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作・斯波

冷や汗かいて頑張っても
まるで太刀打ちできないんだ
息を切らして走ってみても



WILD CATには敵わない



側に寄んな、と煩そうに言う。綺麗な眼で、おまえは邪魔だと言外に通告されてる。
どう頑張ってもご機嫌は回復しそうにない。

―――こんなときは触らない方がイイ。

好きだと言って貰えたからって安心出来ない。
抱き合ってるからって気は許せない。
あの人は、そんなに安くない。

「あの」
「話は後。俺今からパプワと出かけてくるから」
「あ、はい・・・行ってらっしゃいませお義母様・・(涙)」

トシさんの持ってる日本刀だってこれほどの斬れ味じゃないだろう。
一言で会話を終わらせて背を向けるあの人は、振り向きもせずに俺の視界から消えた。

(俺は何をしたのか)
黙ってられるとドキドキする。
(それとも何をしなかったのか)
「何か文句でもあんのか、ああ?」
「えっ」

思いがけない場所で思いがけないタイミングの不意打ち。
パプワたちの目を盗むようにして侵入してきた舌が、硬直したままの俺の口の中を舐め回してまた出て行く。
「あ・・っ」
思わず洩れた声まで吸い取るキスはしめて2秒。
唇を離してニヤリと笑うあの人の瞳は妖しく濡れていた。

「―――・・・物欲しそうな顔してんじゃねえよ、ヤンキー」

くるくる変わる機嫌に振り回される。
俺の背筋をぞくぞくと快感が駆け上がってゆく。

ぼんやりしてたら、あの人を見失う。

俺の気持ちを知ってて、元の世界で一緒に過ごしていた従兄弟たちの話をする。
あの人とどんな関係だったのかなんて問いつめたことは一度もないけど、それでも俺の胸中は穏やかじゃない。
逆らったりしない俺の、それでも表情に気持ちが出ているのかちらりと俺の顔を見てあの人は唇の両端を吊り上げて微笑むんだ。

「んな不景気なツラすんな。俺が好きなのはオメーだけだよ」

イマイチ信じ切れない俺の、だけど今は一緒にいたいと願う気持ちまでもお見通し。

この人の笑顔はタチが悪い。
おまえなんか眼中にねえよ―――眼差しがそう言ってる。


なのに時々、ひどく無防備な顔を見せる。
「ちょ、こんなとこで―――」
「いいから早く」
「だけど誰か来たら」
「そんなの構わねえから。なあ、抱いてくれよ・・・今すぐに」
淫らに誘ってるくせに、その顔は何だか泣きそうに歪んでいて。
俺に向かって笑いかける唇がかすかに震えてるのを、心が千切れそうなほど愛しいと思った。

―――何かつらいことを知っているんですね。

笑顔の奥にふと、この人の昔が見えたような気がした。

「いつまでくっついてんだよ、離れろ」
「終わると冷たいっすね、アンタ」
「引きずんの、ヤなんだよ」

(黙っちゃいやだ)
あんたが不機嫌だと、俺はどうしていいのか分からなくなる。
(そんな顔しないで)
鬱陶しそうに睨みつけてくる視線に、どうしようもなく煽られる。

「俺、アンタが好きです」
「あっそ。―――」
変わり身の早さに焦らされて、俺なんか眼中にないと思い知らされて、それでも好きで好きでたまらない。

(素早いアンタはまるでWILD CAT)

だけど逃げても無駄だよ。
追いついてみせる。
きっと、必ず。


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作・斯波

こっちだけではなくあっちにも
どっちにも
逃げ道を残してる



WILD CAT に罪はない



側に寄んな、と言い放つ。本気だし、きっと冷たい目をしてる。
あいつに構ってやる気なんか、これっぽっちもない。

―――こんな夜は俺に近づくんじゃねェ。

好きだといったからって調子に乗るな。
俺を抱いてるからってつけあがるな。
俺は、そんなに甘くない。

「あの」
「話は後。俺今からパプワと出かけてくるから」
「あ、はい・・・行ってらっしゃいませお義母様・・(涙)」

でっかい雑種の犬みたいに人懐こい笑顔がいっぺんに曇る。
おずおずと背中を追ってる視線は痛いほど感じてるけど、俺は振り向かなかった。

(安心なんかさせてやらない)
黙ってるとドキドキしているあいつの鼓動までが聞こえてくる。
(もっともっと不安がればいい)
「何か文句でもあんのか、ああ?」
「えっ」

パプワたちの遊ぶ声を聞きながら、固まったままのあいつに噛みつくようなキスをした。
「あ・・っ」
思わず洩れたといった風情の声にかっと身体が熱くなる。
それを我慢して唇を離してニヤリと笑ってみせた。

「―――・・・物欲しそうな顔してんじゃねえよ、ヤンキー」

おまえが俺の気持ちを読みとれるようになるまで、これ以上はお預け。

おまえの機嫌なんか知ったこっちゃない。
もっともっと真剣に俺を追いかけてこい。

うっかりしてると逃げちまうぜ?

あいつの焦燥を知ってて、仲良くしてた従兄弟たちの話を半ば強制的に聞かせる。
俺とどういう関係だったのかなんてあいつは訊いてこないけど、それでもしゅんとしょげてる。
ポーカーフェイスが苦手なあいつの顔には気持ちが全部書いてあって、耳をぺたんと伏せた犬みたいなあいつを見ると俺は思わず笑いたくなるんだ。

「んな不景気なツラすんな。俺が好きなのはオメーだけだよ」

信じたいけど信じ切れない―――そう思ってるおまえの心くらい、とうに俺はお見通しだよ。

おまえなんか眼中にない。
今はまだ、そう思わせときたいから。


なのに時々、自分の気持ちを隠しきれなくなる。
「ちょ、こんなとこで―――」
「いいから早く」
「だけど誰か来たら」
「そんなの構わねえから。なあ、抱けよ・・・今すぐ」
灼熱にも似たおまえの激情で俺をめちゃめちゃにして欲しい。
酷くしてもいいから、何もかもを忘れさせて欲しい。

笑いかけた唇の震えを、おまえが気づかないようにと願った。

「いつまでくっついてんだよ、離れろ」
「終わると冷たいっすね、アンタ」
「引きずんの、ヤなんだよ」

殊更に不機嫌を装う俺を、あいつは持て余して溜息をつく。
だけど睨みつける俺の視線に、おまえの中の雄はどうしようもなく昂ぶってる。
そんなの百も承知さ。
だって煽ってるのはこの俺様なんだから。

「俺、アンタが好きです」
「あっそ。―――」
振り回して焦らしておまえなんか眼中にないと思い知らせてやる。
間抜けなハンターじゃ俺を捕まえることは出来ないんだ。

―――The cat has already fallen into your trap.

そんなこと、教えてやるつもりはない。

もっと俺を好きになれ。
もっと俺に本気になれ。
逃げつづけてみせる。
きっと、必ず。


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リッちゃんは腕枕とかしてみたいんだと思います。
かなわぬ夢。

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