忍者ブログ
* admin *
[689]  [688]  [687]  [686]  [685]  [684]  [683]  [682]  [681]  [680]  [679
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

r



「おいッ!テメーまた洗濯手抜きでやりやがったな!!」





「い、いえッ滅相も御座いませんです!!」





「嘘吐け、このヤンキーが!!」





「えぇ?!ヤンキー関係ないんじゃ…ってスミマセン、口答えしてゴメンナサイ!!」






スライディングでシンタローの前までいき土下座。

最近これが日課になってしまったお姑さんとの日常。

俺は普段決して手抜きなどしない、したらパプワに叱られてたからな…。

だが、シンタローさんが来てからは構ってもらいたくて。

シンタローさんにしか見抜けないくらいのミスをする。


今日は洗濯の時の洗剤カスが残っていたらしい。









,


「ったく、よくもまぁこんなミスを毎日毎日…パプアもよく耐えられたもんだ」



「も、申し訳無いです…」



「…テメー、こんなんでよく4年も保ったな」



「…はぁ」



4年の苦労を馬鹿にされるのは屈辱だった。
でも俺のやり方なら当然か、と開き直る。



「さて…俺は此処で残りの洗濯をしてっからテメーはパプアを探してこい」



「は、はい、行ってきます!」



飛び出すように出て行くリキッド。
その後ろ姿に溜め息を吐いてしまい何の言葉も出てこない。
シンタローは残っていた洗濯物を干し始めた。



「シンタロー」



「えッ…ぱ、パプア?!」



「…リキッドはどうした?」



周りをキョロキョロ見渡してから現番人を目で探す。
しかし姿形もなく目の前にいるのはシンタローのみ。



「ついさっきお前を探しに行かせたんだが…」



「僕はチャッピーと一緒に湖で水遊びしていたぞ」



「ワゥ」



「ったく、お子様は涼しく水遊びかよ」



「お前たちも洗濯に水を使ってたじゃないか」



「…あれは家事で遊びじゃねぇんだよ」



「でも使っていたぞ?」



パプアは負けじと引く気配はない。
そんな子供の様子に引かない自分を大人気なく感じて。



「…もうイイ…ところで、俺はリキッドを探しに行くけどどうする?」



「僕等も手伝ってやる」



「……サンキュ」




4年前と変わらないパプアの性格。
素直じゃない言葉の裏にはちゃっかりとリキッドを心配している。
そんな行動がまるで自分みたいで面影さえ感じていた。



しばらくしてジャングルに迷い込んだ。
パプアやチャッピーは歩きなれた道なのか迷うことなく進んでいく。
シンタローは黙ってついて行くだけ。



「…なぁパプア…」



「ん?」



「普段のリキッドの奴のさ…家事の様子ってお前から見てどうだったんだ?」



「真面目だぞ。ま、シンタローの時とは違って始めから上手くなんてなかったがな」



「そっか…」



「でも、シンタローが来てから手を抜くようになった」



「…俺のせいみたいに言うなよ」



だが、確かにパプアの言うとおりかもしれない。
俺が家事をするようになってからリキッドは手抜きを始めた。
何故なのか…ある程度は出来ていないとパプアは納得してはくれない。
つまり俺がくる以前はパプアが納得出来る程度は出来ていたことになる。
確かコタローを迎えに来た時の朝食…。
あれは良かった、あんなにも美味いものを毎日食わせてもらっていたと知った時。


本当に嬉しかった。


ま、俺ならアレの何十倍も美味い飯を作れっけどなッ。

でもコタローのそばにいたのは俺じゃなくてリキッド。


長年待っていた。


コタローが目覚めて家族として暮らせるようになることを。
危険だからと言って日本に監禁していた親父も。

まだ自覚はたりないがコタローの本当の兄であるグンマも。

まだ家族というものに馴染めていないながらも大切な存在だと理解できているキンタローも。

総帥という新しい地位を受け継ぎ今度こそ愛しい弟を守ろうと心待ちにしている俺も。


少し安心していてアイツに気を許していたらサボるなんて家政夫の風上にもおけねぇ。
見つけたら問い詰めてやる。



「…おい、シンタロー?」



「えッ、あ、何だ?どうかしたのか?」



「…ボーっとするな、リキッドを見つけてやったぞ」



パプワが指差した先にはパプワーッ!と呼びかけ探しているリキッドの姿。
こんなところからでも見ていれば真面目に探していて。
赤の番人の役割を果たせてんな、って思えるのに。
何故自分の前だと手を抜きわざわざ叱られるような事をするのか。
もしかしたら特戦にいた頃に同僚や上司からの虐めで芽生えたMっ子気質が彼をそうさせているのでは?



「…んな訳ねぇか」



「何か言ったか?」



何でもねぇ、と言い返してまたリキッドを見る。
どうやらまだパプワを探しているらしい。






,
普段サボってる罰として暫く探させるか。
などと考えてたら隣に居たはずのパプワがいつの間にか居なくなっていた。
まさか、と思い再びリキッドを見ると居た。
チャッピーに跨り乗って悠々とリキッドの目の前に姿を現す。



「チッ…パプワが行ったなら………」



渋々2人の元に向かおうとしたら何か聞こえてきた。
耳を澄ませてみれば目の前の2人の会話だとわかって。



「ぱ、パプワ?!今までドコに居たんだ?探したってのに…」



「おい、最近お前シンタローに叱られてばっかりだぞ」



「げっ!」



「何で手抜きするんだ?シンタローはカンカンだぞ?」



「あ…いや……お、俺だって…やらなきゃ駄目だって分かってんだけど…」



「分かってるならシンタローの足を引っ張るような事をするな」



驚いた。
パプワにそこまで想われてるなんて夢にも思わなかったから。
無性に嬉しくなって思わず頬が微かに赤く染まる。



「わ、悪い…でも…俺、近くにシンタローさんが居るとさ…つい見とれちまうんだよ」



見とれる?



「料理してる時のなんか楽しそうにしてる顔とかさ、洗濯してて綺麗になったときの嬉しそうな顔とかさ」



顔しか見てねぇじゃねぇか。



「すっげー綺麗でさ、可愛くも見えんだ…」



可愛く?
ちょっと待て…コイツ何言ってやがんだ?
何親父みたいに男前な俺様に向かって可愛いなんてぬかしやがってんだ?



「指とか綺麗だし、大きな背中とかもカッコイイし…」



…結局何が言いたいんだ?



「でも、そんなシンタローさんは俺を全く見てくれない…飯の時も遊ぶ時もパプワとばっかり喋って…俺との会話は比較的に少ない…」



「ヤキモチか?」



「うっ…そ、そうかもしれない…」



否定はしねぇのかよ。



「だから…とにかく俺を見てほしくて瞳に映してほしくて喋りたくて…手抜き…しちまったのかな…はは、俺どうしちまったんだろ」



男が男に変だよな、と自分を嘲笑うような笑みで俯くリキッド。
そして、自分の存在がリキッドにそうさせたのだという罪悪感。
本人の目の前に出るに出られないというもどかしさが嫌になり。



,
「けッ、やってらんねぇってんだ」



さっと立ち上がって2人から見つからないように先周りをしてパプワハウスへと向かう。
そして無意識の内に全速力で走っていた。
パプワハウスに着いて扉に手をつき走ったせいで荒れた息遣いをおさめようと深呼吸。
何故走ったのか、走る必要などなかったハズなのに。
そんな疑問が頭の中を駆けずり回ってガンガンと頭痛のように痛い。



「……ったく、何だってンだよ…」



そんな頃、パプワやリキッドはまだ話し合っていたのだがシンタローがなかなか出てこない。
もしかすると先に帰ったのかもしれない、と考えてリキッドに。



「シンタローが待ってるからさっさと帰るぞ」



「あ、あぁ……なぁ、俺また怒られるかな…?」



「…ちゃんと理由を言えばシンタローだって分かってくれる、なんたってシンタローだからな」



まるで自分の事のように自慢気に言うパプワに笑みが漏れた。
プッと笑うと笑うなッ!とチャッピーに頭を噛みつかれた。
痛い、こんな事をシンタローさんは4年前に体験し耐えてきたのか…尊敬します。
なんて考えながら頭から流れる血をハンカチで拭き取る。



「なぁパプワ…俺が手抜きしてること、シンタローさん怒ってるよな」



「当たり前だ、だから帰ったら謝るんだぞ」



「…わかった」



俯きながら愕然となる。
改まって聞く事じゃなかった、怒っていることなど当たり前だ。
まるで、この世の終わりを思わせるような絶望感に満ちた顔での溜め息。
そんな赤の番人に呆れてしまうパプワとチャッピー。



パプワハウスに戻ってくると扉の前でシンタローが立っていた。
まさに仁王立ち、リキッドたちの姿が見えると腕をくみ。



「遅い!遅い!お前パプワを探しに行ったんだよな?なのに逆に探してもらうってのはどういうことだ?しかも俺1人に飯の準備させやがって…一体何様のつもりだぁ?」



「も、申し訳ないっす!スミマセンッ!」



またまたスライディングで土下座する。
しかし、シンタローはその上からリキッドの背中をゲシゲシ足蹴にし上から見下ろす。



「スミマセン!謝りますから蹴らないで下さいッ!」



「あぁ?テメーはいつから俺に指図するようになったんだ?」



「ず、ずびばべん゛……」



泣きながらの謝罪に満足したのか溜め息を吐いてから足を退けてパプワハウスから離れていく。




「さっさと飯に行け、俺は先に水汲みに行ってくっから」



「い、いえ!俺が行きます!シンタローさんが先に」



「いいから先に食え、其れとも俺が作った飯が食えねぇってのか?」



「お先にいただいています、行ってらっしゃいませ」



土下座で見送りパプワハウスへと入ればパプワから何故か注目を浴びる俺。
あぁ、どうせ分かってるさ、シンタローさんは何処かって言いたいんだろ!?



「シンタローに謝ったのか?」



「えッ…そ、そっち?いや、まだだけど…」



「飯くらい1人で食える、チャッピーもいるしな」



「ワウッ!」



「…だから先に謝って来い」





まさか、こんな子供からこんな言葉を聞けるなんて思いもよらなかった。




何時もは俺たち2人には命令形で口を利くくせに、嫌にこんなことに敏感で鋭い。


更に気を遣わせてしまっている俺って一体何のためにパプアのそばにいるのだろうか。




こんな子供に気を遣わせるなんて、大人の風上にもおけないな。





「ごめん、パプア…すぐに戻るから!」



それだけ言って勢い良くパプアハウスを飛び出すリキッド。
シンタローと別れてからまだ時間はそんなに経っていないと確認すれば全速力で水汲み場へと向かう。



俺はなんて奴なんだ…。



シンタローさんばかりでなく、あんな小さな子供のパプアにまで迷惑をかけていたなんて。




あんな小さな子供にまで気を遣わせて心配かけさせて。



守るべき存在に救われて…なんて情けない番人なんだろう。




暫く走っていると漸く目的地の水汲み場へと辿り着く。
そこにはシンタローも居ていかにも面倒くさそうに水汲みをしていた。


「シンタローさん!!」



「ん?」



「す、すみませんでした!!」



「へ?何が?飯の事か?」



「其れもですけど…今まで失態と手抜きについてです!」



もう、どうにでもなれ!って気持ちでシンタローさんに自分の思いを全て打ち明けよう。
そうだ、そうすれば俺のこの胸の詰まった、何だかスッキリ出来ず、ずっと悩んでいた、この気持ち。



「そ、その…手抜きっていうか、手が抜けてしまったのは…見惚れていたからなんですッ!!」



「あ、知ってる」



「えッ……はい?!」



「だから、知ってるって言ったんだ」



「な、なんで…?」



「その…パプアが迎えに行った時、俺も一緒だったんだ」



ってことは…聞かれていたのか?
あの恥ずかしい思いを、未だに分かっていない己の気持ちを聞かれてしまった。



「あ、あの…すみません、気持ち悪い…ですよね」



苦笑いをしてシンタローを見る。
その顔は周りを見る余裕など全くなく、ただこの場から離れてしまいたいという思いでいっぱいだからだ。



「あ、あの…残りは俺がやっときますんで先に戻ってて下さい」



「…2人で持つ方が楽だろ、そっち持て」



「あ、はい……って、今の俺の話聞いてました?!」



「それがンだよ?」



「そ、それがって…気持ち悪い、とか思わないんですか?……自分で言ってて虚しいですけど」


そうだ、打ち明けると決めたのは自分。
気持ち悪がれようが嫌われようが自業自得なのだから。


なのに、なんで構ってくれるんですか?



「テメーだって知ってんだろ?親父が何時も俺に言ってくる台詞をさ」



「マジック様ですか?…確か“可愛い”とか“愛してる”…あぁ、聞き慣れてンですね」



「そッ、だから気にするな」



漸く水汲みも終えパプアハウスに戻ろうとしながらシンタローが呟く。
まるで昔を懐かしむように空を眺めながらリキッドの少し前を歩きながら。



「親父は家族として言ってるって分かってんだけど、俺は可愛いとか…そういう事言われんの嫌だった」



その言葉がリキッドの胸にグサリとくる、自分も言ってしまった。
しかも本人の目の前で…と嘆きながら真っ白になり砂となっていく。


だが、シンタローは更に言葉を続けた。



「…なのに、親父のは嫌だったのに……お前に言われても…ンなに嫌じゃなかった…」



「嫌じゃなかったんですかぁ………えぇッ?!」

,
驚いたリキッドをシンタローは目を向ける事なく最初より早足で先に行こうとする。
シンタローの後ろからはリキッドがしつこくきいてくる。



「い、今何て言ったんですか?!嫌じゃなかったって言ったんですよね?!ね?!ね!」



「う、うるせぇ!!」



「お願いします!もう一度、もう一度だけ言って下さい!!」



「誰が二度というか!ったく……言うんじゃなかった」



ボソッと呟いたのだがリキッドには聞こえていたらしくニヤニヤ嬉しそうに笑み浮かべて。



「今は…まだ、こんな曖昧なことしか言えませんが…ちゃんと気持ちの整理がついたら伝えますからね♪」



「気持ちの整理って…ったく、何が言いたいんだ?」



「…好きかもしれないって事ですvvV」



リキッドの言葉に一気に顔が赤くなったのが分かった。
何故だか分からないが恥ずかしかった、顔が赤くなり体が硬直して動かない。
いつの間にかシンタローを抜かしていたリキッドが不審に思いシンタローの顔を覗き込んで見る。



「どうかしたんですか?」



「えッ?!み、見るなぁぁぁ!!!」



「ちょッ、シンタローさぶッッ!!」



殴られた。
ただ心配して覗き込んだだけだったのだが殴られてしまった。
しかもシンタローは更に殴られたのびたリキッドにバカヤロー!と追い打ちかけパプアハウスへと駆け込んで行った。




シンタローの意外な一面を見たリキッドは至福の時を感じていて殴られた後にも関わらず



リキッドが笑顔だったというのを……



島のナマモノたちが次々に見かけたとか。




更にパプアハウスに帰ってからパプアに帰りが遅いと言われチャッピーに噛まれたとか




END

PR
BACK HOME NEXT
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最新記事
as
(06/27)
p
(02/26)
pp
(02/26)
mm
(02/26)
s2
(02/26)
ブログ内検索
忍者ブログ // [PR]

template ゆきぱんだ  //  Copyright: ふらいんぐ All Rights Reserved