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 コンコン。と、総帥室のドアがノックされ、キンタローとグンマが珍しく揃いで入ってきた。
 しばらく2人は居心地が悪そうにし、お互いの顔を見て何かを押し付けあっているようであったが、結局はグンマの方が口を開いた。
 「シンちゃん、落ち着いて聞いてね。あのね、アラシヤマ君が亡くなったんだ」
 シンタローは、一瞬何を言われたのか分からない顔をし、
 「ハハッ。お前ら、いくらアラシヤマが嫌いだからってナ、そんな冗談はよくないゼ」
 と言った。
 「違うのッツ!冗談じゃないんだよッツ。シンちゃんが信じたくない気持ちはすごくわかるけど、ほんとのことなんだ・・・」
 そう言うと、グンマは下を向きそれっきり何も言わなかった。
 「グンマの言うことは本当だ。遺体の損傷が激しかったので、戦場で荼毘にふされたそうだ」
 キンタローがそう言うと、シンタローは呆然とした顔をし、
 「お前ら、すまねぇけど、もう帰ってくれ」
 と言った。2人はシンタローの気持ちを思いやり、総帥室を後にした。

 翌日、2人が総帥室を訪ねると、シンタローが案外元気そうであったので2人はホッとした。
 「シンちゃん、大丈夫?」
 「へ?何が?」
 「えッツ?何がって、アラシヤマ君のことだよ!?」
 「アラシヤマがどうしたんだよ?そういや、アイツ、遠征が終わったはずなのに報告に来ねェナ。どこで油売ってんだか。来たら締め上げてやろう」
 「何言ってんだよ、シンちゃんッツ!!アラシヤマくんは、」
 グンマが言葉を続けようとすると、キンタローがそれを遮った。
 「どうも、シンタローの様子がおかしい。今は、それ以上何も言うな」
 「だってッツ!」
 「シンタロー、邪魔したな。また来るからあまり総帥業を頑張りすぎるなよ」
 そう言うと、キンタローはグンマを引きずって総帥室を出て行った。
 「おかしなヤツラだな。ったく、一体何だってんだよ」
 そう言ってシンタローは、再び書類に目を落とした。

 グンマとキンタローは、まず高松にシンタローの様子がおかしいということを相談し、高松はマジックやサービスにそのことを伝えた。
 数日後、サービスと高松がシンタローの元を訪れた。
 「アレッ?美貌のおじ様ッvv・・・と、変態ドクター。どうしたんだヨ?2人揃って」
 「何なんですか、変態ドクターって。失敬な」
 「それはどうでもいいけど、シンタロー。少し聞きたいんだが、アラシヤマが亡くなったことは分かっているかい?」
 そうサービスが聞くと、シンタローは良く分からないような顔をし、
 「えッ?アラシヤマって誰だよ?おじさんの知り合い?」
 と言った。
 サービスと高松は顔を見合わせ、
 「何でもないんだよ。もし思い出したようだったら、いつでも私の所にきておくれ」
 そうサービスは言って、高松を促し2人は総帥室を後にした。
 高松とサービスは廊下を歩きながら、
 「高松、どう思う?」
 「やっぱり、ショックが大きすぎて一時的に記憶障害が起こっているんじゃないですかね。この前グンマ様とキンタロー様が行った時にはまだアラシヤマ君のことは覚えていたみたいですから。数日経っても彼が現れないので、脳が防衛反応として辻褄を合わせるために彼の存在を“無かった事”にしたんじゃないでしょうか」
 「・・・それだけ、シンタローにとってアラシヤマの存在は大きかったということか。いずれにせよ、この状態がいい状態だとは思えないな。どうすればいいと思う?」
 「今の彼の逃避行動も、彼にとって意味のあることでしょうしね。無理矢理思い出させないほうがいいんじゃないでしょうか。しばらくは様子を見て、もし彼が安定したようであれば、おいおい思い出させるということで」
 「やはり、そうするしかないのか・・・」
 沈鬱な顔をしたサービスは、ため息をついた。

 さらにその数日後、マーカーがシンタローの元を訪ねてきた。
 マーカーが、総帥室の前まで来ると、ドアの横にはグンマが立っていた。どこか、悲しそうな顔をして俯いていたので思わずマーカーが、
 「どうなされたのですか?」
 と聞くと、
 「・・・確か、マーカーさんはアラシヤマ君の師匠だったよね?シンちゃんが変なんだッツ!僕、死んだ人のことを悪く言うのは嫌だけど、やっぱりアラシヤマ君のことが嫌いだよ。だって、シンちゃんの心を半分連れていっちゃったんだもんッツ!!」
 そう言うと、グンマは廊下を走っていった。
 「?」
 マーカーには、彼が何を伝えたかったのかがよく分からなかったが、とりあえずドアをノックした。
 「ったく、うっせーなぁ。グンマかよ?勝手に入ったらいいだろーが」
 そう言って、シンタローは自らドアを開けたが、マーカーを見ると目を丸くし、思いっきりドアを閉めようとした。
 が、マーカーはそうはさせなかった。
 「お話があるんです。入れてください」
 「俺にはねぇよ。帰ってくれ!!」
 「なら、実力行使でいきますよ?」
 マーカーはそう言うと、思いっきりドアをひき開けた。力負けしたシンタローは、床に尻餅をついた。
 マーカーは、1つため息をつくと、シンタローに手を差し伸べ、シンタローを助け起こした。
 シンタローは、マーカーの手を振り払うと、
 「一体、何なんだよ!?特選部隊のアンタが俺に用事があるなんて、ありえねぇんじゃねぇの?」
 と、語気荒く言ったが、それに対してマーカーは静かに、
 「アラシヤマのことです」
 と、一言だけ言った。
 一瞬、瞳を揺らしたシンタローであったが、すぐに元の表情に戻り、
 「誰だよソレ。何のことだか分かんねぇナ」
 と答えた。
 マーカーは、思いっきりシンタローの頬を殴った。不意に殴られたシンタローは思わず床に座り込んだ。
 「あの馬鹿弟子は、こんな男に惚れ抜いて死んだのか。全く、失望した」
 そう言って、座っているシンタローを見下ろし1つ溜息をつくと、マーカーもしゃがんでシンタローに目線を合わせた。そして、服のポケットから何か封筒のようなものを取り出し、シンタローに渡した。
 「あの馬鹿弟子から、貴方に宛てての手紙です。万が一の時には貴方に渡すように頼まれました」
 そして、もう1つ小さい袋のようなものをシンタローに手渡した。
 「ヤツの遺骨の一部です。これは、ヤツが特に何か言ったわけではありませんが、私が貴方に渡すのが筋かと思って勝手にしたことです」
 シンタローは震える手でそれらを受け取ると、ギュッと胸に抱きしめ、嗚咽し始めた。
 マーカーは立ち上がり、
 「・・・あの馬鹿弟子は、貴方にそんなに思っていただけて、幸せだったと思いますよ。殴ったりしてすみませんでした」
 そう言うと、静かに部屋から出て行った。
 「アラシヤマ、アラシ・・・」
 シンタローは床に座ったまま泣きながら、涙でぼやけた視界で封筒を開けようとした。開けてみると、そこには手紙が入っており、「シンタローはんへ」という言葉から始まっていた。

 「シンタローはんへ
  今、あんさんがこれを読んでいるということは、わてはもうこの世におらへんということでんな。わて、あんさんを置いて先に死ぬつもりは更々なかったんどすが、どうもしくじってしまったみたいどす。ほんまに堪忍してや。わて、今まで生きてきた中で、シンタローはんと過ごせた時間が一番幸せどした。今までちゃんと言葉で言えへんかったけど、意地っ張りで、可愛いあんさんを愛しています。わて、前までは死ぬときはあんさんを道連れにしてでも一緒に死にたいと思ってましたが、今は違います。わてに何があっても、あんさんには生きていてほしいんどす。シンタローはんやったら、わて以上に大事にしてくれる人達が周りにたくさんいるはずどす。あぁー、なんや、書いていて嫌になってきましたわ。やっぱり、わて以上にあんさんを愛している人はいまへんな!これは自信をもって言えることどすえ?でも、死んでしまったら、もうあんさんのことを大切にすることができまへんさかい、やっぱりわてのことをすっぱり忘れておくんなはれ。
  アラシヤマ」

 「何なんだよ!勝手に1人で自己完結してんじゃねぇよ!!俺、オマエに好きとか愛しているとか言ったことなかったダロ?お前ばっかり一方的に言ったまま逝くなんて、そんなのずりィよ!!」
 シンタローは号泣した。









アラシヤマさん&シンタローさん、ほんまにごめんなさい(謝)!私自身、死にネタはあまり好きではないので、 これには続きがあります。よろしければこちらにどうぞ~。→

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