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「なぁ、キンタロー…」
「何だ?」
 俺は背後にピッタリくっついて離れない金髪の従兄弟に向かって何度目になるか判らない抗議を上げるべく名前を呼んだ。それに対するキンタローの返事は、相変わらず淡々としてる。
 ここ三日間、キンタローがずっと俺から離れようとしねぇ。朝から晩まで、それこそ寝るときもベッドに潜り込んでくる始末だ。原因は判ってるけどいくら何でもやり過ぎだろと俺は思う。
「あのさ…お前は何でそんな…」
「傍にいたいからだ」
 俺が台詞を言い終わる前に、もう何回聞いたか覚えてないくらい耳にした台詞を返してきた。
「いや、だから…」
「嫌なのか?俺が傍にいるのは」
「そーじゃなくてだな…」
 口調はいつもと変わんねぇし、飄々とした態度も少し鋭い視線も普段通りで、上品なスーツを着こなす紳士の姿もずっと見てきたもんなんだけど、その何でか漂う哀愁は何とかなんねぇのかよ。おかげでこっちは強く出れやしねぇ。
「ならば、良いということだな」
「……………」
 何でコイツの頭の中はゼロか十しかねぇんだよと思いながら俺は閉口した。
 キンタローがこうなった原因は俺にある。
 一週間、俺はキンタローのことを完全に放置した。その原因が仕事だったらこうはなんなかったんだろーけど、久しぶりに会った仲間と盛り上がって連日飲み歩いてたのが理由だから、俺は何も言えなかったりする。だけど異なる任務で帰還日が全員バラバラだったんだから仕方ねぇだろ?…って言ったらグンマに怒られた。確かに目先の楽しみに捕らわれて、まだ時々不安定になるキンタローを完全に放っておいたんだから原因は百パーセント俺にある。あぁ、判ってるよ。
 だけどほぼ二十四時間ずっと一緒だぞ?三日間だから七十二時間……やりすぎだろ、コレは。
 そう思って抗議を上げてみたものの、キンタローは傍にいるのが良いのか嫌なのか、二択で問い返してくるから、返答に窮するんだよ。嫌じゃねぇけど限度を知れって言ってやりてぇ。言ってやりてぇけど、コイツが背負ってる何とも言えねぇ哀愁がその邪魔をしやがる。
 あーあ、と心の中で溜息ついて、俺はキンタローをじっと見つめた。それからふと思いついて動物を愛でるような気持ちで綺麗な金糸が輝く頭を撫でてみた。
 そしたら漂ってた哀愁が消えて嬉しそうな空気が俺等の周辺を取り巻いた。何だよコノ反応。
「………お前って、ホントに俺のことが好きだな」
「今更だ」
 嫌味を言ったつもりが真顔で肯定されて、また俺は閉口する羽目になる。
 今度はキンタローの目の前で盛大に溜息をつくと、俺は「…行くぞ」と促した。
 後ろを歩いてくっついてくるキンタローを気配で確認しながら、何だかんだでコイツを受け入れてる俺も相当なもんだと思った。ホント、俺もお前のことが好きだな。










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