「シンタローさん、ハイッ」
「何だ、コレは」
リキッドに笑顔で渡された、赤い…それはカーネーションだった。
いぶかしげにシンタローはリキッドを見やる。
「いやだなぁ。カーネーションですよ!」
その返答にゴン、と頭を殴る。
「んなこた分かってんだよ!何で、俺によこすのかって聞いてんだよ!」
「えーと…今日は」
「今日は?」
「お義母さまの日なんです!だから、いつもお世話になってるっていうことで…ねッ」
苦笑いでシンタローを見つめるリキッドに、もう一度頭を殴る。
今度は遠慮ナシに思いっきり。
「いっってぇえ~~。そうボカボカ殴らなくたっていいじゃないっすか!」
「だ・れ・が!お義母さまだッツ!!」
「え、違うんすか?」
いつものシンタローの態度に、お義母さまとしっかり認識してしまったらしいリキッド。
「ったく、何言ってんだか…」
思いっきり深くタメ息をつくシンタロー。
「す、すんませんッ」
「まぁ…でもこの花、キレイだし…」
少し笑みを浮かべたシンタローにリキッドは心奪われる。
「リキッド」
「は、ハイ…ッ!!」
「何ボヤッとしてんだ。早く花びん用意しろよ」
シンタローのその言葉に、パッと笑顔になるリキッド。
「は、ハイッ!今すぐに!」
リキッドは嬉しそうに花びんを探しに入った。
「ま、花にゃ罪はねぇしな」
シンタローは笑みを浮かべながら、カーネーションの匂いを楽しんだ。
⇒あとがき
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