「痛っ……! 痛いって! ふっざけんな、てめぇ!」
「す、すんませんっ……」
痛みに耐えかねて声を上げると、触れていた手が慌てて離れた。
腕を自分のほうに引き戻して、巻かれたそれを一気に解く。
「痛っ……血ィ止まるだろうが!」
「だ、だって、シンタローさんがきつめにしろって……」
「馬鹿か! 加減しろ加減!」
だってじゃねぇよ!
誰が血が止まる程きつくしろって言った?!
少しばかり動いても解けないくらいにしろって言ったろうが!
……ったく、包帯もろくに結べやしねぇのかコイツは。
使えねぇヤンキーだ。
「貸せよ。自分でやっから」
しゅんとした顔で俯いている(俺が悪いみてぇだろうが)馬鹿から、包帯を奪い取って、 ……しかしどうしたもんかと考える。
右手が塞がっている状態で、(だからギブスってのは嫌なんだ。全く面倒くせぇ)
左手にこれを巻いてくのは、容易じゃない。
仕方なく、伸ばした包帯を口で抑えてどうにかそれを巻いていく。
かなり不恰好になるが……。
それも仕方ない。役に立たねぇヤンキーに頼ってられっか。
こっちの方が数倍はマシだ。
「何か……」
「あん?」
「口使うってヤバイっすねー……」
「はぁ?!」
何口走ってやがるこの馬鹿。大体誰せいだと思ってんだ。
「すんません、ちょっと我慢できないっす……」
「な……! 俺が知るかっ! さりげなく上に乗るなー!!!」
PR