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as
 


別にお前が死のうと知ったこっちゃないけれど。

だけどこんなにムカつくことはないな。















We DIdn't Start The Fire
-side s-
















意識不明状態のアラシヤマを見たのはガンマ団施設内に戻ってからだった。
それでも思ったよりかは外傷少なくて、その時は割と考えなかった。
自分には他に思うことが幾らでもあったから。
そう 本当に二の次三の次。




間もなく総帥になると決めてからは特に日々の雑務に忙殺されて忘れ気味。
そのウチ目を覚ますだろうと。
またあの調子で自分の前に現れるだろうと。



なのにお前は一向に目を覚まさない。
外傷は治っていく。
なのに目を覚ます気配がない。
顔色は寒く気休めに触れると体温は低い。
死体のように目を覚まさない。

こうなると事情が変わってくる。


おいおい。
なんなんだ。




アラシヤマの病室では滅多に他の人間に出会うことはなくそれはたまに
ドクターの高松くらいであったがある時意外な人物と鉢合わせることになった。

アラシヤマのベッドから一歩離れて 横たわる部屋の主を見下ろしていたその男。

そういえばあまり一対一で向かい合ったことがない…
何度か例の豪放な叔父の後ろに控えめに付いているのを見かけたくらいで。
一種の気まずさを感じながら病室に入ると横目に自分を確認し軽く会釈する。
徹底的に冷酷な部分も感じさせるが反面礼を重んじる所がある男で
正直自分には彼とアラシヤマとの師弟関係というものが具体的には思い浮かばない。
というよりこの男のことをアラシヤマのこと以上に知らないのだ。

ふと特戦部隊は今日にもここを出るのだということを思い起こす。
隊長がああだから一所に収まってるのが窮屈なのだろう。
自分の総帥就任も任務も待たずに飛び出す辺りはあの叔父らしい。
(引き止める気にもならないし)
それで征く前にこの男は見に来たのか。
弟子の醜態を?


「コイツ…このまま目を覚まさねえのか?」
我ながら何かを期待してるような問いだと思った。
「わかりません」
表情は変わらない。
「…師匠のアンタならどういう状態かわかるかと思ったけどな」
「自爆技は私は実際に使ったことがないので予想の範疇を出ませんが」
それはそうだ。
自爆技だし。
「火を操るということがどういうことかおわかりですか」
「…さあ」
「火種なくして火は起こりません。
 簡単に言えば体内のエネルギーでもって発火し
 いかに少ないエネルギーで燃焼し増大させ操るか。
 エネルギーを使えばそれなりのダメージがあるものです。
 そこをコントロールすることを教えたつもりでしたが」

…コントロール?
それ下手だよなこいつ。

いつも感情のままに発火していたような気がする。
確か初めて出会った時も火傷させられたし。
余り思い出す事もないアラシヤマとの初対面当時の光景がなんとなく懐かしく過って思わず口の端が緩んだ。
相手に気付かれる前に素面に戻す。

「体内のエネルギーを全て使うのが自爆技です。
 見ての通り基本的に自分の炎では焼かれないので外傷は残りません。
 但し自爆技を使えばその時にすぐに命を落とすのが普通なので
 そういう意味ではこれはかなり特殊なケースと言えます。
 となるとこの場合アラシヤマが今後どうなるかは私にも解しかねる…」

そういう彼の頬には消えそうに無い火傷の後がまだ生々しさを伴って残っている。
色が白く端正な顔立ちにそれは主張も激しく。
彼がその時アラシヤマを抑え仲間を助けた(結果こちら側の人間も守られた)ことは聞いた。
実力は所詮師が上回っておりしかしお互いに全く違う形で傷付いた師弟。
消えない火傷と覚醒の遠い消耗と。


表情は変わらない。
「そのウチ目を覚ますのかこのまま目を覚まさないのか…
 或いは」

表情が変わらない。
しかし感じるのは。
やはりこの結果にこの師は怒っているのだと。


他人の為に自爆技を使った弟子にか。


そうさせた俺か。


もしくは

思うような弟子に育てられなかった自分にか。



…わからない。
全部かもしれない。
あるいは全くの見当違いかも知れない。


全てを燃焼させようとした弟子と抑えようとした師が
実は非常に近しい行動をとったのだなと感じた。
連想し自分にとっての師といえるもう1人の叔父のことを思う。
叔父が自分より強くなれと望んだことを。

ではこの男の場合は?
実際弟子の選択が不本意だったとして。
何を望んだのだろう?
自分より強くなれと?
もう1人の「自分」を作ることを?



なのに結局アラシヤマはアラシヤマで。
そのことが何故か自分を安心させる。



結局弟子の目覚めを待たずその男はその日の内に仲間と行ってしまった。

去り際にこんなことを言って。



「案外ちょっとしたことで目を覚ますかもしれません
 あなたが望んでやるだけでも」

「なんだそりゃ…」

「単純な男ですから」

僅かに破顔ってるように見えたのも気のせいかもしれない。



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