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 特戦部隊が、ガンマ団に立ち寄りしばらく逗留していた時のことである。マーカーが廊下を歩いていると、向こうからシンタローが歩いてきた。彼は、マーカーを見ると驚いたように目を丸くした。 マーカーが軽く目礼をし、そのまま通り過ぎようとすると、不意に、 「ちょっと待て」 と、呼び止められた。マーカーが足を止め、振り返ると、 「アンタ、もう昼飯食ったか?もしよかったら何か作るから食ってかねェか?」 と言われ、それはマーカーの予想の範疇外のことであったので、一瞬、彼はなんと答えていいものやら分からなかった。 マーカーの返事が無かったので、シンタローは慌てた様に、 「別に、無理にとは言わねェし。今のは忘れてくれ」 と言った。 マーカーは、 「ちょっと驚いただけです。・・・よろしいのですか?それでは、お相伴に預かりますよ」 と答えた。 シンタローに部屋に通され、「手伝わなくていい」と言われたので、マーカーは食卓に付き待っていた。しばらくすると、シンタローはお盆を手に持ち戻ってきた。 シンタローは料理を並べると、マーカーの向かいに座った。料理は、チャーハンと、中華風スープ、サラダ、そして何故か“肉ジャガ”であった。 マーカーが、料理を食べていると、視線を感じたのでシンタローの方を見ると、シンタローはこちらをじっと見ていた。 「何ですか?」 不審に思ったマーカーがそう訊くと、シンタローは、 「あっ、悪ィ。ちょっと、聞きてーんだけど。その肉ジャガ、どうだ?」 マーカーはどう答えるべきかと思ったが、正直に思ったままを言うことにした。 「―――はっきり言わせていただきますと、不味いです。他の料理は美味しいと思いますが」 そう言われてもシンタローは特に気を悪くした様子も無く、 「アンタ、味オンチじゃねーんだな。そうなると、やっぱりアイツ、元々味覚がおかしーのかな?」 と、呟き、何やら考え込んでいた。 「“アイツ”とは、アラシヤマのことですか?」 マーカーがそう聞くと、シンタローはギョッとしたように、 「えっ!?何で分かんだヨ!!」 と言い、しまったという表情をした。その様子が子どもっぽく可愛かったので、マーカーは少々からかいたくなり、 「痴話喧嘩は、犬も喰わないと言いますが?」 と言うと、シンタローは、ムッとしたように、マーカーを睨みつけ、 「痴話喧嘩って何だよッツ!?んなこと、ぜってー有り得ねェし!」 そう言った。 「あの馬鹿弟子は、一応、美味い不味いは分かるみたいですよ?」 「なら、何で、昨日不味い飯を食わせたのに、美味いって言って食べるんだ?別に気を使われても全然嬉しかねーのに」 シンタローはどうやら不貞腐れた様子である。マーカーは溜息を吐き、 「・・・こんなことを言うのは本来私の主義に反しますが。やっぱり、貴方が好きだからじゃないでしょうか」 シンタローは眉間に皺を寄せ、しばらく考えた末、 「―――アンタって、嫌な奴だな」 と言った。 「よく言われますよ」 マーカーが片頬を上げて笑うと、シンタローは言葉に詰まった。 「・・・ったく。ヤツが『お師匠はんは、“飛行機と机以外に食べられないものは無い”って言ってましたえ~』って言ってたから、アンタがどんな味オンチかと思ったのに」 「私は美食家ではありませんが、味オンチでもありませんよ?“飛行機と机以外~”は、中国の格言です」 マーカーは、 「ご馳走様でした」と言って立ち上がると、 「あの馬鹿弟子は趣味の悪い味オンチですが、唯一、貴方を選んだところだけは趣味が良いと誉めてやってもいいと思います。あと、“肉ジャガ”以外は、本当に美味しかったですよ」 「それでは」と言うとマーカーは一礼をし、部屋から出て行った。 シンタローは、苦虫を噛み潰したような顔をし、 「なんつーか、やっぱし師弟だナ」 と言った。









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