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ms*

「またケンカしたのか・・・」

部屋に入るなり、アザのついた兄の顔が目に映りハーレムは呆れたようにそう言い放った。
またシンタローだろう、と付け加えてもマジックの方は気にも留めないないのかニコやかにこちらを微笑んでいる。
そんな兄の気取った態度が癇に障ったのか、ハーレムはわざとらしく子供じみた稚拙な言い回しでシンタローの愚痴を零したが、
それでもマジックは上品に笑ったままだ。
おもしろくない、とばかりにハーレムが口を閉ざすとマジックは優しい口調で彼に言った。

「オマエにもその内わかるよ。」

あぁ、まったく。この人はいつもこうやってすぐに兄貴ぶるんだよな。
そんなコトをぼんやり考えながら寂しかった口元に1本のタバコを咥えてライターで手早く火をつける。
このライターはお気に入りで、いつも持ち歩いている。
フー、と息を吹けば濁った煙が天井を舞った。

「わかりたくもねぇな。」

タバコの煙を目で追いながら、そう呟くとマジックはく、く、と肩を揺らした。

「何がおかしンだよ?」
「ハーレムは、子供だね。」

四十幾つにもなって実の兄に‘子供’呼ばわりされるとは思わなかった。
思わず目を丸くしていると、マジックは自信たっぷりに彼に言った。

「素直じゃない子ほど、可愛いと思わないかい?」

はいはい、カッコつけ屋さん。
と、心の中でハーレムは軽くあしらってやった。





静かな、誰もいない総帥室の中でシンタローは一人、ギシギシと椅子を前後に揺らしていた。
今朝方、ほんの些細な事が原因で父親を殴ってしまった右手をシンタローはじっと見やる。
殴った自分でもコレほど痛いのだから、マジックの方は相当痛かったコトだろう。アザでもできているかもしれない。
そもそもケンカの原因は、シンタローが昨夜、部下と連れ立って夜遅くまで酒場で飲み明かして早朝6時を回ってから家に帰宅したコトにある。
マジックが嫌味ったらしくネチネチネチネチ文句をつけた事がシンタローの神経を逆撫でし、ついには暴力沙汰にまで発展してしまったと言うワケだ。
だが、シンタローの言い分としては大の男が25にもなって朝帰りした位でそこまで過剰に口を出される筋合いはない!
であったが生憎どちらも一歩も引かず今に至る。

右手を開いては閉じ、開いては閉じ、を繰り返す。

いつも思うのだが、何故あの父親はこう言う激しいケンカの時に絶対に手を出さないのだろう。

・・・まるで自分が本当に手のつけられないガキみたいじゃないか。

くそッ!!!と、力まかせに目の前の机を拳で思い切り叩く。
イライラしてしょうがない。仕事も手につかない。本当に最悪だ。
へらへらと笑うあの憎い父親の顔が頭をよぎった。

まったく。
何だってアイツはいつまで経ってもファンキーな親父でいるつもりなんだか!!!

そんな事でシンタローの頭はいっぱいだった。
無駄な時間が刻々と過ぎていく・・・。

(あんな父親、大嫌いだ。)

ゴツン、と硬い机に突っ伏して頬を密着させる。
そのまま目を瞑ると、やはり目蓋の裏にも父の影ばかりを追ってしまってまったくもって落ち着かなかった。

『私はオマエの父ではない』

突然、父親の痛烈な言葉が脳裏に甦り、シンタローはぎょっとして慌てて目を見開いた。
寒気がする程の冷たい言葉に未だショックを引きずっていると言うのか。
それが急に恥ずかしくなってシンタローはますます身体を縮めて机にうつ伏せた。

「・・・・。」

そっと自分の下半身に手をやる。
そう言えば暫らく女を抱いていないな。
そう一人ごちた。
こんな鍵の閉め切った寂しい部屋で一人でマスをかくなんて自分はどれだけ孤独なんだかまったく救われない。
シンタローは重いベルトを外す手を早めた。

「ぅわ・・・」

手にはもうネバり気がついていて、コレが所謂疲れマラってヤツか。オレはそんなに疲れてるのか。
それもこれも全部あの親父のせいだ。
そんな自己中な事を考えながら、欲望に忠実に、シンタローは自分のそれを片手で扱いた。
くぐもった声が部屋中に響き渡る。
何か、何か良いネタはないか。
そんな事を貪欲に求めるとやはりあの父親の事が頭に浮かんで、
そんな自分が情けなさ過ぎてシンタローの目にじわりと涙が滲んだ。

「くそ・・・・ッ」

感じてしまう自分が悲しかった。
認めない。認めたくない。絶対に。
それでも早める手を止める事ができなかった。

『シンタロー』

(アンタが!!アンタがそんな風にオレの事呼ぶから・・・!)

たまらなく胸が熱くなって切なくなる。
だけど絶対に言ってやるもんか。

「――――――――・・・・・父さん・・・・ッ・・・!」

一声啼いて、シンタローは自分の手の中にそれを放った。
部屋には、熱い吐息ばかりが残った。
・・・悲しかった。





昨夜のケンカが尾を引いていて、仕方なくシンタローは寄り道をする事もなくまだ夜も早い内から自宅へ帰ると
リンビングの方に煌々と明かりがついているのでそのままそこへ向かうと彼はいた。
テレビの前の大きなソファーベッドの上で綺麗な顔を仰向けにして眠っている。
目を閉じているせいかいつもよりあどけない無防備な顔には自分のつけた青いアザが未だくっきりと痛々しいほどに残っていた。
何かで覆い隠せば良いものを、まったく嫌味な父親だとシンタローは悪態をついた。
「そーゆートコがムカつくんだよ。」
寝ている事を良いことに、ここぞとばかりに文句を言ってやる。
それでも黙ったままの父の顔は、何だか奇妙な感じがした。
自分のつけたアザにそっと触れてみる。
何も、こんなに痕が残るほど殴ることはなかった。
嫌になるほど自己反省をする。
この人は、自分の事を可愛いと言っては愛してくれるがシンタローにしてみれば、そんな事はまったく信じられなかった。

本当はずっと昔から自分にコンプレックスを抱いていた。

父親とまったく似ていない事。
秘石眼を持っていない事。
素直になれず、つまらない意地ばかり張ってしまう事。

従兄弟のグンマの方が、よっぽど素直で親父に似ている。
そう思っていたらまさか本当にグンマが親父の実の息子だったなんて、
シンタローは今まで信じてきたものを一気に失ってしまった。
「父さん」
呟いてみる。・・・返事はなかった。
「父さん・・・」
目を瞑ったままのマジックの唇に自分の唇を合わせた。
涙が頬を伝った。
自分でもどうして泣いているのか解らなかった。
ただ、キスがしたかった。それだけだった。
頬を濡らす涙はとても苦いのに唇だけはひどく甘かった。
苦しいのと悲しいのとで胸がいっぱいになる。
声には出さず何度も彼を呼んだ。すると、
それに応えるように下から腰を抱かれて、思わず口が開くと舌がゆるりと歯列を割って口腔を犯した。
迎え入れた舌に自分の舌を巻き取られ、唇の端から吐息が零れた。
お互いの舌を何度も濃厚に絡ませながら、お互いを抱き締める。
唇を離すと、彼は笑っていた。
「どうしたのかな。シンちゃん。」
揶揄うようにそう言われて、シンタローは自分の顔が一気に熱くなったのが解った。
あんまりと言えばあんまりの仕打ちに怒りで身体が震える。
何も言わずに立ち上がろうとした時、とてつもなく強い力でその場に押し倒された。
「―――・・・あにすんだ・・・ッ!」
「それはこっちの台詞なんじゃないの」
意地悪すぎる問いかけに、シンタローは恥ずかさで死んでしまいたくなった。
これが昨夜の仕返しなのかと、そう思うと悔しくてしょうがない。
「・・・そんな顔しないでよ。」
苦笑するマジックに、シンタローは黙ったまま顔を思い切り背けた。
どうせ、どうせ何を言っても無駄だ。
コイツはオレの事なんて、ちっとも解ろうとしないんだ。そう思ったから。
冷たい人だと軽蔑するのに、どうしてキスだけはこんなにも優しいのだろう。
赤い舌がちらりと覗いて、どちらのものとも言えない唾液をしつこく絡ませ合う。
こんな事を繰り返していると、頭がどんどんぼやけてきてしまって何をされてもイイような気分になってしまう。
(もう、どうにでもなればイイさ。)
シンタローはそのままマジックのキスに溺れた。
長い指が慣れた手つきで服を脱がしていく。
胸を弄られる度、声が漏れそうになったが相手を喜ばせたくない一心でシンタローは必死にこらえた。
本当に生意気だと耳元で囁くと、マジックはシンタローの首元にきつく噛り付いた。
「ぅあ!」
これはたまらなかったのか、シンタローの口から叫び声が上がった。
それをおもしろがって執拗にそこばかり責めてくるので、シンタローはキッと目の前のサディストを睨み付けた。
「アンタわざとやってんだろ・・・!」
「もちろん」
にこやかに返される。腹が立つ親父だ。
「でもねシンタロー。噛まれて感じるなんて、オマエも結構な変態だと思うよ。」
「・・・・ッ!」
もう既に反応しきってる自身を握りながらそんな事を言う父親に、自分の羞恥心を極限まで煽られ、シンタローの顔が
今度こそこれ以上無理な位にカァーッと赤くなった。
「何でそんなコト言うんだ・・・!」
もう泣きたい。泣いてしまいそうだ。
顔を隠したいのに、両腕を片手で抑えられてそれもままならない。
本気で嫌になる。
こんな変態な親父も、

そんな変態を好きな自分も。

「シンタローが可愛いからだよ。」
“だからつい苛めたくなるんだ”そう呟いて、彼はシンタローのそれを包んでいる手を勢いよく擦り上げた。
「ッあぁ!」
途端に上がる嬌声。出したくないのに口から漏れて、自分でも止められなかった。
「ヤだ・・・!嫌だ・・・!!」
それでも扱かれる度どんどん感じてしまって、自然に腰が揺れだしてしまう。
マジックが戒めていた手を離すと、シンタローは両手で彼の首にしっかりとしがみ付いた。
「んん・・・あぅ・・・・うぅ・・・・!」
力一杯自分にしがみ付く息子のあまりの可愛らしさに、マジックはごくりと喉を鳴らした。
狙ってやっているのかと思う程、たまらない仕草だ。
中に指を挿れてやると、シンタローの口から切ない悲鳴が上がった。
「シンタロー・・・」
「父さん・・・・ッ!」
狭い入り口がめいいっぱい広げられて、襞を抉るように掻き乱される。
中を指が行き来する度にもっと奥に刺激が欲しくて、たまらなくて、シンタローの腰が揺らめき出した。
女を抱くよりも、こんな男に抱かれる方が感じるだなんて絶対に認めたくないがそれがどうしようもない事実だった。
「・・・、ッやァ・・・んん・・・・ッ!」
根元まで指が差し込まれて中の柔らかい部分に爪が当たって痛いのに最高に気持ち良い。
指が引き抜かれる瞬間思わず出しかけた声が浅ましくて情けなかった。
「んはぁ・・・・!」
微かに掠れた官能的な響きの声で、マジックがシンタローの名を何度も呼び続けると、
それが嬉しくてそれだけで何でも受け入れてしまえるような気になってしまう。
「はぅ・・・・ッ」
抵抗もなく受け入れると彼自身が深く奥へ差し込まれて内壁を抉るそれは、指よりもずっと熱くてたまらなかった。
「あ、は・・・・ぃや・・・ッ!」
「・・・嫌じゃないクセに。」
いやらしい吐息が部屋中に充満する。
広い背中に服の上から思い切り引っかいても、マジックは怒ることなくシンタローを抱いた。









***




「またアザが増えてるな・・・」
うんざりした顔のハーレムの皮肉にもマジックの顔は緩みっぱなしだ。
ニヤつく顔を抑えながら持っていた書類に目を向ける。
「よくあんなヒネくれモンを相手にできるな兄貴は。」
「そうかな?結構わかりやすくて可愛いと思うね。」
不適に笑う兄に、理解不能だとハーレムは肩をすくめた。
マジックの背中に引かれた赤い爪跡は、暫らく残ったようだ。
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