交わった後の余韻に浸っていると体が冷えてきた。
すでにシーツは剥ぎ取っていたし、今更がっつくような仲ではない。
着衣ではなく素肌のまま触れ合っていた所為か触れ合うところだけ熱く、剥き出しの肩や背などはひんやりとした空気を感じていた。
「寒くないか?」
腕に抱きこんだまま従兄弟に尋ねると彼からは掠れた声が返ってくる。
「…べつに。眠い」
わずかに赤く腫らした瞼は眠たげだった。閉じようとする重力に逆らうように必死で目を開けている。
「明日はオフだ、ゆっくり眠っていればいい」
汗でしっとりした髪を撫で付けてやるとシンタローは上目遣いでじっと見てきた。
「眠い」
「だから眠ればいいだろう」
「体が気持ち悪いんだよっ、中に出しやがって」
それはすまなかった。
抱き込んでいた腕を外し、起き上がってバスルームへと向かう。湯に浸したタオルを持ってくるとシンタローが腕を伸ばした。
「ソレ、寄越せ」
自分で拭く、と言いたいのだろう。それには反論することなく素直に渡してやるとシンタローがほっとため息を吐いた。
馬鹿なヤツだ。
ぺたりとシーツの上に座り、互いの汗や体液でべたべたとした体を拭くシンタローを俺は黙って見る。
くそっとか舌打ちしながらごしごしと力を入れて拭くシンタローはかわいい。
上体をあらかた拭いて腿へと彼が向かおうとしたとき、俺も彼へと指を伸ばした。
「なにすんだよっ」
タオルを持っていた手首を掴み、転がすように押し倒すと面白い具合に足が浮いてくる。
カエルを解剖する時のような体勢にすると、彼は持っている力を振り絞るように足をばたつかせ始めた。
「ふざ…けんなっ、キンタロー」
あんだけやっといてまだ足りないのかよ、盛るな、やめろ、イヤだ!とシンタローは足をばたつかせ振りほどこうと暴れる。
けれども普段とは違い、情事のけだるさと体への負担の所為で痛くも痒くもなかった。
「シンタロー、勘違いするな」
彼を攻め立てるときのようにぐいっと足を開かせて体を割り込ませる。
「きれいにしてやるだけだ、ココは自分ではうまくできないだろう」
ひくつきながらもとろりと俺の残滓を流すソコを指ではじいてやると、シンタローは小さく声を漏らした。
「や、め…ひとり、…でき、る」
「たまには手伝わせろ。原因は俺にあるんだからな、責任を取ってやる」
暴れ、掠れた喉を振り絞るように喚いていたシンタローも指を差し入れると急に大人しくなった。
もとより、疲労した体ではろくに抵抗など出来ないのは充分分かっていたのだろう。
抵抗も軽いものだった。
慣らしたときのようにじっくりと、たんねんに繊細な注意を払って指を入れる。
緩んでいたそこは難なく俺の指を貪欲に飲み込み始めた。
くぷくぷと音を立てて溢れるそこにタオルを当ててやる。
抵抗などもうない。掴んでいた手は当に離していたし、俺はもうシンタローを押さえ込んでいない。
シンタローは足を自分で閉じて逃げようとすることが出来るのにしないでいる。
人差し指だけでは作業が進まなかったので、中指も差し入れると肉の環が窄まった。
シンタローは全身を小刻みに震えさせている。
必死で歯を食いしばっていた。
気づかない振りをして、鉤型に間接を曲げて掻き回す。溢れ出すくちゅっとした水音に比例するように彼の息が荒くなっていく。
「どうした、シンタロー。具合が悪いのか」
はあはあと熱い息を吐くシンタローを気遣うように装いながらも手は休めなかった。
水音がやみ、出したものはすべてタオルが吸い取ったのに俺は指を引き抜くことはしない。
シンタローも自分の中がどういう状態くらいは分かっているだろう。
粘着質な音ではなく、指で擦る音が内部で響いているはずだ。
じわじわとシンタローの自身が勢いを取り戻し、赤みを帯びながらふるふると天を仰ぐ。
呻き声だけで、声を抑え、息を吐きつづけるシンタローに、
「もういいな、抜くぞ。充分きれいになった」
と言うと彼は自分で俺の指を締め付けた。
「わ、かって…クセ、に」
息を荒くしたシンタローが足を絡めてくる。
「なにがだ」
意地悪く、空いた手で彼の片側の腿を押し開きすばやく抜き取る。
「や、あ…、抜く、な」
シンタローの目には涙が浮かんでいた。ぱくぱくと口を鯉のように開けて荒い息が止まらない。
「そんなことを言っても、充分きれいになっただろう」
シンタローの下に当てていたタオルを再び手にとって、使っていた二本の指を拭く。
あたたかかったはずの布地はすでにぬるくなっていた。
シンタローは息を吐くのも困難になっていた。ぼろぼろと涙をこぼし、シーツをぎゅっと握り締めている。
「ひ、ど…な、」
なんでという言葉すら口から吐けない。
全身を戦慄かせ、必死で俺を引き寄せようと右手を上に上げる。
伸ばされた指を手にとってやると、息を吐くだけではなくだらしなく唾液をたらしていた口が笑みを形作った。
「キ…ンタロ」
俺が彼の熱い熱を取ってやるのかと思ったんだろう。
ちゅっ、と軽く音を彼の指先に立ててやるともう一度俺の名を呼んだ。
「な…キンタロッ、はや…」
口づけた先から、爪や指の関節を舐めしゃぶる。仰ぐ彼自身を口淫するのに見立てて吸い付くと身をよじった。
「キンタロ、ゆび、や…」
だが、ゆびではないものをせがんだ彼を裏切る言葉と動作を取る。
「手伝ってやるから自分でしろ、シンタロー」
仰いでいるシンタロ-自身を彼の手指をとって、間接的に握りこむとシンタローは泣きじゃくった。
「や、だ…キン、タロ…や、やぁ…あ、ふ」
「いやじゃないだろう。気持ちがいいくせに」
俺の指は添えられただけだ。けれどもシンタローは体を震わせ、泣きながらも自分で慰めている。
彼が自身を動かし、肉が擦れるいやらしい音を立てているのを添えた手を通して俺は感じている。
涙声でいやだと連呼しつつ、シンタローは動きを早め続ける。
ぐちゃぐちゃに涙で濡れた彼からは不明瞭な言葉しか漏れない。
「や、や、ああ、あ…ん、ん!あッ」
ぐちゅっと音が立った。今までで一番大きい音が。
握り締めていた彼の手から俺の掌へと熱い感触がじわりと伝わってくる。
呆然自失といった表情のシンタローは固まったままだった。
体を寝かせて、彼が放ったものを拭き清めてやる。
すばやく清拭を終え、シンタローを覗き込むと彼は虚空を見据えていた。
生理的な涙が伝わる目じりに舌を寄せて掬い取ると、うす塩辛い味が口内に広がる。
「最初に一人でできると言ったのはお前だっただろう」
囁いても彼は何も答えぬまま、ただ虚空を見つめていた。
END
すでにシーツは剥ぎ取っていたし、今更がっつくような仲ではない。
着衣ではなく素肌のまま触れ合っていた所為か触れ合うところだけ熱く、剥き出しの肩や背などはひんやりとした空気を感じていた。
「寒くないか?」
腕に抱きこんだまま従兄弟に尋ねると彼からは掠れた声が返ってくる。
「…べつに。眠い」
わずかに赤く腫らした瞼は眠たげだった。閉じようとする重力に逆らうように必死で目を開けている。
「明日はオフだ、ゆっくり眠っていればいい」
汗でしっとりした髪を撫で付けてやるとシンタローは上目遣いでじっと見てきた。
「眠い」
「だから眠ればいいだろう」
「体が気持ち悪いんだよっ、中に出しやがって」
それはすまなかった。
抱き込んでいた腕を外し、起き上がってバスルームへと向かう。湯に浸したタオルを持ってくるとシンタローが腕を伸ばした。
「ソレ、寄越せ」
自分で拭く、と言いたいのだろう。それには反論することなく素直に渡してやるとシンタローがほっとため息を吐いた。
馬鹿なヤツだ。
ぺたりとシーツの上に座り、互いの汗や体液でべたべたとした体を拭くシンタローを俺は黙って見る。
くそっとか舌打ちしながらごしごしと力を入れて拭くシンタローはかわいい。
上体をあらかた拭いて腿へと彼が向かおうとしたとき、俺も彼へと指を伸ばした。
「なにすんだよっ」
タオルを持っていた手首を掴み、転がすように押し倒すと面白い具合に足が浮いてくる。
カエルを解剖する時のような体勢にすると、彼は持っている力を振り絞るように足をばたつかせ始めた。
「ふざ…けんなっ、キンタロー」
あんだけやっといてまだ足りないのかよ、盛るな、やめろ、イヤだ!とシンタローは足をばたつかせ振りほどこうと暴れる。
けれども普段とは違い、情事のけだるさと体への負担の所為で痛くも痒くもなかった。
「シンタロー、勘違いするな」
彼を攻め立てるときのようにぐいっと足を開かせて体を割り込ませる。
「きれいにしてやるだけだ、ココは自分ではうまくできないだろう」
ひくつきながらもとろりと俺の残滓を流すソコを指ではじいてやると、シンタローは小さく声を漏らした。
「や、め…ひとり、…でき、る」
「たまには手伝わせろ。原因は俺にあるんだからな、責任を取ってやる」
暴れ、掠れた喉を振り絞るように喚いていたシンタローも指を差し入れると急に大人しくなった。
もとより、疲労した体ではろくに抵抗など出来ないのは充分分かっていたのだろう。
抵抗も軽いものだった。
慣らしたときのようにじっくりと、たんねんに繊細な注意を払って指を入れる。
緩んでいたそこは難なく俺の指を貪欲に飲み込み始めた。
くぷくぷと音を立てて溢れるそこにタオルを当ててやる。
抵抗などもうない。掴んでいた手は当に離していたし、俺はもうシンタローを押さえ込んでいない。
シンタローは足を自分で閉じて逃げようとすることが出来るのにしないでいる。
人差し指だけでは作業が進まなかったので、中指も差し入れると肉の環が窄まった。
シンタローは全身を小刻みに震えさせている。
必死で歯を食いしばっていた。
気づかない振りをして、鉤型に間接を曲げて掻き回す。溢れ出すくちゅっとした水音に比例するように彼の息が荒くなっていく。
「どうした、シンタロー。具合が悪いのか」
はあはあと熱い息を吐くシンタローを気遣うように装いながらも手は休めなかった。
水音がやみ、出したものはすべてタオルが吸い取ったのに俺は指を引き抜くことはしない。
シンタローも自分の中がどういう状態くらいは分かっているだろう。
粘着質な音ではなく、指で擦る音が内部で響いているはずだ。
じわじわとシンタローの自身が勢いを取り戻し、赤みを帯びながらふるふると天を仰ぐ。
呻き声だけで、声を抑え、息を吐きつづけるシンタローに、
「もういいな、抜くぞ。充分きれいになった」
と言うと彼は自分で俺の指を締め付けた。
「わ、かって…クセ、に」
息を荒くしたシンタローが足を絡めてくる。
「なにがだ」
意地悪く、空いた手で彼の片側の腿を押し開きすばやく抜き取る。
「や、あ…、抜く、な」
シンタローの目には涙が浮かんでいた。ぱくぱくと口を鯉のように開けて荒い息が止まらない。
「そんなことを言っても、充分きれいになっただろう」
シンタローの下に当てていたタオルを再び手にとって、使っていた二本の指を拭く。
あたたかかったはずの布地はすでにぬるくなっていた。
シンタローは息を吐くのも困難になっていた。ぼろぼろと涙をこぼし、シーツをぎゅっと握り締めている。
「ひ、ど…な、」
なんでという言葉すら口から吐けない。
全身を戦慄かせ、必死で俺を引き寄せようと右手を上に上げる。
伸ばされた指を手にとってやると、息を吐くだけではなくだらしなく唾液をたらしていた口が笑みを形作った。
「キ…ンタロ」
俺が彼の熱い熱を取ってやるのかと思ったんだろう。
ちゅっ、と軽く音を彼の指先に立ててやるともう一度俺の名を呼んだ。
「な…キンタロッ、はや…」
口づけた先から、爪や指の関節を舐めしゃぶる。仰ぐ彼自身を口淫するのに見立てて吸い付くと身をよじった。
「キンタロ、ゆび、や…」
だが、ゆびではないものをせがんだ彼を裏切る言葉と動作を取る。
「手伝ってやるから自分でしろ、シンタロー」
仰いでいるシンタロ-自身を彼の手指をとって、間接的に握りこむとシンタローは泣きじゃくった。
「や、だ…キン、タロ…や、やぁ…あ、ふ」
「いやじゃないだろう。気持ちがいいくせに」
俺の指は添えられただけだ。けれどもシンタローは体を震わせ、泣きながらも自分で慰めている。
彼が自身を動かし、肉が擦れるいやらしい音を立てているのを添えた手を通して俺は感じている。
涙声でいやだと連呼しつつ、シンタローは動きを早め続ける。
ぐちゃぐちゃに涙で濡れた彼からは不明瞭な言葉しか漏れない。
「や、や、ああ、あ…ん、ん!あッ」
ぐちゅっと音が立った。今までで一番大きい音が。
握り締めていた彼の手から俺の掌へと熱い感触がじわりと伝わってくる。
呆然自失といった表情のシンタローは固まったままだった。
体を寝かせて、彼が放ったものを拭き清めてやる。
すばやく清拭を終え、シンタローを覗き込むと彼は虚空を見据えていた。
生理的な涙が伝わる目じりに舌を寄せて掬い取ると、うす塩辛い味が口内に広がる。
「最初に一人でできると言ったのはお前だっただろう」
囁いても彼は何も答えぬまま、ただ虚空を見つめていた。
END
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