『オッサンが…何でか俺のことを凝視してる…』
一族特有の青い眼で不思議そうな顔をしながらじっと見つめてくるハーレムに、シンタローはどう反応すればいいのか判らず固まってしまった。
ハーレムに会ったのは十分程前。シンタローが自室から出てきたところで偶然顔を合わせた。
久しぶりにお互いの顔を見たのだが、相変わらずの二人は一分も経たない内に軽い挨拶が罵詈雑言に変わった。ここまではいつも通りで、何ら珍しいものでもなかったりする。
「とっとと借金返せよ」
「男だったらロマンを解れ」
この台詞自体が二人の挨拶なんじゃないかと思うくらい毎度平行した言葉をぶつけ合う。
そして次もお馴染みとなった“男同士の語り合い”に移ろうかというときに、ふとハーレムの動きが止まった。そして訝しげな表情を浮かべながら、目の前の甥をじっと見つめる。
「…何だよ、オッサン」
ハーレムの行動を不審に思って、シンタローも同じ様な表情を浮かべて相手を睨み付けた。
シンタローが投げ付けてくる鋭い視線は意に介さず、ハーレムはしばしの間その姿を青い眼に映し続けた。それから一歩近寄ると更に至近距離で見つめてくる。思い切り顔を覗き込まれて、シンタローはたじろいだ。
「………ハーレム?」
もう一度呼びかけてみるものの、その声に何の反応も示さない。何だか身に危険を覚えて、そっと離れようとしたシンタローだが、半歩動いた瞬間にがっちり腕を掴まれた。それに驚いて振り払おうとすると、シンタローが逃げないようにするためか、壁に体を押し付けられる。
「何しやがるッ!!」
予期せぬ相手の行動にシンタローは声を荒立てたが、目の前で喚いてもハーレムの耳には全く届いていないようであった。何かを考えるように真剣な顔をしながら迫り来るハーレムの雰囲気にのまれて、シンタローは完全に固まってしまう。それでも尚じっと見つめ続けたハーレムは、唇が触れるか触れないかの距離まで顔を近づけてから、ようやく口を開いた。
「何かお前、エロくなったな」
ハーレムの台詞にシンタローが絶句すると、いきなり目の前にいた叔父が吹き飛んだ。
誰が放った眼魔砲だとシンタローが横を向けば、非常に恐い顔をしたキンタローが眼に入る。自分の『半身』の様子に顔が引きつり思わずこの場から逃げ出そうとしたシンタローだが、あっさりと捕獲された。キンタローの腕にがっちりと抱き締められる、と言うよりも捕まえられる。
「ちょっ…何すんだよッ」
「お前は黙ってろ、シンタロー」
キンタローは、自分が放った眼魔砲で吹き飛ばした叔父が埋もれる瓦礫の山を鋭い眼光を湛えた青い眼で見つめる。勿論この位でくたばるわけがないハーレムは「痛ェ」と言いながら瓦礫の中から現れた。そのまま文句を言おうとしたのだが、二人の甥の姿を目にした瞬間、ぽかんと口を開けた。キンタローとシンタローを交互に見つめた後「へぇー」と納得いったように頷く。
一所懸命威嚇してくるキンタローと、その甥の腕にがっちり捕まえられながら現状理解が出来ていない為に大人しくしているシンタローを見ながら、ハーレムは心底面白そうに笑った。
一族特有の青い眼で不思議そうな顔をしながらじっと見つめてくるハーレムに、シンタローはどう反応すればいいのか判らず固まってしまった。
ハーレムに会ったのは十分程前。シンタローが自室から出てきたところで偶然顔を合わせた。
久しぶりにお互いの顔を見たのだが、相変わらずの二人は一分も経たない内に軽い挨拶が罵詈雑言に変わった。ここまではいつも通りで、何ら珍しいものでもなかったりする。
「とっとと借金返せよ」
「男だったらロマンを解れ」
この台詞自体が二人の挨拶なんじゃないかと思うくらい毎度平行した言葉をぶつけ合う。
そして次もお馴染みとなった“男同士の語り合い”に移ろうかというときに、ふとハーレムの動きが止まった。そして訝しげな表情を浮かべながら、目の前の甥をじっと見つめる。
「…何だよ、オッサン」
ハーレムの行動を不審に思って、シンタローも同じ様な表情を浮かべて相手を睨み付けた。
シンタローが投げ付けてくる鋭い視線は意に介さず、ハーレムはしばしの間その姿を青い眼に映し続けた。それから一歩近寄ると更に至近距離で見つめてくる。思い切り顔を覗き込まれて、シンタローはたじろいだ。
「………ハーレム?」
もう一度呼びかけてみるものの、その声に何の反応も示さない。何だか身に危険を覚えて、そっと離れようとしたシンタローだが、半歩動いた瞬間にがっちり腕を掴まれた。それに驚いて振り払おうとすると、シンタローが逃げないようにするためか、壁に体を押し付けられる。
「何しやがるッ!!」
予期せぬ相手の行動にシンタローは声を荒立てたが、目の前で喚いてもハーレムの耳には全く届いていないようであった。何かを考えるように真剣な顔をしながら迫り来るハーレムの雰囲気にのまれて、シンタローは完全に固まってしまう。それでも尚じっと見つめ続けたハーレムは、唇が触れるか触れないかの距離まで顔を近づけてから、ようやく口を開いた。
「何かお前、エロくなったな」
ハーレムの台詞にシンタローが絶句すると、いきなり目の前にいた叔父が吹き飛んだ。
誰が放った眼魔砲だとシンタローが横を向けば、非常に恐い顔をしたキンタローが眼に入る。自分の『半身』の様子に顔が引きつり思わずこの場から逃げ出そうとしたシンタローだが、あっさりと捕獲された。キンタローの腕にがっちりと抱き締められる、と言うよりも捕まえられる。
「ちょっ…何すんだよッ」
「お前は黙ってろ、シンタロー」
キンタローは、自分が放った眼魔砲で吹き飛ばした叔父が埋もれる瓦礫の山を鋭い眼光を湛えた青い眼で見つめる。勿論この位でくたばるわけがないハーレムは「痛ェ」と言いながら瓦礫の中から現れた。そのまま文句を言おうとしたのだが、二人の甥の姿を目にした瞬間、ぽかんと口を開けた。キンタローとシンタローを交互に見つめた後「へぇー」と納得いったように頷く。
一所懸命威嚇してくるキンタローと、その甥の腕にがっちり捕まえられながら現状理解が出来ていない為に大人しくしているシンタローを見ながら、ハーレムは心底面白そうに笑った。
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