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kk



この世界にこれほど鮮やかな色彩がある事、
空気の匂い、
快晴の空の色、
太陽の熱、
雨の感触、
犬の毛並み、
全てが目新しかった。

自分の行動一つに課せられる責任の重さ、
他人の目から受ける感情、
触れ合う温度の温かさ、
世界の誰もが全く同じ者は存在せず皆が完全に別個の存在である事を、今まで知らなかった。

アイツから送り届けられるこの身体の記憶は、封じ込められ身動きを許されないオレにも自然と流れ込んできた。
アイツの経験はオレの蓄積となる。
だが、アイツの感情は朧気で微々たる単純な情報しか流れてこなかった。
アイツが怒る・哀しむ・喜ぶ・楽しむそれらはオレにも伝わってきた。
しかし、喜怒哀楽の度合いは伝わらない。
アイツが哀しい思いをしたという情報だけが伝わり、哀しみの深さは届かない。
アイツの存在を憎み、偽者と決め付けていたあの時のオレは、アイツが哀しもうが喜ぼうが怒ろうがどうでも良かった。
身体は一つの者だったが、心は二つの者だったんだ。
24年の月日を経て、外の世界に解放されたオレは、初めて自分で経験を積む事が許された。
感じるものはアイツを通してではなく、自分自身で確かめられるものとなる。
当時はオレの体を長い月日所有していたアイツへの殺意で膨れ上がっていたが、それでも自分で感じる事の出来る感動も味合った。
そして今、アイツへの殺意が摩り替わると、受け止める喜怒哀楽の深さはより濃くなっていった。
全てが感動の対象。
知らなかった。
閉じ込められていたあの頃は知らなかった。
犬の温かさ柔らかさ、
昆虫の小さくも精密な身体とメカニズム、
知識を増やす充実感、
…………………誰かを愛する想い。
愛する対象がオマエで良かったよ、シンタロー……。

知らなかった。
憎いだけの存在であったオマエが、こんなにも愛しく感じるとは知らなかった。
だから、シンタロー、もっとオレに教えてくれ。
深くオマエを抱き締めながら願う。
喜びも哀しみも全てオマエがオレに教えてくれないか―――…?





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