忍者ブログ
* admin *
[920]  [919]  [918]  [917]  [916]  [915]  [914]  [913]  [912]  [911]  [910
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

aaa
現実味に欠けた、淡い夢を見た。

彼を、この腕に抱く夢だった。



想い人になんとも思われていないというか、むしろ嫌われていることなんて、自分でもわかっているし。

今さら自分を卑下するつもりもなければ、性格を変える努力をするつもりも、ないけど。

(コージはんみたいに、誰とも物怖じせず気安く喋れる性格だったら)

(ミヤギはんみたいに、なんだかんだ言って面倒見のいい好かれる性格だったら)

(トットリはんみたいに、素直で親しみやすい性格だったら)

そんなことをぼんやりと思う。

惜しむべきことに、夢が現実になるわけはない。

だけどせめて、少しでも彼に近い場所にいたい。

あの島にいた時にはなかった、重い疲労の表情を頻繁に見せる彼の、傍に。

完璧なまでの自己満足と、思い上がりと呼ばれようとも、力になりたいのだ。



決意しながら廊下を進んでいると、前方に赤い背中が見えて、幸先がいいな、と。

思わず頬を緩めて駆け寄ろうとした、直後、その背中ががくりと崩れた。

咄嗟に腕を伸ばす。

助けるまでもなく自力で体勢を直した彼は、それでも腕だけを、預けて。

「・・サンキュ、アラシヤマ」

浅い吐息が、胸に。

「・・あんさん、ちょお身体鈍っとりませんか?」

「まったくだよな」

「冗談どす。働きすぎでっしゃろ」

鋭い目元にうっすら浮かぶクマが、寝不足だということを証明している。

(わてやなくとも、もっと部下を使うたらええのに)

「で、アラシヤマ?もう離せよ」

言われて、はたと気付く。

好きな人を両腕の中に抱えた(とまではいかなくとも、わずかに体重はかけられている)おいしい状況。

「あ、ちょっとだけ正夢・・」

「は?」

「え、いや、なんでもないどす・・」

こんなことに幸せを感じてしまうなんて、まったく。

恋、なんて、馬鹿みたいなもので。
PR
BACK HOME NEXT
カレンダー
05 2025/06 07
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
最新記事
as
(06/27)
p
(02/26)
pp
(02/26)
mm
(02/26)
s2
(02/26)
ブログ内検索
忍者ブログ // [PR]

template ゆきぱんだ  //  Copyright: ふらいんぐ All Rights Reserved