「シンタローはーん!!あんさんの心友が来ましたえ~vvv」
ある日のお昼過ぎ、俺とシンタローさんが昼食後の皿洗いをしている時に、PAPUWAハウスの玄関口でアラシヤマの声がした。何の用事かは知らないが、とりあえずウマ子やキムラではなかったので、正直俺はホッとした。
「チッ。ったく、ウッセーな」
舌打ちをしながら、俺様なお舅さんは洗い物の手を止め、エプロンで手を拭きつつ玄関の方へと向かった。
玄関のほうからは、
「シンタローはん!いつ見てもエプロン姿、可愛いおす――!!今度、わてにもその姿で、」
アラシヤマが何か言いかける声が聞こえたが、間髪を入れずに
「眼魔砲」
・・・何か、爆発音が聞こえ、その後すぐにシンタローさんが戻ってきた。
俺は、(あっ、いつものことだけどお花を供えに行かないとー!!)と思ったので、
「えーっと、この前カムイ用に買ってきた仏壇花(お得セット100円)の残りは、どこへ置いたっけ・・・」
と、残り物の仏壇花を探したが、食器を洗っていたシンタローさんが、
「コラ、家政夫。まだ、全部洗い終わってねェだろーが。どこへ行くつもりだ?―――アラシヤマのことならほっとけ」
と言ったので、俺は(まぁ、いいか)と思い、皿洗いに戻った。
しばらく2人で無言で皿を洗っていたが、どうにも沈黙に耐え切れず、俺は常々気になっていた事があったので、この際シンタローさんに聞いてみる事にした。
「あのー、シンタローさん。なんで、アラシヤマの時は体術で応戦せずにいつも眼魔砲なんすか?」
俺がそう聞くと、シンタローさんは
「面倒い」
―――即答であった。
しかし、どうにもその答えに納得出来なかったので、俺は食い下がった。
「いや、でも、眼魔砲を撃つのも、エネルギーがいるっしょ?俺のプラズマはかなりエネルギーを喰いますよ。それより、体術の方が効率がいいんじゃ・・・」
俺は答えが返ってくるとは期待していなかったが、シンタローさんは洗い物の手を止め、
「ん――・・・」
と、顎に手を当てて考え込んだ。
しばらくそうしていたが、シンタローさんはふと、何かを思い出したようでとても嫌そうな顔をした。
「・・・マァ、アイツも一応ガンマ団NO.2だからナ。スッゲー、ムカつくけど、体術だと3回に1回ぐらいはきかねぇ時があるし。ホラ、接近戦だと敵と距離をとるにこしたことはねぇだろ?それに、アイツはめったなことでは死なねぇし」
「確かに、敵とは距離をとって攻撃できた方がいいと思いますけど、って、アラシヤマはただのストーカーで別に敵じゃないんじゃ・・・。―――いくらアラシヤマが丈夫だといっても、一応人間だし、あまり眼魔砲をやり過ぎると死ぬんじゃないすか?」
俺がそう言うとシンタローさんは、笑顔になり、
「何?今、何か言ったか?」
と、有無を言わさない口調でそう言った。
そして洗い物に戻ったが、これ以上何かを聞けるような雰囲気ではなかった。
俺は、アラシヤマが普段俺様なお舅さんに、あんな顔をさせたということに興味があり、2人の間に何があったかちょっと知りたかったが、今度は自分が眼魔砲をされると嫌なので、黙って洗い物に専念した。
結局、その日1日俺はシンタローさんに無視され、さらに、夕食の味付けが不味いと言って鬼姑にえらく怒られたが、(これって、絶対八つ当たりだ・・・)とかなり理不尽な気がした。
「人の恋路を邪魔するやつは~」という昔からのことわざ(?)がありますよね。
全然、恋路には見えないかもしれませんが・・・。
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