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武器弾薬は底をつき、動ける味方は自分を含め二人だけ。
援軍がくる気配もなく──というと絶体絶命にしか聞こえないが、二人にとってはこれからが本領発揮だ。
「あんさんに背中任せるやなんて、不安でしゃあないどすわ!」
「俺だって自分より弱い奴に頼るなんて嫌だっつの!」
遠くから聞こえる銃撃音に掻き消されないように声を張り上げ、背中合わせのまま悪態を吐き合う。
アラシヤマにしてみれば折角の実地訓練だというのに組まされた相手が気に食わず、
シンタローにしてみればアラシヤマの態度や言葉が一々癇に障る。
それでもこうやって敵に囲まれてみれば、味方は互いにひとりしか見当たらず、背を守り合う形になる。
「心配せんでも、あんさんがここでくたばろうとも背中には傷ひとつ負わせんさかいに!」
「てめェが先に死んで、俺も纏めて背中からの攻撃で死ぬのは勘弁だからなッ!」
敵兵の数は少なく見積もって二十人ほどだろうか。
青白い光が炸裂して瓦礫の町を荒野へと変え、紅の炎が全てを薙ぎ倒し、それら全てを消し尽くす。


遠くから地鳴りに似た、威嚇射撃の音が響く。
それはどう聞いても──
「ほうら、敵さん戦車まで持ち出してきよったで」
「対人で大砲とかアリかよ…」
しかもそれは四方から聞こえてきて、どうやら二人を囲んでいるらしい。
改めて背を合わせ、見え始めた黒い影へと向き直る。
「しっかり半分は倒してくれよ、No.2」
「心配せんでもあんさんよりは成果上げてみせますさかいに」


空に昇る炎の鳥が目撃されたその数十分後、敵軍がガンマ団に降伏したとの知らせが、壊れかけたシンタローの通信機から聞こえてくるまで、二人は互いの背を守り続けることになる。


(05/03/28)

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