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「…旅がしたい」

書類の山から声がした。
何を言い出すのかと目を向ければ書類が見るも無惨に吹き飛んだ。


「旅がしたいっ!」


書類が消えて見えたシンタローが立ち上がり、拳を握っている。

「旅ねぇ…例えば?」

酒を飲みながら聞けば、暫く沈黙。

「イギリス!」
「俺が案内してやろう」

つっても酒飲める所と食いもん屋だけだが。

「イタリア!」
「ロッドに案内させてやろう」

そのまま中国とドイツが続く。


「もう書類は嫌だぁ~」


さっきまでの勢いは消え、机に突っ伏す。
フーン。と言いながら足元の書類を一枚取る。
もともとじっとしてんのが嫌いな奴だからなぁ。


「じゃあ、行くか」
「へ?」


立ち上がりながら言えば驚いたような分かってないようなマヌケな声。

「旅。行きてぇんだろ?」

よいせ。
シンタローを肩に担ぎ上げて、歩き出す。
こいつ、また痩せたな…。


「ごめん!俺が間違ってた!!」


落ちている書類を踏みながら扉に近付く。
扉が開いて廊下を歩き出す。


「しょるいぃ~!」


ギャーギャー騒ぐシンタローをしかとして、携帯を取り出す。
掛けるのは勿論俺の飛行船に乗っている筈の部下その①。


「おー、俺だ。飛行船直ぐ出せる準備しとけ」


携帯に言った言葉を聞いていたシンタローが叫ぶ。

「もうろくしてんだ!!本気にすんなっ!!」

うるせぇなぁ。
その上失礼だ。
電話の向こうから、
『えっと……準備しときまーす』
の返答。
よし。
さて、どこに連れて行こうかねぇ。
今だ騒いでるシンタロー。
諦めの悪い奴だ。

「いい加減観念しろ」

尻に触りながら言う。

「尻に触れるな!撫でるな!!」
「分かった。分かったから黙れ、シンタロー」

ちょと我慢しとけば何も気にならなくなるって。


「でも!仕事がっ」
「休憩だ休憩。こんだけ騒いでんのに秘書どもが止めに来ないなら大丈夫なんだろ」


うっ。と詰まってシンタローがやっと黙る。
よしよし。


そのまま飛行船に連れていき、短くはないが長くもない旅に出るのだった。


実は騒いでも誰も来なかったのは予め人払いをして置いたからなんだが、シンタローは
知らないだろう。


驚くだろうなぁ。
総帥室に入れば散らばった書類。
総帥行方不明。

まぁ、酒置いてきたから、俺だってわかんだろ。

とりあえずは、小さな旅を楽しもう。
三人余計なもんもいるが。
シンタローが楽しめんなら、まぁ、そこらは目を瞑ろう。

END


隊長、確信犯?
多分どうやって連れだすか考えてたら、鴨がネギ持った状態で…

05.12/01
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