(マジックside)
世界中で一番守りたくて
世界中で一番最優先で
世界中で一番愛おしくて
世界中で一番汚されたくなくて
世界中で一番汚してやりたい存在。
,
生まれてきた子は漆黒を纏って産声をあげた。
目を疑った、私たちは青の一族なのに金髪も碧眼を持っていなかったから。
一族の血を引いていないのか?と不安に包まれたのだが、同時に「普通」の子である事に安堵も感じていた。
そして段々逞しく育っていく息子を眺める。
何度も葛藤を繰り広げた原因の真っ黒な髪は長く美しく伸ばし。
瞳は魅入ってしまいそうになるくらい輝いていた。
そして息子として親子として愛していたのに………。
「シンタロー、愛しているよ」
“愛…?”
幼い頃はただ首を傾げていただけだったのに。
「そうだよ、パパはお前の全てを愛している、親子としても1人の人間としても」
“俺、アンタの息子だぞ?”
「そんなの私たちには関係ないよ、私は只シンタローという人間を愛しているだけ」
“寝言は寝て言え”
「シンちゃんは私が嫌いかい?」
“…あぁ、アンタなんか大ッ嫌いだ”
,
「そっか、大ッ嫌いか…随分と嫌われてるんだね」
“嫌い、大嫌い、最低だ、さっさと俺の前から消えろ”
大きくなったら口が達者になって反抗するようになった。
いつもの私なら負けじと息子に抱きついたりして耳元で愛を語っているだろう。
「…わかったよ、じゃぁね、おやすみ……」
“……あぁ”
今日は退散してみた、勿論シンタローの反応見たさに。
けど、何も反応してくれない。
いや、もしかしたら此が正常なものなのかもしれない。
私は世界中で一番守りたいものに溺れた。
, (シンタローside)
このまま、この男に溺れてしまえば楽だろうか?
幼い頃から溺愛され育てられた。
だから俺もその想いに答えるように好きだとか笑顔を向けていた。
しかし……
“愛している”
その言葉は子供の俺には嬉しいのものか重いものなのか分からなかった。
ただ首を傾げるしか出来なかったのだが、漸く理解出来た。
『親子では、やってはいけない。言ってはいけないものだ』
「俺は……分からないよ」
“分からないか…イイよ、いずれ分かる事だ”
「分かるのか?」
“…分からせてあげるんだよ”
「ッ???!」
その時の親父は今まで見てきた中で一番冷たい眼だった。
碧眼が俺の射抜く様に、全てを見透かすように見つめてくる。
どうすればイイのか、どう反応すればイイのか、どんな言葉をかければイイのか全く分からなくて。
ただ立ち尽くしか出来なかった。
“大丈夫、パパは優しいから…ね?”
「ぁ………ッ……」
,
そんな俺の気持ちを察したのか、優しく抱き締めてくれた。
頭では『突き飛ばせ、コイツの言葉に心を許すな、危険だ』そう言っている。
でも体に力が入らなくて、腕が上がらなくて、此以上優しくされたら溺れてしまいそうな気がして。
俺は親父から離れた
“…わかったよ、じゃぁね、おやすみ……”
「……あぁ」
黙って出て行く親父を見送る。
今までの俺なら小声で呼び止めたり服の端を掴んだりして止めるのに、動こうとしない。
2人きりの時はつい甘えてしまっていたが最近耐えるようになった。
「好きになっちゃ…駄目だ…」
そう、今の俺と親父の関係は行き過ぎている。
本来あってはならない所まできてしまったのだから。
だから、こうして俺が離れれば…親父もきっと…。
「俺の代わりを…」
捜すはず、俺より素直で良い奴を。
「そうだ、何時かは…別れてしまうんだなら…」
置いていかれるのは嫌だったから自分から離れる。
其れが今の俺に出来る唯一の離れ方。
面と向かって別れよう、なんて言えばアイツはどんな面をするのだろうか。
でも俺は言えなくて、言えばもしかすると自分が泣いてしまうんじゃないかって思えて仕方がない。
だから少しずつ離れて親父に俺が別れたい事を理解してもらえばイイのだ。
「アイツなら俺の代わりなんて…男でも女でも寄ってきそうだからな」
そうだ。
離れなくちゃダメなんだ。
, (マジックside)
今日のシンちゃん少し冷たい。
と言うより、構ってくれない。
まるで私を避けているようで胸の辺りがチクチクして痛くて悲しくなってくる。
『…おやすみ』
『あぁ』
たった一言しか返ってこなかった。
「おやすみ」と言う言葉でさえ言ってくれない。
引き留めたりして可愛い顔をまた見たかったのに見せてくれない。
「…本当に、嫌われちゃったのかな…?」
そんな事を呟いていると思い浮かんでくるのは、大嫌いの一言。
一番聞き慣れた言葉なのに今一番聞きたくない言葉になっている。
シンタローの部屋から少し進んだところに設置さるた椅子に腰掛け、離れた扉を見つめる。
「…シンちゃん」
もしかしたら今にでもあの扉を開けて私を捜してくれるかもしれない。
嫌いと言った事に後悔して焦っているかもしれない。
そんな思いが頭の中を駆けずり回って期待で胸が一杯になる。
しかし、扉は開く事なく廊下は静かなものだった。
「シンタロー…愛してる」
独り言のようにポロリと呟き、おやすみと言ってから扉へと背を向ける。
「………」
後ろから何か聞こえたような気がして振り返る。
しかし先程見た通りのままでシンタローも居ない。
なのに聞こえてきた誰かの声。
シンタローかと思った、しかし空耳だと思うことにして再び歩き始める。
「……メン」
「……シンタロー…?」
呼び掛けても返事がない。
こんな幻聴が聞こえてしまうほど私はシンタローに依存し愛していたのだろう。
「……ゴメン…」
「いいんだ、お前は悪くない」
「…ゴメン……」
「謝らないで、私はお前に謝られるのは苦手なんだから」
「…親父ッ」
「ねぇシンタロー、お前は父親の私と恋人の私…どっちが好きなの?」
「…分からない」
「私は両方好きだよ、息子に父として接していた時も…愛していると恋人で囁いたときのシンちゃんの焦り具合も」
「…バッカじゃねぇの」
「ふふ、ただ愛してるだけだよ」
, (マジックside)
今日のシンちゃん少し冷たい。
と言うより、構ってくれない。
まるで私を避けているようで胸の辺りがチクチクして痛くて悲しくなってくる。
『…おやすみ』
『あぁ』
たった一言しか返ってこなかった。
「おやすみ」と言う言葉でさえ言ってくれない。
引き留めたりして可愛い顔をまた見たかったのに見せてくれない。
「…本当に、嫌われちゃったのかな…?」
そんな事を呟いていると思い浮かんでくるのは、大嫌いの一言。
一番聞き慣れた言葉なのに今一番聞きたくない言葉になっている。
シンタローの部屋から少し進んだところに設置さるた椅子に腰掛け、離れた扉を見つめる。
「…シンちゃん」
もしかしたら今にでもあの扉を開けて私を捜してくれるかもしれない。
嫌いと言った事に後悔して焦っているかもしれない。
そんな思いが頭の中を駆けずり回って期待で胸が一杯になる。
しかし、扉は開く事なく廊下は静かなものだった。
「シンタロー…愛してる」
独り言のようにポロリと呟き、おやすみと言ってから扉へと背を向ける。
「………」
後ろから何か聞こえたような気がして振り返る。
しかし先程見た通りのままでシンタローも居ない。
なのに聞こえてきた誰かの声。
シンタローかと思った、しかし空耳だと思うことにして再び歩き始める。
「……メン」
「……シンタロー…?」
呼び掛けても返事がない。
こんな幻聴が聞こえてしまうほど私はシンタローに依存し愛していたのだろう。
「……ゴメン…」
「いいんだ、お前は悪くない」
「…ゴメン……」
「謝らないで、私はお前に謝られるのは苦手なんだから」
「…親父ッ」
「ねぇシンタロー、お前は父親の私と恋人の私…どっちが好きなの?」
「…分からない」
「私は両方好きだよ、息子に父として接していた時も…愛していると恋人で囁いたときのシンちゃんの焦り具合も」
「…バッカじゃねぇの」
「ふふ、ただ愛してるだけだよ」
, (マジックside)
今日のシンちゃん少し冷たい。
と言うより、構ってくれない。
まるで私を避けているようで胸の辺りがチクチクして痛くて悲しくなってくる。
『…おやすみ』
『あぁ』
たった一言しか返ってこなかった。
「おやすみ」と言う言葉でさえ言ってくれない。
引き留めたりして可愛い顔をまた見たかったのに見せてくれない。
「…本当に、嫌われちゃったのかな…?」
そんな事を呟いていると思い浮かんでくるのは、大嫌いの一言。
一番聞き慣れた言葉なのに今一番聞きたくない言葉になっている。
シンタローの部屋から少し進んだところに設置さるた椅子に腰掛け、離れた扉を見つめる。
「…シンちゃん」
もしかしたら今にでもあの扉を開けて私を捜してくれるかもしれない。
嫌いと言った事に後悔して焦っているかもしれない。
そんな思いが頭の中を駆けずり回って期待で胸が一杯になる。
しかし、扉は開く事なく廊下は静かなものだった。
「シンタロー…愛してる」
独り言のようにポロリと呟き、おやすみと言ってから扉へと背を向ける。
「………」
後ろから何か聞こえたような気がして振り返る。
しかし先程見た通りのままでシンタローも居ない。
なのに聞こえてきた誰かの声。
シンタローかと思った、しかし空耳だと思うことにして再び歩き始める。
「……メン」
「……シンタロー…?」
呼び掛けても返事がない。
こんな幻聴が聞こえてしまうほど私はシンタローに依存し愛していたのだろう。
「……ゴメン…」
「いいんだ、お前は悪くない」
「…ゴメン……」
「謝らないで、私はお前に謝られるのは苦手なんだから」
「…親父ッ」
「ねぇシンタロー、お前は父親の私と恋人の私…どっちが好きなの?」
「…分からない」
「私は両方好きだよ、息子に父として接していた時も…愛していると恋人で囁いたときのシンちゃんの焦り具合も」
「…バッカじゃねぇの」
「ふふ、ただ愛してるだけだよ」
, (シンタローside)
こんな勝手なことをして、まだ彼奴が好きだなんて。
「……ゴメン」
どうせ聞こえない。
「…ゴメン……」
どうせ届かない。
「…ゴメンナサイ」
扉にもたれかかり頭を抱えてうなだれるように呟く。
どうせ彼奴には聞こえていないんだ。
今の内に言いたいだけいっておこう。
好き、大好き、愛している。
「だからッ…ゴメン……」
「シンタロー……?」
「ッ!???」
扉の向こうから聞こえてきたのは居るはずのない者の声。
彼奴はとっくに部屋に戻っているはずだ!!!
今すぐにでも扉を開け確かめたかった、でも本当に居たらどうする?
「……ゴメン」
頼むから呼ばないでくれ。
「いいんだ、お前は悪くない」
そんな優しい声で話しかけるな、慰めるな、優しくしないでくれ。
「ねぇシンタロー、お前は父親の私と恋人の私…どっちが好きなの?」
こんな質問されると思わなかったから正直分からなかった。
でも、ふと両方好きだという答えが浮かんだ。
そして、まだコイツが好きなんだという思いを改めて思い知った。
「…分からない」
「私は両方好きだよ、息子に父として接してくれる時も…愛していると恋人として囁いてくれたシンちゃんの焦り具合も」
「…バッカじゃねぇの」
「ふふ、ただ愛してるだけだよ」
俺も同じだ、今まで好きで大好きで愛している。
絶対に言ってやんないがな。
「…父さん」
「ん?なんだい?」
「……愛している、だから…ゴメン…」
もう俺に愛を囁かないで、狂ってしまいそうになるんだ。
父からの異常なまでの愛情で育てられた俺は異常なんだ。
けどアンタが好きなのは本心だ。
こんな俺を愛してくれたアンタに感謝している。
だから…ゴメンナサイ。
end
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