抵抗も見られず、にゅぷにゅぷと指を奥へと差込み、かき回す様に動かすとシンタローのモノが口腔で震えた。
指を差し込む動きをやめずに先端の敏感な場所を舌でつつき、歯をやんわりと立てる。

「ひっ!や、アアッ!アッ、ア、ァ……」
その途端、シンタローは刺激に耐えられずに蜜を溢れ出させた。
口腔に流れ込む彼の蜜を余さず喉に流し込む。
「あ、飲む…な、やあ、っつ、ふ、あ…」
シンタローはいやいやをするように首を振り、俺の行動を止めようと拒否した。
けれどもびくびくと震え、放出される蜜の奔流は止められない。
ごきゅ、ごきゅっと喉を鳴らし、最後の一滴まで無駄にしないように飲むとシンタローは俺の背へと掲げられた足を弛緩させ、ばたっと落とした。
足は横に広げられ、ベッドに落としたときの反動で膝が軽く曲がっている。
達したばかりの、けれども差し込んだままの指で再び勢いを取り戻す自身と指に翻弄される秘所を曝け出し、シンタローはふるふると頭を振りながらか細い声で俺を呼んだ。

「も、来いよ……いいから。キンタロー」

「シンタロー」
指を引き抜いて、シンタローが広げている足の、ちょうど腿のあたりを掴む。
腰を深く進めるとシンタローは期待に喘いだ。
ぐっと体を割り込ませて待ち望んでいる場所へと高ぶった自身に手を添えて、侵入を開始する。
クリームを刷り込まれ、ぐちゃぐちゃにやわらかくなったソコは俺を拒みはしなかった。

「シンタロー」

少しだけきつそうに眉をきゅっと顰める彼にキスを落とす。
目元にもキスを落とし、流れていた生理的な涙の痕を舌先で丁寧に舐めるとシンタローの睫が震えた。
塩辛いはずの涙も彼が流したものだというだけで甘く感じる。
ぐっと体をさらに奥へと進めると、シンタローのソコは収縮しながら俺をさらに引き込もうと迎え入れる。

「アッ!ひっ、ああ、あ…ああ」
きゅっと俺を締め付け、捻り込まれる衝撃に耐えようとするシンタローの顔は再び涙に濡れている。
だらしなく唾液も少し口の端から溢れていた。

俺の背へとかじりつき、爪を立てる彼を攻め立てながら顔のそこここにキスを落とす。
がむしゃらに彼が悲鳴を上げるところに突き立てるとシンタローは再び涙を流した。
頬から首の後ろへと流れていく涙を舌で掬う。
腰を揺らし、突きたてる度にシンタローは喉を仰け反る。

ぬるめく熱が俺に絡みつく。
ぐちゅぐちゅとぬめりを捏ねる音が響く。
そのたびに立てられた爪に力がこもり、甘い痛みが断続的に背に与えられえる。

溢れ出す思いと熱が高まり、どうしようもないほど気分が高揚してきた。
疾走する動きは止まらない。とめどなく俺を追い込むシンタローの熱と甘い声とが煽り、高みへと押し上げていく。

「シンタロー」
吐き出す声も熱を帯びている。熱い吐息が声とともに彼の顔を掠めるとシンタローは背に回していた腕を首にずらした。

「シンタロー」

「い、ア…アッ!ああっ。ん…きんたろっ、きんたろっ」
彼がもっとも反応を返す場所を抉るとシンタローはぎゅっと抱きしめる力を強くする。
彼の長い髪を掻き分けて後頭部に手を差し込み、「ソコ、いい……うあ…あ」と喘ぎながらいやいやと顔を振るシンタローの顔を固定する。

「あ、見んな…よ。きんたろっ!ふぅ、ん…い、ああ」
キンタローと呂律の回らない声を出すシンタローに深く口づける。

「ん、ふぅ。ん……むぅ…」

シンタローの舌は甘い。
クリームの味などもう消えているはずなのに甘い。ケーキよりも甘く俺の舌を蕩かす。

熱い口内を蹂躙し、絡み合い、互いに味わう。
彼の目は潤んだ熱で沸いた涙で蕩けそうになっていた。
熱いくちづけを終えて、物足りなそうにしているシンタローの瞳に舌を伸ばす。

黒い目が揺れた。
甘い涙が落ちていく。

髪を分けていた手を下へと落とし、彼の腰を掴むとシンタローの瞳が揺らいだ。
また、甘い涙が零れ落ちていく。

「シンタロー、好きだ」
掴んだ腰をぐっと引き寄せると彼の睫が震えた。睫をくるんでいた涙がほろりと落ちた。

「キンタロッ!アッアッー、やあぁ」

捻り込み、抉る角度を浅く深く急速にチェンジする。
ど、ど、どと合わせられた胸から互いの心音が震える。
深く繋がった場所はどくどくと体中の血液が集まっているかのように感じられる。

熱い快楽が途切れぬ波となって襲ってくる。

シンタローが好きだ。彼を深く愛している。
その気持ちとともに彼と共有する甘い熱が押し寄せ、高波を起こし、引き換えせぬところまで押し上げる。

もう、彼をいたわろうとやんわりと動くことなどできなかった。

打ち付ける腰を、揺さぶる動きをなにもかもがスピードを上げていく。
浅く抉り、じんわりとした悦楽を与えていくことなどできない。
深く、深く、彼のすべてを喰らい尽くそうと情動のまま突き進む。

「ああっ、あっ…きんたろー、きんたろー!!」
がむしゃらに彼を動かし、キスをしかけ、雨のようにシンタローに降らせる。
どこにくちづけてもシンタローは甘かった。

思うが侭に翻弄しても彼は甘く啼き、俺を呼んだ。



「シンタロー、愛している」
好きだ、とか何度も彼の名前を呼んだりしながら腰を打ち付けるとシンタローはがくがくと首を振り、首肯する。
ためられた涙も唾液もなにもかもに構わず、彼は俺を呼ぶ。

「きんたろっ、お、れも……」
愛していると彼が言おうとした言葉は俺の口の中に消えた。
甘い言葉とともに彼の唾液を飲み下すとシンタローは目を閉じた。
眉根を寄せ、震える睫が終息の時を告げている。

「シンタロー」
閉じられた瞼にやさしくキスを落として、一番深く彼の内を抉った。

「あっあっ!あ、い、ああ……」

びくびくと彼の体が弛緩する。
伸びた足もぴくぴくと小刻みに震え、仰け反った喉も胸も上下し、体中を収縮させている。
俺を銜え込んでいた彼の奥づく場所もひくつきを止めなかった。
ぬめった彼自身が何度も震え、甘い彼の熱を放つ。

止められない熱の放出にシンタローの体はびくびくとした反応を返す。
腹と胸を少し白く飾った彼の熱が抱き寄せた俺の体にぬちゅっと広がった。

シンタローの締め付けにもう我慢できずに彼の中へと俺も熱を解放していく。

どく、どく、どく。

体中を流れる血液と心音のように熱い波を起こしながら、彼に注ぎ込む。
すでに達していたというのにシンタローは身の内でそれを感じて再び体を震わせた。
きゅっと窄まる彼の奥に搾り取られ、呻くとシンタローは甘い息を零した。





***





つながりを解いても体を離さずに抱き合っているとシンタローが上体を起こし、俺から離れた。
もう少し余韻を楽しみたいのに、と不満そうな表情を浮かべると彼は笑う。

「今、何時かと思ったんだよ」

近くには時計が見当たらない。
彼は起き上がってしまうのだろうか、と見ていると彼は再び体を横たえる。

「シンタロー?」
「も、少しこのままでもいいよな」
顔を見合わせたまま、互いにふっと口をゆるめる。
なんだ、同じ事を考えていたんだな。


じっと彼を抱いたまま髪を撫でる。彼の髪は長い。それに滑らかで手触りもよかった。
ひと房だけ口に持ってくると甘い香りがした。
ケーキの甘さではない。バスタブに撒かれていた花だろう。
髪の先にくちづけるとシンタローはそれをひったくった。

「おまえ、ホント俺の髪好きだよな」
しょっちゅうやる、クセになってるんじゃねえの、と膨れる彼は可愛い。

「シンタローが甘いから」
どこでも味わってみたくなるんだ、と額にキスをすると彼は不思議そうな顔をした。

「好きだ。シンタロー、誰よりも愛している」

抱きしめる力がぎゅっと強くなる。
照れくさそうな顔をして何も言わない彼に笑みが大きくなる。

「愛している。それから……誕生日おめでとう」

頬にちゅっと軽いキスをして、祝福をすると彼は笑った。

「おまえもだろ。誕生日おめでとう、キンタロー」


彼の声は甘い。
くすくすと笑いながら小さなキスを互いに落としていく。じゃれあい、体の位置を変えてベッドの上を転げ回る。

シンタローはどこも甘い。
キスを降らすたびに甘さと愛しさで幸せな気持ちになる。


「好きだ」と言うとシンタローは「馬ー鹿」と一言言った。そんなこと分かってる、と俺の髪や頬にキスをくれた。



愛している。
それから、誕生日おめでとう、シンタロー。


じゃれあい、ふざけまわったまま甘い夜が更けていく。

シンタローは甘い。
そして、誰よりも愛しかった。



END


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