この狭い家の中にいれば、いやでも(いやなはずもないけど)いろんなシンタローさんが目に入る。
例えば。
白いレースのエプロン姿で台所に立って、ダイコンの味噌汁を作っていたり。
鼻歌混じりに太陽の下、原始的な方法で洗濯をしていたり。
犬と子どもと戯れて、そのままうつらうつらと寝息をたて始めてしまったり。
3時のおやつ、しっかりと俺のぶんまで、用意してくれたり。
「・・・んだよ?」
「なんでもないっす!おいしそうだな、と」
「だろ?新作だぜ」
涼し気に透ける、カラフルなゼリーをスプーンで掬って、一口。
「どうだ?」
「・・ファンシーっす!」
「・・・・は?」
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