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ks



悪い事は立て続けに続くと聞くが、迷信だと疑わない。
例えば昨夜の後、シンタローと些細な事で小競り合いになり、シンタローを怒らせたまま睡魔に負けてそのまま寝てしまったのだが、
朝起床してから昼過ぎの今まで特別支障はなかった。
だから…………油断していたのだと思う。

昨夜喧嘩したまま寝別れてしまった為か、総帥室に訪れた際のヤツの態度は傍目からも分かるほどオレに距離感を置いていた。
ただ、どうにもおかしいのだ。
怒っているというよりも、例えるなら何か悪い事でもして何時親にばれるかビクビクしている子ども、又は、
何か伝えたい事があって伝えられないもどかしさを抱えている………そんな風に見えた。
どちらにせよ、シンタローはオレに何かを隠している事だけは確信した。
だが今はまだ問い詰める時期では無いのかもしれない。
昨夜も小さな事で小競り合いになったんだ。
真相を確かめるのは今夜まで待ってみてもいいのかもしれない。
そう一人で結論をつけた時、シンタローに名前を呼ばれた。
「何だ?」
「あ、あの………よ……。あ………え~………と」
シンタローらしからぬ歯切れの悪い反応に眉を顰める。
大の男に使うべき表現ではないだろうが、顔を真っ赤にしてもじもじとしている。
視線はオレを見ず、逸らしてばかりいる。
「だから何だ?」
キツイ口調にならぬよう、出来るだけやんわりと聞いてやる。
シンタローは暫く、あーだとうーだの呻いていたが、やがて小さな声で話し始めた。
「あの……な。落ち着いて聞いて欲しいんだよ…」
「安心しろ。オレは十分落ち着いている」
寧ろお前の方が十分落ち着いていない。
「え………と……、その、ほら、オレ達付き合って…結構経つだろ?で、夜もやる事してるしさ…」
「そうだな。もう年数を数えるほどの付き合いになっているな」
しかしそれがどうしたと言うのだろうか?
今更付き合ってるだの夜はどうだの。
心の片隅で疑問を感じているオレに気付いているのかいないのかシンタローは搾り出すように本題へと近付いていった。
「だから……さ。オレ、………………出来ちゃった、みたいなんだよな」
「?」
ただ“出来た”だけでは分からないぞ。何が“出来た”んだ。

ぎゅむ…ッ

突然シンタローが抱き付いてきた。
一体何なんだ?
「シンタr「子ども」
オレの言葉はシンタローの一言に上書きされてしまった。
…………………………子ども?
子どもがどうしたと…?
「子どもが出来ちまったみたいなんだよ。オマエと、オレの」
「――――――――」
世界が、固まった。

シンタローを身体から離し、肩を掴んで視線を合わせた。
「ちょっと待て、シンタロー。子どもと言うのはその、オレとオマエの…?」
「だからさっきそう言ったじゃねえか」
いや、だが子どもが出来ると言うのは女性の身体のみ行える奇跡の生成で、シンタローは男だ。
確かに夜に行っているソレは本来子孫繁栄の為のものだ。
だが男同士のオレ達には無関係だと思っていたというのに…、シンタローが身篭っただと…?
「産んじゃ、駄目か?」
シンタローの声のトーンが下がる。
瞳は不安の色に沈み、オレに拒否されたと落胆しているようだった。
「確かに男が………しかもガンマ団の長が身篭るなんて世界に知れ渡ったらどれだけ団にマイナスを与えるか知れない。
けど、オレは……」
「シンタロー」
「!?」
もう一度再び、今度はオレから抱き締めた。
「産め。…………いや、産んで欲しい」
「………マジ、で?」
「ああ、オレもそれを望んでいる」
ほっと安堵した溜息が胸の辺りから漏れた。確かにこれからオレ達に起こる障害は山積となるだろう。
だが、それでも守ってみせる。シンタローと、未だ見ぬオレ達の子を。



「という訳で、高松、妊婦……いや、妊夫と言うべきか…?……にシンタローがなったのだが、オレはどうするべきだろうか」
身篭ったシンタローは恐らく通常とは心も身体も変わってしまうのだろう。
しかしその方面の知識が今まで無かったオレが頼る先は、シンタローとキンタローの出産に立ち会った高松。
彼の腰を下ろす医務室にすぐさま駆け込んだ。
シンタローが身篭った話を一通り話し終えるオレに、高松が何故か冷や汗を流して苦笑していた。
「キンタロー様。そのシンタロー君から先程内線がありましてね……」
「シンタローから?高松にか?」
「はい…。あの………非常に質の悪いご冗談を、シンタロー君も思いついたみたいですね…」
何を言っているんだ?高松の言わんとする事が分からない。
「“キンタローに言っておけ。男が孕むか馬―鹿!”
 ……………以上がシンタロー君からの内線内容、です。喧嘩でもしたんですか?お二人共」


……………………………………………………………
…………………………………
……。



「シンタロォォォぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!」
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