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nr3




日常生活








 携帯電話の着信音が鳴った。昼下がりの学校のカフェテラス。それほど回りには迷惑にならないだろうが、すぐさま鞄から電子音を響かせるものを取り上げ、音を切る。

 着信はメールだったようで、耳には当てずに画面を眺め、しばらく読んでゆく。

「・・・・・・」

 確認を終えると鞄に戻し、立ち上がってわき目も振らずにテラスを後にする。その颯爽とした後姿を、テラスにいた学生達は一人残らず注目していた。

 そのうちの一人が友人に聞く。

「すっげぇきれいな人だな・・・・・・大学生? ボーイッシュだけどスタイルいいよなぁ・・・・・・」

「何、お前知らねぇの? あの人はこの学校一の有名人なんだぜ?」

 信じられないもののように言われ、思わず反論する。

「そのくらい知ってるさ! 見るたびに皆、騒いでるし・・・・・・」

「そうじゃねぇって、あの人青の一族なんだぜ」

 隣の席から別の生徒が入ってきた。彼らと同じく高校生のようだが、学部が違うらしく見覚えはない。同席していた相手からやめなさいと止められ、不満そうにだがしぶしぶ乗り出していた身を引いた。

「へえ・・・でもあの一族って皆、金髪碧眼の西洋人色素じゃなかったっけ?」

 はじめに話していた二人組みのうち一人が、そう友人に聞くと、一度は呆れられたものの、おもむろにうなずかれた。

「そうなんだ。だからこそあの人は目立ってる。まあ、いまんとこ一族唯一の未婚女性で、周りをがっちり固められてるせいもあるんだけど・・・・・・」

「げ、そうなの?」

「そうそう。だからこそいろんな意味で・・・・・・狙ってるやつは多いけど、いまんとこフリーなんだ」

「はー・・・・・・」

 二人はテーブルごしにこっそり目を見交わすと、申し合わせたわけでもないのに、同時に同じことを言った。

『全く、惜しいよな・・・』

 それは、このカフェテラスで彼女の姿を目にしたもの全てが、思ったことでもあっただろう。

















 その人物シンタローだが、大学部の校舎に入り、階段を最上階まで上がると、廊下の突き当たりにある部屋を目指した。そこには数人の男女がたむろしていたが、一人が気付いて振り返ってくる。

「あ、来ましたよ! シンタロー様!」

「遅れたか? 悪ぃ」

「大丈夫ですよ、まだ・・・・・・」

 その女生徒と会話しながら、シンタローは生徒達の顔をなんとなく見回していたが、ふとあることに気付く。

「あれ・・・・・・? ジーンは? メールくれたのあいつなのに・・・・・・」

「あいつなら、楽譜忘れたって戻ったぜ」

 集団から頭ひとつ抜けて背の高い男(ここにいるのがほぼ女性のため)が言う。彼は続けて、だいぶ集まったからもう入ろうぜ、とも言い、集団はそれに従った。

 彼らはまずその部屋にめいめいの荷物を置いてから、机を一箇所に集めて、ある程度のスペースを空ける。それに参加しなかった背の高い男が、黒板に予定を書き付けていった。

「あれ、ぶっちょー! 今日は合奏ないの?」

「先生がいないんだよ。それにこないだ新譜配ったばっかで、個人練習も必要だろ?」

「だからこそ、一回やってみたいのにー!」

 ねー、と隣の女子と申し合わせる様子、部長と呼ばれた男は困ったように苦笑う。

「指揮振れるやつがくればしてもいいけど・・・・・・。集まり次第だな。ひとまず今は、個人かパートで。振り分け場所はいつも通りだ。いいか?」

『はい!』

 小学生のような返事をし、イスの準備を終えると、彼らは隣のもっと狭い部屋へ流れ込んでゆく。そこには楽器室という札がかかっていた。今いる音楽室の、おまけのような小さな場所だ。

 彼らはこの学園の吹奏楽部員だ。

 この学校は中、高、大を通じて基本的には一括した部活を設立しており、名目上は同じ名前の部は存在しない。学園祭などの学校行事は合同で行うが、各大会などは各学校で出ているので、実質は中、高、大にひとつづつ存在していることになり、練習場所も分かれている。

 それでも同じ敷地内にあり、ひとつの学校という意識のためか各部の結びつきは強く、楽器や楽譜の貸し借り、互いの情報交換などはかなり頻繁に行われていた。

 大学部まで来ると、大抵が顔見知りだが、同時にほとんどのものが自分の楽器を所有してもいた。なので、大学部の楽器室にほとんど学園の楽器はない。あるとしたら、大きなものか高いもの、あるいは卒業生の置き土産ぐらいのものだ。

「お、遅くなりました!」

「おー、来たかジーン」

「楽譜取りに行ったにしては、ずいぶん遅かったね。また迷ったの?」

「いえ、今回はさすがにもう・・・・・・」

 なにやら言いながら直に楽器室に入ってきた女――ジーンは、数少ない楽器を借りているものの一人だ。

 彼女の楽器はファゴット。大きさはそれほどでもないのだが、値が張るために、購入にはいたっていないらしい。

「ジーン、メールサンキューな」

「あ、はい。どういたしまして、シンタロー様!」

 自分の楽器を引っ張り出しながら言うシンタローに、ジーンは思い切り頭を下げ、脇に抱えていた楽譜をぶちまけてしまう。

「もー! 何やってんの!」

 呆れた声に慌てて紙を拾い集めるジーンに、周りの者達も腰をかがめた。なんだかんだ言いながら、和気藹々としたこの部の者達が、シンタローは好きだった。

 彼女は中学からこの部へ入り、楽器もずっと変わっていない。だが自らの楽器を持ったのはつい最近、大学に入ってからである。

 学校を含んだ企業の長の娘である彼女に、金がないわけはないし、望めば中学の頃から楽器は持てた。だが、彼女は高校に入ってからバイトをし、小遣いをため、自力で安くはない買い物をしてのけた。

「自分のことは自分でする」

 これがシンタローのモットーであり、この件も自分の信念を貫いたためだったのだが、理由はそれだけではない。

 父親に借りを作りたくなかったのだ。

 親子で貸しも借りも普通はないのだろうが、この親子は少しばかり他と事情が異なった。中学校当時は親子ではないということは知らなかったから、それは関係ない。ただ、常日頃から自分を甘やかす父親に頼りたくなかったのだ。

 「親の七光り」とは言われたくはなかった。

 やっとの思いで買ったシルバーの楽器を準備しながら、当時を思い出してため息を付くと、周りの後輩達が何事かと見上げてくる。笑ってなんでもないと返しながら、音出しへと向かった。

 管楽器の者達のほとんどが、彼女と同じようにベランダに出て、大きな音を出し始める。吹奏楽器は息を吹き込まないと音は出ない。つまりこの集団がどんなにうるさかろうとも、おしゃべりをしているわけではない。中学の頃はクラスメイトに、うるさくしてても怒られない、とうらやましがられたものだった。

 無言なのに騒がしいという奇妙な人々の中で、長身のシンタローは目立っている。何か言いかけていたがタイミングを逃してしまったジーンでなくとも、自然と目が行ってしまう存在だった。















 新しい友人とともに、ふざけあいながら校舎を後にしたりキッドは、耳に届いてきた音に顔をしかめた。

「あんだようっせーなー。毎日毎日ピューピューピューピュー」

 悪態をつくと、友人達もどっと笑って同意する。いくら広い敷地とはいえ、放課後にはどこかしらから必ず音が聞こえてくるのだ。興味のないものには、雑音にしか思えないだろう。

「全くだぜ。やるんなら防音の聞いた部屋でやればいいのに・・・・・・」

「何を言うんだ、もったいない!」

 リキッドに同意した男子に反発したのは、中学から学園にいたものだった。彼らのほとんどは高校からの編入生で、だからこそ学年の途中から入ってきたリキッドとも意気投合したのだが、唯一この男だけは変わり者で、彼らの集団と気が合ったのである。

「常に挑戦は必要だからね」

 偉そうにそういっていた男を、はじめは馬鹿にしていたものの、気付けば新入生達になじみ、仲良くやっていた。

 だからこそこの集団は、転校してきたリキッドも、あっさり仲間に入ったわけだが。

「何がもったいないんだ?」

 進入組の男子が聞くと、持ち上がりの男子は怪しい笑みを浮かべる。

「中に入ってしまったら、顔が見えないだろ? 吹奏楽部にはあのお方が所属しているんだ。こんな機会はめったにない」

 言葉を聞いた男子達は、一瞬顔を見合わせてから徐々に歓声を上げ始める。あの人が!? とか、そりゃ確かに、とか、ならとっとと行こうぜ、などと盛り上がる。提案した男は満足げな様子だ。

「なあ・・・・・・」

 その仲間にも加われず、一人きょとんとしているしかなかったリキッドは、おずおずと言葉を挟んだ。

「何の話してんだ? あのお方って誰だよ?」

「オメー、知らねぇかよ!」

 一人が答えると、よってたかって言葉が浴びせられる。

「そうか、リキッドはまだ来てから日が浅いもんな」

「しかも変な時に来たからなぁ・・・。入学当時は噂がすごかったんだぜ」

「そのせいか、今じゃあ一族が睨みを効かせて、統制してるからな」

「また来年になれば同じことなのにな。毎年やってんのかね、あの一族・・・」

 最後の言葉にリキッドを除いた一同は、生ぬるい笑みを浮かべる。やりかねない、という意味の笑みだったが、除かれたほうはさっぱり解っていない。

「一族って、青の一族? ここを牛耳ってるっていう・・・・・・。じゃあ、あのお方って、一族の誰かなのか?」

「おうよ!」

 と説明を始めかけたのだが、こらえ性のない一人はすでに、音に向かって足を進め始めていた。早くしないと中に入ってしまうという意見には、誰もが賛成だったので、全員でそちらに向かいながら話すことになった。

 それによると・・・

 今から見に行くのは、一族唯一の女性であり、一族の外見的特徴を唯一受け継いでいない人だと言う。

「とにかく美人でよー。性格はちときっついんだが、面倒見のいい姉さんって感じで、金髪じゃないせいか、近寄りがたさもないし・・・・・・」

 後半はすでに説明というより、自慢のような感じになっていたが、友人達がこれだけ言うのだからたいそうな人なのだろうなと、リキッドの胸も期待で膨らんでいった。

 ブレザー姿の高校生達は、あっという間に音源の下に集った。そこに固まって2階分ほど上のベランダを見上げる。上の方は気付いているのか気にしていないのか、こちらに注意を払うものはいない。

「っておい、どれなんだよ。このいっぱいいる中の、どれがそれなんだ?」

「ばかやろう! あのお方を“それ”呼ばわりするんじゃねー!」

 突っ込みというよりは力のこもったこぶしに頭を殴られ、リキッドは不満気に頭をさすった。知らない人なんだから仕方ないじゃないか、理不尽だ、という感想を抱えながら、それでもとりあえず上を見上げる。

 ベランダにいる人数は、当初よりも少なくなっていたが、来たばかりの彼らにそれは分からない。そもそも下から見上げている者達からは、楽器のせいで顔がよく見えない人物もいるのだ。その中から特定の人物を探し出すというのは、熟知しているわけではない人物なだけに、彼らには至難の業だった。

 リキッドをはたいた後も、彼以外の高校生達はじりじりしながらかの人を探していたが、程なく室内から集合の声がかかり、扉に近いものから一人、また一人と室内に消えていってしまう。

 ああー、と彼らが悲壮な声をユニゾンで上げると、帰りかけていた学生の一人が、彼らに気付き注意を向ける。

 銀の、一抱えほどもある楽器を持った人物は女性で、黒いロングヘアをたらして、手すりにもたれて下を覗き込んできた。

「お」

『あ!』

 リキッドを除く男子生徒と黒髪の女生徒は同時にそんな声を上げたが、先手を打ったのは上座にいた人物のほうだった。

「リキッドじゃねぇか!」

「え?」

『ええ!?』

 突然名前を呼ばれ、きょとんとしたリキッドとは裏腹に、友人達は驚きと疑問の表情で、横手と頭上を交互に見比べた。

「え? え? え?」

 そんな友人達に、明らかに狼狽した様子で辺りを見回す2色の髪の男を、女生徒は面白そうに見下ろした。

「ずいぶん慣れたみてーじゃねぇか。もう迷わないか?」

「は・・・。え・・・?」

「覚えてねぇのか? ・・・そんな記憶力でよくここに入れたな。・・・・・・オッサンのコネか?」

 なぜかしみじみと感心する女性と呆然と見上げたのは、リキッドだけではない。隣の友人達も同様だった。頬杖を付いてこちらを見下ろす女性の後方を、順々に学生が通り過ぎ、室内へ入ってゆく。ロミオとジュリエットのような状況を興味深そうに見るもの、通路を半ばふさいだ彼女を迷惑そうに避けるもの(人一人だけならたいした邪魔ではないのだが、互いに楽器を持っている分、とる幅が広いのだ)など、反応はさまざまだったが、そのうちの一人が、彼女の後方で足を止める。

「あの、シンタロー様・・・・・・」

「ん? あんだ、ジーン」

 地面を見下ろす女生徒シンタローは、茶色く細長い楽器を両手と、首にかけた紐で支えたジーンを振り返る。

「誰です、その人たち・・・?」

 やや心配そうに言う友人を、シンタローは首だけ振り向いた姿勢のまま、わしわしとなでる。その動きに楽器通しがぶつかりそうになったが、二人して申し合わせたような巧みな動きで、避けた。

「知り合いの高校生だよ。ほれ、うちの学校の制服着てるだろ?」

「・・・・・・」

「?」

 促して下をのぞかせたジーンが、疑問を貼り付けた表情のままで振り返るのを、シンタローは首を傾げて見やったが、やおらポンと手を打った。

「そっか。お前大学からここ来たから、高校の制服知らないんだよな」

「・・・そうですよ。シンタロー様に誘っていただかなかったら、大学にはいけませんでした」

「また、そんな大げさな・・・。ま、うちの学校に途中から入る奴って、誘われてってのが多いみたいだけどな。あいつもそうなんだぜ」

 と、突然指差されたリキッドは、さらにまじまじとシンタローを見つめる。上の二人はそうなんですかー、などと会話を続けていたが、彼は必死になって記憶の糸を手繰っていた。

(シンタローって名前で、大学生で長い黒髪で、どっかで会ったはずなんだけど・・・・・・)

「って、あー!!」

 思わず大声を上げると、常会の女性人と地面の高校生がいっせいに注目したが、かまわず銀の楽器を持つ女生徒を指差す。

「あんたは確か、ここに来た初日に理事長室まで案内してくれた人――!?」

「そうだぜ」

 たっく、ようやく思い出したか、とシンタローがつぶやくと、地面の高校生達がなぜかリキッドに飛びついた。

「な、何だよ・・・」

「バカ! 指差すなんて失礼だろ!?」

「あ、」

 気付いて慌てて手を引っ込めるが、友人の罵声は止まらない。

「理事長の娘を指差して、さらに知らないなんてお前、非常識だぞ!」

「へ・・・・・・? じゃ、お前らが言ってたのって・・・」

 一人一人、友人達の顔を見回す。あるものは重々しく、あるものは非難めいてあるものは哀れみをこめて、それぞれうなずいた。一人だけ知らなかった立場のなさに赤面したのは一瞬だけで、すぐに彼の顔からは血の気が引いた。

(ど、ど、どどどどどうしよう――!!)

 現状を理解したとたん、大きな混乱がやってきた。シンタローのことこそ知らなかったものの、リキッドはハーレムのスカウトでこの学校に来たのだ。理事長の人となりは実弟であるその男からよく言い聞かせられているし、彼が娘を溺愛している問いうのは、学校中の誰もが知っている。

 あくまで噂なのだが、幼い頃彼女を誘拐しようとした犯人を、警察より先に捕まえ、私刑にかけたとか、親しくなったものは必ず身辺を洗いざらい調査されるだとか、言い寄っていった男は問答無用で退学処分だとか・・・・・・・

 もちろんただの噂なのだが、それだけの話を聞かされていれば、一生徒である彼におびえるなというほうが無理だろう。青ざめた顔のまま、必死の思いでかの人を見上げる。

「すいま――」

「・・・・・・悪かったな、すぐ言わねぇで。言ったらお前、緊張しそうだったからよ」

「は・・・・・・?」

 出鼻をくじかれ、逆にすまなそうな顔で謝られてしまうと、こちらとしてはぽかんと立ち尽くすしかない。

「あんときはがちがちだったから・・・でも今はもうここには慣れたみてぇだな。そんだけ友達いるし」

「え・・・あ・・・ま・・・・・・・」

「その調子でオッサン――ハーレムとはとっとと縁切れよ。それと何かあったら言えな。放課後は大抵ここにいるから」

「は・・・あ・・・」

 リキッドからは確かな返事は発せられなかったが、中から呼ばれでもしたのだろう。シンタローとジーンは一度室内を振り返ってから、こちらに手を振りベランダから去って行った。

「・・・・・・シンタロー、さん・・・」

 そこまで経って、ようやくかけられた言葉を理解し、気に欠けてくれたことに感激していると、突然後ろからタックルを仕掛けられた。

「うわ!・・・・・・っぐ!」

 そのまま腕が首に回り、ぎゅうぎゅうと締め上げられる。息が苦しくなってたまらずもがいたが、友人は放してくれない。

「おいおいおいおい、抜け駆けとは許せねぇな・・・」

「ちょ・・・マジ苦し・・・! 何の話だよ!」

「シンタロー様とお知り合いとは・・・いったいお前は何をした!」

「つーかそれなら、とっとと俺らを紹介しろよ!」

「は、え? あ! ちょ・・・勘弁してくれよ、俺は・・・」

『問答無用!!』

 それ、とばかりに友人達に飛び掛られ、訳の分からぬままリキッドはもみくちゃにされ、情けない悲鳴を上げたのだった。





















 一方、音楽室では・・・

(あ、悲鳴。まーたシンタローの被害者が出たなぁ・・・)

(本人が無自覚なのが、いっそ哀れよね)

(ま、そんなんだから厭味がなくていいんだけどね、シンタローの場合)

(でもここまで鈍いと、相手だけでなく本人もかわいそうよ)

(もてないって思ってるからなぁ・・・)

(自分は結婚できないだろうって、おっしゃってましたよ)

(本当、ジーン!? あーあ、知らぬは本人ばかりなり・・・)

(あの一族に生まれたのが、運のつきかな・・・)

(そこまで言ったら・・・・・・)

「ほら、次! 音合わせて!」

 指揮者に示され、おしゃべり部員達は慌てて練習に戻る。全ての楽器の音をそろえると、彼らの望んでいた合奏練習が始まった。

「だ、か、ら、何にもないんだってぇーのぉ!」

 その音にかき消されたリキッドの叫びが、当の本人であるシンタローの耳届くことは、ついになかった。






















日常生活編、というか部活編です。私の趣味がもろだし。シンタローの楽器は私のやっていた楽器です。たぶん誰も知らないでしょうから、あえて名前は出しません。

リキッドとシンタローセカンドコンタクト。でもまだ互いに恋のこの字もありません。

自覚するのはいつの日か・・・


他人事のようですが、次からいきなりシンタローは自覚しちゃってますので。彼女(?)の自覚編も考えんとなぁ・・・








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