冷蔵庫の怪
上着を乱暴に脱ぐとそのままソファーに寝転ぶ姿に溜息をつく。
自分も疲れているのにな、と思いつつもキンタローはネクタイを緩めながら冷蔵庫へと向かう。
開けて中身を確認するが、大した物は入っていない。
「夕食はどうする?」
いまだ寝転がったままの相手に声をかけるがあ~、とかう~としか返って来ない。
仕方なく、ソファーの方へと行き、もう一度声をかける。
「おい、聞こえているならきちんと答えろ」
「ん~~、適当に作っとくから風呂でも入ってろよ」
「大した物は入ってないぞ」
「何とかなる、何とかなる」
パタパタと手を振ってまったく取り合わないその姿に諦め、シンタローの言葉にしたがって風呂に入ることにした。
たっぷりと風呂に入り、戻ってみると何やら香ばしい匂いがした。
「おお出たか」
そこに用意されているのは大盛りの野菜炒めと味噌汁、豆腐のハンバーグ。
「な、何とかなったろ」
満面の笑顔で笑うシンタローにキンタローはいささか呆れ顔になる。
「お前、本当に総帥にしておくのは惜しいな」
「おい、それはどう言う意味だよ」
「そのままの意味だ。あまり深読みしても意味は無いぞ」
たったあれだけしかなかった冷蔵庫の中身、このおいしそうな匂い。
「立派な主夫だな」
「まあ、日常茶飯事だったからな」
ほれ、とご飯をよそった茶碗を手渡すと自分の分もよそった。
『いただきます』
声を合わせてそう言うと箸をつけ始める。
話は今日の取引先との会議、戦場からの報告、高松が開発したバイオ植物について…
話題は尽きることは無い。
一緒に世界を飛び回ることもあれば、今日みたいにたまたま帰り際に会って食事をしながら話すこともある。
キンタローはグンマと高松と食事をすることもあるが、自ら誘うことは無い。
あの二人の間には入ることが出来ないからだ。24年という年月がそう思わせるのであろう。
どこかなじめなかった。
また、マジックと食べることもあるが、こちらはもっと気まずい。
シンタローが一緒にいる時は和らぐがどうもこちらもなじめないでいた。
結局、シンタローと食べるか一人で食べるかのどちらかになる。
その話を以前シンタローに話すと、そういうこと言ってると高松が泣くぞ、と笑われた。
キンタロー、グンマ、高松達は科学者としてはまともな生活を送っているほうである。
なのでこうして午前様ぎりぎりのシンタローと鉢合わせするケースは多く、そのたびにこうして食事を共にするのだ。
一人で食べていないと言うことで譲歩したのか高松は引き下がっているが、シンタローに向けている視線は今にも呪い殺しそうなものがある。
「そうそう、今度親父が俺らと一緒に食事がしたいと駄々をこねているぜ」
「マジック叔父貴がか?なんでまたそんなことを」
「さあ?俺らの仲が良いのがくやしいんじゃなねぇの?」
馬鹿だから、そう続けるシンタローに溜息をつく。
「もうすぐ俺もグンマも学会があるから忙しいぞ」
「こっちも膠着状態に陥ってる場所に遠征に行くぜ」
互いに顔を見合わせると同じタイミングで溜息をつく。
「荒れるな」
「ま、しーねーだろ」
苦笑いするタイミングも同じで。
たまにある、こんな日常
それだけで暖かい
<後書き>
日常っぽいひとこま。
恋人と言うより夫婦。
お風呂が先?それともご飯?(激しく違います)
今回はただほのぼのっぽいのを書きたかったのですが…
出来てます?
上着を乱暴に脱ぐとそのままソファーに寝転ぶ姿に溜息をつく。
自分も疲れているのにな、と思いつつもキンタローはネクタイを緩めながら冷蔵庫へと向かう。
開けて中身を確認するが、大した物は入っていない。
「夕食はどうする?」
いまだ寝転がったままの相手に声をかけるがあ~、とかう~としか返って来ない。
仕方なく、ソファーの方へと行き、もう一度声をかける。
「おい、聞こえているならきちんと答えろ」
「ん~~、適当に作っとくから風呂でも入ってろよ」
「大した物は入ってないぞ」
「何とかなる、何とかなる」
パタパタと手を振ってまったく取り合わないその姿に諦め、シンタローの言葉にしたがって風呂に入ることにした。
たっぷりと風呂に入り、戻ってみると何やら香ばしい匂いがした。
「おお出たか」
そこに用意されているのは大盛りの野菜炒めと味噌汁、豆腐のハンバーグ。
「な、何とかなったろ」
満面の笑顔で笑うシンタローにキンタローはいささか呆れ顔になる。
「お前、本当に総帥にしておくのは惜しいな」
「おい、それはどう言う意味だよ」
「そのままの意味だ。あまり深読みしても意味は無いぞ」
たったあれだけしかなかった冷蔵庫の中身、このおいしそうな匂い。
「立派な主夫だな」
「まあ、日常茶飯事だったからな」
ほれ、とご飯をよそった茶碗を手渡すと自分の分もよそった。
『いただきます』
声を合わせてそう言うと箸をつけ始める。
話は今日の取引先との会議、戦場からの報告、高松が開発したバイオ植物について…
話題は尽きることは無い。
一緒に世界を飛び回ることもあれば、今日みたいにたまたま帰り際に会って食事をしながら話すこともある。
キンタローはグンマと高松と食事をすることもあるが、自ら誘うことは無い。
あの二人の間には入ることが出来ないからだ。24年という年月がそう思わせるのであろう。
どこかなじめなかった。
また、マジックと食べることもあるが、こちらはもっと気まずい。
シンタローが一緒にいる時は和らぐがどうもこちらもなじめないでいた。
結局、シンタローと食べるか一人で食べるかのどちらかになる。
その話を以前シンタローに話すと、そういうこと言ってると高松が泣くぞ、と笑われた。
キンタロー、グンマ、高松達は科学者としてはまともな生活を送っているほうである。
なのでこうして午前様ぎりぎりのシンタローと鉢合わせするケースは多く、そのたびにこうして食事を共にするのだ。
一人で食べていないと言うことで譲歩したのか高松は引き下がっているが、シンタローに向けている視線は今にも呪い殺しそうなものがある。
「そうそう、今度親父が俺らと一緒に食事がしたいと駄々をこねているぜ」
「マジック叔父貴がか?なんでまたそんなことを」
「さあ?俺らの仲が良いのがくやしいんじゃなねぇの?」
馬鹿だから、そう続けるシンタローに溜息をつく。
「もうすぐ俺もグンマも学会があるから忙しいぞ」
「こっちも膠着状態に陥ってる場所に遠征に行くぜ」
互いに顔を見合わせると同じタイミングで溜息をつく。
「荒れるな」
「ま、しーねーだろ」
苦笑いするタイミングも同じで。
たまにある、こんな日常
それだけで暖かい
<後書き>
日常っぽいひとこま。
恋人と言うより夫婦。
お風呂が先?それともご飯?(激しく違います)
今回はただほのぼのっぽいのを書きたかったのですが…
出来てます?
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