忍者ブログ
* admin *
[969]  [968]  [967]  [966]  [965]  [964]  [963]  [962]  [961]  [960]  [959
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

+
柔らかな響きが熱を帯びる瞬間。

つられるようにして俺の熱も上がり、息を深く吐き出しながら、腕を伸ばす。



「シンタローはん」

いいかげん年を食った男はまるで子供のような、なにも裏のない様子で笑いかける。

そのくせ艶やかな声は直接耳に吹き込まれ、ついでと言わんばかりに耳たぶを噛んでゆくから、たちが悪いのだった。

俺と並んでも遜色ない、引き締まった身体。

いや、俺よりは大分細い、が、シャープなラインにはしなやかな筋肉が張り付いている。

その肩に、ぐ、と指を食い込ませれば、頭上から降り注ぐのは、少し余裕のない笑い声。

「あかん、・・そないなことしたら、我慢きかなくなるさかい」

「・・我慢、してんのか」

「あんさんに乱暴したくあらしまへん」

じわり。

アラシヤマの声は熱を込めて膨らんで、俺の身体の中で弾け、侵食する。

指を、背中に滑らせる。

抱きつくように、もう片方の手も。

引き寄せて、首筋に顔を埋めて。

息を吸い込むと、汗と火薬が混じったような匂いが鼻を刺した。

アラシヤマの身体はひどく熱い。

もし、こんな状況下で発火したら俺はどうなるのだろうと幾度か考え、それでも今までに発火することは結局なかった。

「アラシヤマ」

名前を呼ぶのが1番効果的だと知っていた。

だから呼ぶのだ、何度も、繰り返し。

「アラシヤマ、・・もっと」

「・・いけずやなあ・・」

苦く笑う表情も、もう溶かされてしまうような熱い声も、嫌いじゃない。
PR
BACK HOME NEXT
カレンダー
06 2025/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
最新記事
as
(06/27)
p
(02/26)
pp
(02/26)
mm
(02/26)
s2
(02/26)
ブログ内検索
忍者ブログ // [PR]

template ゆきぱんだ  //  Copyright: ふらいんぐ All Rights Reserved