体重をかけないように加減して崩れ落ちてくる身体を受け止めて、乱れた息を整える。
早鐘を打つ胸の動きが直接、身体に響く。
中に埋まっていたものが引き抜かれた奇妙な感覚、それに濡れた音を立てて太股にこぼれた液体の感触に眉を顰め、俺はようやく、ヤツの肩を拳で叩いた。
「出したんなら、とっとと退けよ」
「出した・・ってシンタローはん・・」
余韻に浸らせてくれたって、と、情けなく呟きながらもアラシヤマは、身体を起こす。
汗で頬に張り付いた髪を指で弾いて、ついでに俺の髪も一房奪い、恭しく口付けてみせて。
目を、細める。
「うるせー、ヘタクソ」
そのままの状態で絶句してしまったアラシヤマを横目に、ベッドを降りてバスルームに向かった。
深夜のひたすら静かな空気が、肌を震わせる。
ざんざん降り注ぐ温い湯にうたれ、考えるのは明日(いや、既に今日か)のスケジュール。
思い浮かぶはしから優先順位をつけて、頭の中に並べていく。
もっとも身体に残された痕跡を見つけるたびに集中は途切れ、どんなに時間をかけたところで、その作業ははかどりそうになかった。
「らしくねーな・・」
独りごちて、ため息を1つ。
いつまでもそうしているわけにもいかず、とりあえず今すべきことに取りかかることにした。
力を抜いて、下肢へと指を這わせれば、容易にそこは侵入を許した。
己の身体が、己の指を飲み込んでいく。
自慰とも違う、緩やかに上っていく感覚をつとめて冷静にやり過ごし、掻き回すようにして指を動かす。
体内からあふれた他人の精液はタイルの上でくるくると回り、排水溝に吸い込まれていった。
(流すくらいだったら、いっそ高松にでも提供したほうが役に立かもな)
たわいないことを思いながらシャワーの音に耳を澄ます。
じっとタイルを見つめているうち、濡れそぼつ前髪から落ちた水滴が睫毛に当たり、咄嗟に目を瞑る。
途端に意識を手放しかけてしまいそうになり、慌てて頭を振った。
そして。
「シンタローはん」
突然、湯気のベールを破り響いた声に、息を飲む。
振り向くまでもなく当然、背後の擦りガラスの扉には、アラシヤマのシルエットがある。
「わて、もう戻りますわ」
緊急召集が、とかなんとか聞き終える前に扉を開けた俺は、なにか言おうと試みたはずなのに、いざアラシヤマを前にすると喉に膜が張ってしまったかのようで、確かな言葉が出てこない。
2度目のため息は細く、静かに。
言葉の代わりにきっちり結ばれたネクタイを鷲掴み、冷たい口唇に、自分のそれを寄せる。
「またな」
不意を突かれた顔を至近距離に見て、少しだけ、胸がすいた。
早鐘を打つ胸の動きが直接、身体に響く。
中に埋まっていたものが引き抜かれた奇妙な感覚、それに濡れた音を立てて太股にこぼれた液体の感触に眉を顰め、俺はようやく、ヤツの肩を拳で叩いた。
「出したんなら、とっとと退けよ」
「出した・・ってシンタローはん・・」
余韻に浸らせてくれたって、と、情けなく呟きながらもアラシヤマは、身体を起こす。
汗で頬に張り付いた髪を指で弾いて、ついでに俺の髪も一房奪い、恭しく口付けてみせて。
目を、細める。
「うるせー、ヘタクソ」
そのままの状態で絶句してしまったアラシヤマを横目に、ベッドを降りてバスルームに向かった。
深夜のひたすら静かな空気が、肌を震わせる。
ざんざん降り注ぐ温い湯にうたれ、考えるのは明日(いや、既に今日か)のスケジュール。
思い浮かぶはしから優先順位をつけて、頭の中に並べていく。
もっとも身体に残された痕跡を見つけるたびに集中は途切れ、どんなに時間をかけたところで、その作業ははかどりそうになかった。
「らしくねーな・・」
独りごちて、ため息を1つ。
いつまでもそうしているわけにもいかず、とりあえず今すべきことに取りかかることにした。
力を抜いて、下肢へと指を這わせれば、容易にそこは侵入を許した。
己の身体が、己の指を飲み込んでいく。
自慰とも違う、緩やかに上っていく感覚をつとめて冷静にやり過ごし、掻き回すようにして指を動かす。
体内からあふれた他人の精液はタイルの上でくるくると回り、排水溝に吸い込まれていった。
(流すくらいだったら、いっそ高松にでも提供したほうが役に立かもな)
たわいないことを思いながらシャワーの音に耳を澄ます。
じっとタイルを見つめているうち、濡れそぼつ前髪から落ちた水滴が睫毛に当たり、咄嗟に目を瞑る。
途端に意識を手放しかけてしまいそうになり、慌てて頭を振った。
そして。
「シンタローはん」
突然、湯気のベールを破り響いた声に、息を飲む。
振り向くまでもなく当然、背後の擦りガラスの扉には、アラシヤマのシルエットがある。
「わて、もう戻りますわ」
緊急召集が、とかなんとか聞き終える前に扉を開けた俺は、なにか言おうと試みたはずなのに、いざアラシヤマを前にすると喉に膜が張ってしまったかのようで、確かな言葉が出てこない。
2度目のため息は細く、静かに。
言葉の代わりにきっちり結ばれたネクタイを鷲掴み、冷たい口唇に、自分のそれを寄せる。
「またな」
不意を突かれた顔を至近距離に見て、少しだけ、胸がすいた。
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