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「やっぱ日本人は納豆だよなー。」
そう独り言を言いながら台所でねりねりと納豆を掻き混ぜるシンタロー。
と、シンタロー以外誰も居なかった台所に突然人影が増えた。
シンタローに近づいてきた人物は皆様もご存じ、ナイスミドル(別名・救いようのない馬鹿)なマジックだ。
いつもなら近付こうものなら手なり足なりガンマ砲なり出てくるのだが、今回は納豆に熱中していたためか、シンタローはマジックの存在に気付かなかったようだ。
「シーンーちゃん。何してるの?」
久しぶりに近付けたことに上機嫌となったマジックは、喜々としながらひょっこりと背後から覗くようにしてシンタローの手元を見た。
シンタローは近付いてきた中年(注・元覇王です)を無視しようとも思ったが、如何せん、この男は答えるまでしつこくまとわりつくだろう。
安易にそれが想像できたので、舌打ちをした後に不本意ながら答えを言った。
「………見りゃわかんだろ、納豆だ糞中年。」
もちろん、暴言も忘れずに。
「へぇー、シンちゃんがそういうの食べるだなんて珍しいねぇ。」
シンタローが食べるものは、時間が無いときは簡単に食べれる出来合ものなのだが、時間があるときにはシンタロー自身が作ったものを口にすることが多い。
しかも作りだすと凝る性格なのか、手作りとなると一工夫も二工夫も手が入り、レトルトやインスタント系に頼ることは殆んど無いのだ。
だからこそ、本当に珍しそうにマジックは呟いた。
「…珍しくて悪かったな。たまにはいいじゃねぇか、無性に食いたくなっちまったんだから」
マジックのその言い方にムカッとしたのか、シンタローはぶっきらぼうに応えた。
しかしそれを言われた相手の反応は意外なものだった。
「えっ!?もしかしてシンちゃん納豆が好きなの!!?」
「んだよその反応は。…別に納豆は嫌いじゃねぇけど」
「そ、そんなぁ!ダメだよシンちゃんっ!!」
何故かマジックは納豆を断固否定する。
しかも頬を朱に染めながら。
「あぁん!?何がだよ!納豆は健康にいいんだぞ!!」
「いくらシンちゃんが納豆好きだからって納豆プレイはさすがにパパもどうかと思うよ!だってベットの上で納豆だなんて臭いよ絶対!後片付けも大変だよ!!あぁ、でもねばねばするっていうプレイはいいかもね。まぁシンちゃんが望ならパパ臭いのとか耐えて頑張っちゃうけど。それにシンちゃんだったらなにぶっかけても艶「眼魔砲っ!!」
今日もガンマ団本部には壮絶な爆音が鳴り響いた。
団員たちにとってもはや慣れてしまったそれは(いや、そんなに慣れたくもなかったが)、今日も彼らに恐怖ではなく、悩みの種を与えたのだった。
・終・
7月10日は納豆の日です。
7月10日に書いたのでこんな内容になりまし、た…
マジックパパは本当にどうしようもない中年です。
そんなどうしようもないパパに萌えます。
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