次の会議に使う資料の一部を探しにキンタローとオレとで入った倉庫は少し埃っぽい狭い部屋。
ガンマ団の隅々まで清掃が行き渡るのは実は無理なんだよな。
重要な資料を保管している場所だとそれを閲覧&持ち出せるだけの人物でなければ入る事が出来ない。
保管部屋の鍵も秘書2人が持っていて、鍵を借りるには二人の許可を取らなくてはならない。
総帥のオレですら理由言わなきゃ借りられねぇし。
ま、他の連中じゃ、理由を言ってからめんどくせェ書類まで書いて許可書貰わなきゃ借りれねえらしいけど。
「あー、これか?」
目当ての資料を棚から引き抜いてキンタローに手渡す。
「ああ、これだな」
パラパラと目を通してふむ、と頷く。
よしこれでOK。
「んじゃ戻るか」
「そうだな。今日のノルマがまだ残っている」
「は~…、そろそろ休暇でも設けてどっかに行きてえよ」
「それはオマエ次第だろう」
「ムカつく~」
倉庫の扉を越える時、くしゃっと笑いながらキンタローに上半身だけ振り向いた。
特に何かを意識しての動きじゃなかったから直ぐに前に向き直ろうとした――――瞬間に。
ぐいっ
「おわッツ!?」
腕を強く引っ張られ、そのままキンタローの肩に額をぶつけた。
額より捻られた腕が痛ェよ…。
「何だよイキナリ!」
直ぐに顔を離して軽く睨んでやれば、キンタローの目がベッドの情交の時に見せる、あの熱っぽさを帯びているのに気付いた。
「…え、何だよ…」
ここは重量資料を保管している倉庫でオレ達はまだ仕事中で、なのにまるで熱い夜の中に置かれているような錯覚を感じた。
こんな目をするキンタローはその時しか見ないから…。
柄にも無く内心狼狽するオレに構わずか、キンタローの手が突然襟を滑って服の中に侵入してきた。
「うわッツ!?」
素っ頓狂な声を上げるオレを無視して、入り込んだ手の平は遠慮を知らず、大胆に這い回る。
「ちょ…待っ…………!何だっつーの!!オイ!キンタロー!!!」
「前から思っていたが、この服は問題だな」
瞳の熱情以外は無表情に脇の辺りに指を滑らせながら言う。
「は!?問題って……」
すっかりキンタローの愛撫を覚えた身体は、あっという間に熱を帯びていき、呼吸も徐々に荒くなっていく。
「正確に言えばここだ」
ここって…、キンタローの手が入り込んだ胸元かよ。
「開き過ぎだ。その気のある者を誘っていると誤解されても仕方が無いぞ。だけではない。
さっき振り向いた時に見え難いところも少しばかりだが見えてしまった。
ただでさえ目立ちすぎる赤い服に胸元を強調するのはどうかと……」
「親父だって、昔これと同じの着てただろうが!」
「マジック叔父貴はいい。別にオレはマジック叔父貴に欲情したりはしないからな」
「は…!?」
論争してる間にもキンタローの手の動きは止まず、無感情を思わせる声色を発していた唇がオレの首筋から鎖骨まで行き来する。
ここまでされると、流石に声も漏れてくる。
「っく…は…」
頭の中がぼんやりと霧がかってくる。
その隅で、倉庫の出口が閉まる音を聞いた。
暗く埃っぽい狭い一室を照らす豆電球で辛うじて互いが見える程度。
―――……ってまさかここでヤる気かよ!?
それは流石に不味ぃだろマジで!!
「本気の本気で待てよキンタロー!今はまだ仕事中だろ!?忘れてんじゃねーーー!!!」
大体何時も仕事中にイチャイチャしようとして「仕事中だ」と一刀両断するヤツは誰だよ!
テメエがその気になりゃあ問題無しか!?
つーか、さっきオレのノルマがどうとかぬかしやがったのはテメエだー!
快楽を感じる半分、怒りの感情も湧き上がってきた。
「オマエが悪い」
「この…ッ、人の所為にすんじゃねーーー!!!」
「正確にはオマエとその服だな」
「ふざけんな馬鹿野郎ッツ!!」
ここまで言われて大人しく抱かれてやるかよ!
抱き込むキンタローの腕から逃れようと、握り拳を振り上げて暴れだす。
けどその時に腰のベルトも外されてしまう。
ズボンまでずり落ちなかったが、入り込む隙間の出来たそこに手を伸ばしてきた。
「……ぐッ!」
男の一番感じ易い部分に触れられると、ずくんとそこに熱が集まる。
乱暴ではなく優しいその動きがどうにももどかしくて仕方が無い。
もっと強くして欲しいと――――
…ってどうするよオレ。
流石にここまでされて途中でお終いは出来ねえよ。
もういっそこのまま抱かれても………とは思っちまうが、流石に場所が場所だけにヤバ過ぎる。
中からも鍵は閉められるし防音対策もしっかりしてるからそれはいいとして、ここで互いにイッちまったら後処理どうするよ。
コイツ、そこまで考えてヤろうとしてんのか?
しかも脱がせねえままだから、このままされたら下着も汚れちまう。
「キンタ、ロー…ッ!テメ…ッ、後処理とか……どーすんだよッ!!
………っく…ッ………れに、このままだと下着………が汚れ……ち………んくぅッ」
「そうだな」
そうだよ。
内心激しいツッコミを食らわす。
「ならここまで下げるか」
ずるりと膝上まで下着ごとズボンを下ろされる。
……いや、そこまでだとまだヤバくねえか?
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