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現在、2月13日午後11:30.
シンタローは部屋のベッドの上で寝返りを繰り返していた。
明日は、ヴァレンタインデーだ。
そして、…誕生日だ。
けれど、シンタローは明日も仕事だ。
ここの所もずっと仕事で。
ぶっちゃけ、大事な人の誕生日のプレゼントも。
ヴァレンタインのチョコレートも。
何もない。

「…そもそも、おっさんはどこにいんだよ」

独り言。
ハーレムはと言えば現在どこにいるのかすら不明。
結構まめに連絡をくれていたのに、2月になってからは連絡がない。
最近は忙しかったので、連絡がなくても(さびしかったが)気にする余裕がなかった。
なんとなく見たカレンダーに、印がついていて、あぁ、そんな季節か。と実感。
ごろごろベッドの上を寝返りをしながらつらつらと考え事をしていた。
徐々に眠くなる。
時計の針が、12時をさした。
日付が進み、2月14日になった。
うとうととまぶたが重くなる。
あと少しで、眠る。
そのとき、

バタンッ!!

大きい音がして、驚いたシンタローが跳ね起きる。
何が起こった!?
ベッドの上でなぜか正座をしてきょろきょろとあたりを見渡す。

ドカッ!

再び大きな音がした。
そしてシンタローの寝室のドアが飛んでった。
驚いて、飛んでいったドアを見つめる。
どかどかと入ってきた一人の男。

「な~に正座してんだ、お前」

眩しいほどの金髪。
楽しそうな顔をしたハーレムが立っていた。
シンタローは呆然と目の前の男を見詰める。
顔を見るのは一月半ぶり。
声を聞くのは二週間ぶり。
全く行動の読めない手のかかる叔父。
大切で大事で大好きな恋人。
けど、この訪問は、何?
何を言ったら良いのか全く分からない。
そもそもドアを壊す(飛ばす)必要がわからない。
何からいって良いのか分からず、ただただハーレムを見ていた。

「シンタロー、今日は何の日だ?」

ベッドの近くまでやって来たハーレムが腰を曲げてシンタローの顔を見る。
今日?シンタローが繰り返すと、おぉ、と言いながら頷く。
ハーレムを指差して、誕生日。といったシンタロー。
そうだなぁ。と笑いながらよしよしと頭を撫でる。
後は?と続いて聞かれ、ヴァレンタイン。と答える。

「よしよし、わかってんじゃねぇか」

嬉しそうなハーレム。
わけが分からず首を傾げるシンタロー。
長い髪がさらりと揺れる。
曲げていた腰を伸ばし、ハーレムはあたりを見渡す。
ベッドの近くに置いてあるメモ帳とペンを持ち何か書いている。
わけが分からないシンタローはじっとハーレムを見つめる。
次第に、眠気が復活してくる。
うとうとと舟をこぎ始める。

「…んだ、シンタロー。ねみぃのか?」

何か書き終えたらしいハーレムが近づいてくる。
ベッドの正座したまま舟をこいでいるシンタローに苦笑している。
たりめぇだ、アホ。今何時だと思ってんだ。
言いたいのに外に出ていない。
むにゃむにゃとシンタローが言っている。

「ほれ、ちゃんと寝ろ」

ベッドに押されて、横になる。
ハーレムはベッドの端に座っている。
ぽんぽんとシンタローを寝かしつけるように叩く。
なんだろう、何を考えてるんだろう。
シンタローはぼんやりとした頭で考える。
けれど、眠くて頭はさっぱり働かない。
働いていたとしても、行動が読めない。
さっさと寝ろとでも言うように、手で眼が隠される。
視界が暗くなると、よりいっそう眠くて堪らない。
…ね、むい。
声にならない声でそう言い、シンタローの意識はなくなった。


「寝た、な」


ニヤリと、悪戯っ子のような顔で笑ったハーレムを見たものは、いない。




シンタローが次に眼を覚ましたのは明らかに自分の部屋ではなかった。
ぼーっとしばらく考え込む。
けれど結論は出ない。

「…なんで?」

寝ていた部屋には見覚えがある。
けれど、そこにいる理由が分からない。
自分はソコに行っていない。
行った覚えがない。

「お、起きたな」

ガシガシと頭を拭きながらハーレムが現れた。
部屋に、見覚えがあった。
そう、シンタローはこの部屋を知っている。
昔から、よく知っている。
ハーレムは朝からシャワーを浴びていたらしい。

「…どーいうことだ、おっさん」

睨みつける。
ハーレムはなんてことなさそうな顔で近づいてくる。
上半身は裸で、ジーンズを穿いて、頭を拭きながら。

「今日は何の日だ?」

寝る前にされた会話と同じ。
首をかしげながら、

「誕生日、とヴァレンタイン」

そうそう。
また笑いながら頭を撫でられる。
ソレを払って、睨みつける。
何で、俺はココにいるんだよ。
とでも言いたげ(おそらく言いたい)に。
ココは、ハーレムの飛行船の中のハーレムの部屋だ。
シンタローは自分で歩いてきていない。
では、どうして?

「俺が連れてきたからに決まってんだろ」

あっさりと。
さらりと。
何が不満だ?といいたげな顔で。

「だー!!何で、つれてきてんだよ!!」

俺は今日も仕事なんだよ!!
叫ぶシンタロー。
不満げな顔になるハーレム。
よいしょ。と言いながらシンタローを抱きしめる。

「おっさん!誤魔化すなよ!!」

抱きしめられてキスされて。
いつも流されてばかりいる。
それじゃ、駄目だ!
今日のシンタローはそう思っているらしい。

「…特別な日だぜ?」
「は?」
「今日は特別な日だぜ?」

シンタローの事を抱きしめて。
子供がすねているような口調で言うハーレム。
確かに、特別な日だ。
ソレは間違っていない。
顔が見えないから、顔を見ようと思って体を動かす。
けれど、ソレを拒否するように力が込められる。
シンタローがハーレムの顔を見るのは不可能のようだ。

「ハーレム?」
「今日くらい…」

ん?
ぼそぼそとしゃべるハーレム。
いつもの威風堂々とした態度ではなくて。
不思議そうにシンタローは待っていた。
ふかーく、息を吐いて。


「今日くらい、お前を独占しても良いだろ」


すねた様な口調。
照れたような口調。
抱きしめられたまま硬直しているシンタロー。
はっきり言って、恥ずかしい事この上ない。
でも、嬉しいと思ってしまうのはきっと、自分がこいつを愛してるから。
何も言わない(言えない?)シンタロー。

「心配すんな、書置きは残してきてやった」

堂々と自信を持って言い放つハーレム。
問題はソコじゃない。
とも思ったが、なんだか結局は許してしまうシンタローなのだ。
甘やかしてるかなぁ…。なんて思うが、仕方ない。

「…しょうがねぇおっさんだな、ハーレムは」

はぁ、と息を吐いて、笑ってやる。
もとより笑みは、自然と浮かんでしまったものなのだが。
仕事がある。
きっとキンタローは怒ってる。
それでも、愛しい人と一緒にいたいと思うのは当然だろ?


「誕生日おめでとう、ハーレム」


背中に手を回して、笑って。
最愛の人に祝福の言葉を。









「甘い監禁だよな」
「…あぁ」
特戦の残り三人はため息をつく。
ヴァレンタインだと言うのに、一日中空の上。
可愛い女の子をナンパにもいけやしない。
それよりなにより、
「今年はシンタロー様からチョコもらえねぇんだな」
「おいしいから楽しみだったのだがな」
「…仕方ないな」
甘い束縛と言う名の監禁。
ついでに言えば、ガンマ団総帥の誘拐だ。
すごい事をやらかしている。
けれど、それでも。
「俺らってお人よしだよな」
「そうだな」
「仕方ないだろう」
手のかかるラブラブな上司二人が好きなのだから仕方ない。
おそらく本部からの無線が入っているだろう。
場所を知られないために先ほど連絡を絶ったので本当の所は分からない。
自分たちにもお咎めが来るかもしれない。
「ま、誕生日だし」
「この苦労はプレゼントと言う事にしよう」
「…しかし」
「言うな」
どこに行ったら良いのだろう。
ガンマ団の支部がないところ。
二人の邪魔が入らないところ。
「ま、邪魔が入りそうだったら」
「俺たちで排除」
「するしかないな」

上司の独占欲で苦労する部下三人。
けれど、彼らは笑った。


誕生日おめでとうございます、隊長。








「…キンタロー?シンタローはどうしたんだい?」

ガンマ団本部、総帥シンタローの部屋。
サービスがシンタローの部屋を訪れていた。
けれど中にいたのはキンタローで。
寝室のドアは壊れていて、紙を握ったキンタローが立っていた。
わなわなと震えている。

「…叔父貴」

持っていた紙をサービスに渡し、キンタローは走っていく。
様子からして、シンタローはいないらしい。
そして、紙に書かれた文字を見て納得する。
おそらく向かったのは無線室。
無線をかけるのは特戦の飛行船。
けれどおそらく繋がらないだろうな。

「やってくれたね、ハーレム」

せっかくシンタローに会いに帰ってきたと言うのに。
双子の兄に先を越されてしまった。
しかも、こっちの行動が珍しく読まれていた事が憎らしい。




『シンタローつれてく
 そのうち返す

 ざまぁみやがれ、サービス』



END


はい。
2006年隊長の誕生日&ヴァレンタインです。
ねぇ、どうなのかしら、コレ。
まぁ、いつも通りの駄文。
ま、ハーレムとシンタローはイチャイチャしてると思いますよ。
ガンマ団本部では総帥にチョコを渡したかった奴らが大騒ぎ。
渡されたかった奴らも大騒ぎ。
グンちゃんあたりは
「ま、チョコは長持ちするしね」
とかいってしまってるかもしれませんね。

題名に意味はありません。
甘い幸せ?
捺樹は英語は赤点を取った女ですからね。
単語を繰り返すくらいしか出来ません。

06.2/13


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