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言い訳

誓って、気の迷いだ。
酔った勢いだ。
ぐるぐるとそんな言葉が頭の中を巡る。
ここは自分の部屋であり、裸同然でベットの中にいる。
酔った時に脱いだのだと思いたかったが、隣にいる人間と、途切れ途切れに残っている昨日の記憶がそれを邪魔する。
昨日の夜、シンタローは遅くまで仕事をしていた。
そして、部屋に戻る際ある人物とばったり会い、自分の部屋で一緒にご飯を食べたのだ。
なぜか、どちらのほうが酒が強いかという話から部屋においてあった酒を飲む羽目になり…
そこから先を思い出そうとして、慌てて思考回路を止める。
出来る事なら昨夜のことはなかったことにしたい。
がっちりと抱きしめられながらそんなことを考えても不毛ではあったが…
そこまで考えて、シンタローははっと気がついた。
(今日は休みか…)
だからこそ、飲み比べという無謀なことを行ったのだが…
考えてみれば、相手が勝って当然なのだ。
こっちは休み前だからとへとへとになるまで仕事をした身。かたや時間に自由が利く身。
今のところ研究が忙しいという話はまったく聞いていない。
そこに思い立った瞬間、シンタローはふつふつと怒りが湧いて来た。
今日の予定としては、朝起きたらすぐにコタローのそばにいて時間が許す限りそばにいるはずだったのだ。
仕事が忙しくとも本部にいる間は一日5分でも会いに行くのだが、最近は遠征やら何やらであまり顔を出せずにいた。
ようやく長い間そばにいられると思ったら、今一緒にいる相手はコタローが兄と慕っていた男で。
「起きやがれ!」
あえて今の今まで無視をしていた目の前にある胸板。
最近ディスクワークしか自分と比べ、暇を見つけてはトレーニングしているらしい肉付きに少しばかしうらやましく思える。
「いつまでも抱え込んでいるんじゃねーよ!」
頭と背中にまわされた腕はびくともせず、いくら暴れても解けはしない。
そういや、よくパプワにしてやっていたな~と思い、慌てて現実逃避に走りそうになった自分の思考に待ったをかける。
「おーきーろーー!」
精一杯暴れ、大声を出したせいか、キンタローがうっすらと目を開けた。
「ん…なんだ」
「なんだ、じゃねぇ。とっとと外せ」
「今、何時だ…?」
かみ合わない会話にいらいらしながらも丁寧に答える。
「7時少し過ぎたところだ。で、早く外せ」
「今日、休みなんだろ…まだ寝ていられる…」
「俺は、コタローに、会いに行くんだよ!」
また寝ようとする相手に怒鳴ってしまっても罪はないだろう。
「…なら後で…二人で行こう……俺も…一緒に行く…」
「あ、てめぇ!また寝るな!せめて外してから寝ろ!」
また眠りにつこうとするのを阻止するために暴れるが、向こうはまるであやすように頭を撫でる。
「疲れているんだろ…お前も、寝ろ…」
そういって完全に寝入ってしまった。
「寝るな~~!」
その言葉も虚しく、キンタローは起きる気配はない。
起こすことを諦めたシンタローは自分の頭の上にある顔を見る。
元はひとつであったはずなのに、まったく違う顔立ち。
今までこうしてまじまじと見たことがなかったのでじっと観察する。
そうこうしているうちに一番よく見える唇を眺めていると昨日、あの唇が何をしたかを、思い出してしまった。
「やっぱ、起きろ~~!」
顔を真っ赤にしながら解こうとしたがまったく起きる気配もなく。
キンタローが起きるまで、シンタローは一人悶々としたものを抱えたままだった。



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