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19-不死身  

「父さん!」

考えるよりも先に体が動いていて、

「消えろ…消えろニセ者!」

声の主に身体を奪われていた。

俺はあの時、一度死んだのだ。

 

「あれ?」
気付くとそこはきれいな花畑。
「どうしてこんな所にいるんだっけ?」
頭は霞がかかったようにぼんやりとしていた。
「早く行かないと…。」
けれど何故だか、「行かなければ」と言う焦燥感だけがやけにはっきりと頭にあった。
しばらく花畑を行くと前方から、低くて深みのあるどこか懐かしさを憶える声がした。
「何処へ行くんだい?」
声に顔を上げれば目の前には大きな川があり、向こう岸に人影が見える。
「何処へ?…どこだろうな。でも行かなきゃならないんだ。」
頭がぼんやりしてどうにも考えられない。
だが、とにかく行かなきゃいけない。
焦燥感は膨らむばかりだ。
「君はこちらに来たいのかい?」
向こう岸の人が尋ねる。
言われて気付いた、確かに俺の足は向こう岸へと進んでいるようだった。
気付いた瞬間、早く向こう側へ行きたいと強烈に思った。
「そうみたいだ。なぁ!船とか橋とかねぇの?」
俺の焦った声に、
「…何故?」
向こう岸の人は静かに尋ねる。
「何故って…?そっちに行きたいからだよ!」
「何故?君はこちらに来てはいけないのに?」
この時は 意味がわからなかった。
「帰りなさい。君にはまだ役目がある。」
向こう岸の人が手を空にかざした。

空が輝く。
長い金髪が空の光を弾いた。

「…もう来る事はないだろうけど。」

その言葉を聞いたのを最後に俺の意識は沈んでいった。


あの後、いろいろあって俺は生き返った。
アレが臨死体験ってやつだったんだな、と今ならわかる。
そしてあの言葉の意味も、

『もう来る事はないだろうけど』

手をかざし、光の中でそう呟いた金髪の人


「じーさん…アンタは知ってたんだな?」

(あの一回だけが人としての俺に許されたチャンスだった事)

一族のために作られた墓地。
俺はそう言って、携えていた白い花束の内の1本をじーさんの墓に供えた。
空からの光が、きらきらと備えた花を金色に見せていた。
俺は、他の墓にも白い花を一本一本供えていった。

ついに手には最後の一本だけが残された。
「アンタにはこれだ。親父。」
父親の墓にだけ、紅いバラの花を供えてやる。
「派手なアンタのイメージじゃねぇもんな、白い花はヨ?」
真紅のバラは真っ赤な総帥服を着ていた父親のイメージにぴったりだった。

どれほどの刻が過ぎたろう。
それこそ、ジャンの言うように気が遠くなるぐらい長い年月を俺は過ごしていた。
たった一度の機会は運命を知らない俺が人間だった頃。

「あの時成仏してればって思わねぇこともねぇよ。けど少なくともアンタが死ぬまではそばに居てやれたし…」

マジックの墓の前でしゃがみこんでいると、
「シンタロー!!」
墓地の入り口で、紅い服を着た金髪の少年が俺を呼んでいる。
「アンタのこれからも見守ってやれるからな。」

たとえ自分だけが時の中に残されたとしても、 あなたを思い守って生きていけるのならば幸せー
漆黒の髪を翻し、新たな絆に歩を進めた。


 

☆おまけ☆
「シンタロー。」
「ん?」
「ご先祖様のお墓…。一つだけバラを供えていたよね?」
「ん?あぁ。それがどうかしたか?」
「…真紅のバラの花言葉って知ってる?」
「…。」
「…大事な人だったの?」
「お子ちゃまには関係ねぇ~だろ?」
「むっ。シンタロー!」
「あんだよ?」
「そんな奴僕が忘れさせてやるからな!」
「なっ?!」

そう叫んだ少年に掠めるように唇を奪われ、あっけに取られている間に逃げられた。

「…アンタ、生まれ変わっても俺を振り回す気なのか…?」
(勘弁してくれよ…。)
そう思いながらも俺は微笑んでいた。

以前の貴方とは違うけれど、ここに在る貴方の魂が愛しい。

 

◇あとのあがき◇
不死身設定だったならば… シンタローさんは、生き返ってから不死身になったってことだろうから、そこらへんのとこを書こう…
というよりライオンパパが出したかっただけです(爆)
いやほらよく言うじゃないですか?「キレーな花畑で死んだじーさんが…」(おい)
正確にはシンタローさん2度3度と死んでるんですがね…
アスとかジャンとかの辺りは死んだというより、吸収された(?)ってほうがしっくりくるかなと…
そこらへんはまたおいおい書いていきたいなぁと思います。
あ、最後に出てきた少年は一応マジックパパの生まれ変わり…らしいです;(えぇー)
生まれ変わりと思ってるので「マジック」ではないんですが、魂レベルで好きだ!ということで…(CLA〇PのWish4巻的展開で…)

○ちなみに明日使えないぷちトリビア?○
真紅の薔薇の花言葉は愛情、情熱、愛嬌、美など。
作中の白い花は百合です。花言葉は純潔、威厳、高貴、偉大など。
他にも色んな言葉がありましたが話に合いそうなものだけ挙げてます。
ギリシャ語で百合は白い、ケルト語で薔薇は赤い、を表す単語が英名の由来だそうです。
へぇ~、へぇ~・・・

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