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作・斯波


雨があがれば洗濯日和
まっしろに洗って乾かしたいのは
君のシャツと 僕の心



GREEN GREEN



扉を開いてリキッドは眼を細めた。
木々の緑が眼に沁みるほどに眩しい。
朝早く干した洗濯物はすっかり乾いて、抱え込むと胸がほかほかと暖かかった。
この二、三日雨が続いたので溜まっていた大量の洗濯物を床に放り投げ、仕上がりにうるさいスーパーちみっ子のためにアイロンのスイッチを入れる。
この島に来るまでアイロン掛けなどしたことがなかったリキッドだが、彼はこの仕事が好きだった。手の動きと共に布の皺がぴしっと伸びていく行程がたまらないのである。
鼻歌を歌いながら一枚一枚丁寧に仕上げていくリキッドの動きはリズミカルだった。
かけ終わると綺麗にたたんでいく。
ふと、その手が止まった。
リキッドの視線が手の中のシャツに落ちる。
自分より一回り大きなサイズのその白いシャツに、そうっとリキッドは頬を寄せた。
真っ白に洗い上げてあるのに、シャツからはかすかにその人の匂いがした。
静かに眼を閉じる。そうしていると近くに感じられるような気がした。

いつか去ってゆくあの人に、俺は想いを告げることが出来るだろうか。
見る者を吸い込んでしまいそうなあの黒い瞳が、俺を凝視めてくれる日は来るのだろうか。

きっとこのシャツにアイロンが当たっていることなんて気づきもしない、そんな人だけど。
それでも綺麗好きなあの人に満足して貰いたいから、今日も真剣にアイロンを掛ける。


「・・・あちっ」
アイロンが驚くほど近くにあったのに全然気づかなかった。
慌てて水で冷やし、ふうふうと冷ます。
だがもう指先には水膨れが出来かけていた。


高熱のアイロンも、きっと俺の心ほどには熱くないだろう。
火傷したのは指ではなく、きっと別の場所。

(シンタローさん)


俺の前を、その切ないほど強く広い背中で走り続けていてくださいね。
いつか俺が追いつく日まで、立ち止まらずに。


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洗濯はリキッドの時代。
もうヘタレとかそういう範囲ではなくなっている気がします。


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