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士官学校時代からとても気になっていて。
彼の黒い艶のある髪だとか、真っ直ぐな気性とか、総てが自分には輝いて見えた。
でも、彼は自分の所属する団の総帥であるマジックの息子で。
一生報われない恋心を軋む胸に抱いているしかなく。
好きと伝える事すら許されないこの気持ち。
彼が唯一自分に興味を持ってくれたのは、日本人にあるまじき金色の髪と青い瞳。
その色、いいよな。と、言ってくれたから、特に好きでもなかったこの色が自慢になって。
いつしか伸ばすようになっていた。
憧れの人。
彼に話しかけてもらえた、会話してくれた、それだけで今日が素晴らしく意味のあるものになっていく。
なのに。
突然届いた訃報に、ミヤギは愕然とするのだった。
“シンタローが秘石を持って逃げ出した”
その情報に耳を疑った。
シンタローは頭のいい奴で。
どうしてそんな馬鹿な真似をしたのだろうと、ミヤギは普段殆ど使われない頭を使って考えた。
例え総帥の息子であろうとも、総帥の物を盗んだとなれば罰を受ける。
それはシンタローも解っているはずなのに。
しかし、悲しいかな、自分が忠誠を誓ったのはシンタローではなくマジック。
団がシンタローを連れ戻し処分を決定すると言われればそれに従わなければならない。
総帥が右と言ったら右、左と言ったら左。
団とはそうゆうものであり、ミヤギも又、ガンマ団の士官学校でそう教わった。
裏切り者には死を。
これは教訓。
世界一の殺し屋集団なのだ。
その位は当たり前だろう。
「そっちにシンタローは居ただぁらかミヤギ君!」
「いや、こっちには居ねぇべ!」
警報機がやけに煩くなり響く。
団員達が血眼になって探したにも関わらず逃げおおせたシンタローに、ミヤギは素直に流石だと関心する。
程なくして、シンタローと士官学校時代の同期がマジックに呼び出された。
集まったのは100名。
数人かけているのは戦いで殉職した者がいるからだ。
「君達に集まって貰ったのは他でもない。シンタローを連れ戻して来られる人選を探している。君達はシンタローと同期だ。シンタローのパターンを他の者達よりは知っているだろう。勿論連れ帰って来たあかつきにはそれ相当のご褒美をあげるよ。誰か行ける者は居るかい?」
“褒美”という甘美な響きにざわついた。
行くか行かないか。迷う所でもある。

行って運良くシンタローを連れ戻して来られれば英雄だろう。
しかし、その可能性は限りなく低い。
なんていったって、相手はガンマ団No.1の殺し屋なのだ。
失敗すれば二度とガンマ団には戻れないだろう。
運が悪ければ殺される危険性もある。
しかし。
皆が悩んでいる間、ミヤギはスッと手を上げた。
褒美が欲しいとか、そんな理由じゃない。
ただ単にシンタローに真相を聞きたかったから。
あの頭はいいが、真っ直ぐで、自分の意思を貫く彼が何故こんな騒動を起こしたのか。
大体の予想はついている。
多分、弟の事だろう。
でも、それだけだろうか?
シンタローはマジックを恐れながらも愛している。
それは家族だけが持つ無償の愛で。
だからこそシンタローはマジックから離れる事ができなかった。
例え弟を監禁する父親であっても。
「ミヤギ、だったね。解った。第一の刺客は君に任せよう。」
マジックは少しだけ笑いを讃え、そのまま背を向け、そのまま去っていった。
マジックの姿が見えなくなると、隣に居たトットリがミヤギの腕を掴んだ。
「どうしたんだぁらか、ミヤギ君ッツ!シンタローに僕達が敵う訳ないっちゃ!」
「そっだらこと解んねーべ!オラは行くっつったら行く!」
「褒美だって、命あっての物種だっちゃよ。」
「褒美とかそんなん関係ねぇ!オラはスンタローに勝ってNo.1の座を取りたいだけだべ!」
嘘だった。
本当はシンタローに会いたい、ただそれだけ。
いつも見てしまう。
居ないはずの黒髪を。
あの声を。
ガンマ団を取るかシンタローを取るか、まだ答えは見つからないが、それでもシンタローに会いたい気持ちは本物で。
心配するトットリには申し訳ないが、ミヤギの決心は変わりなく。
「僕等離れててもベストフレンドだっちゃよ。」
「勿論だべ、トットリ。」
ガッシリと熱い友情の言葉と握手を交わしたのだった。
出発は今すぐらしく、ミヤギは簡単に荷物を纏めるとまるたに乗ってシンタローの元へと出発した。










パプワ島についてからいろいろあった。
しゃべる生物に無敵のちみっ子。
そしてそのちみっ子にめちゃめちゃこき使われているが、見た事もない位生き生きとしたシンタロー。
全力で戦ったがあっさり負けて植物にされた事もあった。
次々と新しい刺客が現れたりもした。

それでもシンタローは全戦全勝。
No.1の名は伊達ではなかった。
シンタローにリベンジする為、トットリとミヤギはよくコンビを組んであれやこれやと考える。
いつも失敗するのだが、それでもやるのだ。
「ミヤギ君、僕そろそろバイトの時間だっちゃ。」
「こげな夜遅くにか?」
「遅くって…そんなに遅くないっちゃよ。」
「それもそうだべな。」
パプワ島には時計がない。
だがら日が沈むと、とっぷりと暗くなったように思える。
トットリを送り出した後、ミヤギは何もする事がなく、横にごろんと寝転がった。
星が近くに見える。
手を伸ばせばそこにある気がした。
「何してんだ、オメー。」
気を抜いていたのだろう。
ミヤギは声をかけられて初めてシンタローの存在を知った。
食料を取りに来たのか、大きな、蔓で編んだ籠をしょっている。
「ス、スンタロー!!」
いきなり目の前に現れた人物に、思わず大声を出した。
そして、素早く起き上がる。
「な、なすてオメーがここに居るべ!!」
そう言って、生き字引の筆の柄に手をかける。
戦闘体制だ。
しかし、当のシンタローは特に気にした様子もなく、さっさとミヤギの場所から離れて行く。
どうやら、ただ通り道だっただけらしい。
オラ、めちゃくちゃ意識しすぎだべ……!
むしろ、シンタローが俺様過ぎるだけなのだが、惚れた弱みというか、なんというか。
それだけでなく、ミヤギの頭が弱いというか……。
「無視すんでねーべ!スンタローッツ!!」
「アアン?何だヨ。」
「クッ……自分から質問投げかけてきたくせにこの仕打ちはねーべ……」
悔しがるミヤギにシンタローはたいした興味もないとばかりにちらっと一瞥してさっさと行こうとした。
なので、慌ててシンタローの腕を掴む。
「き、今日こそオメを倒すてガンマ団No.1の座を頂くべ!!」
シンタローの腕を掴んだまま、生き字引の筆を抜こうとした時。
「お前に俺を倒せる訳ねーだろ。……だってお前、俺に惚れてるもんナ。」
…………
…………
…………
一瞬時が止まったと思った。
サワサワと風が木々を揺らす音すら聞こえない。
「……な、なすて……」
声が裏返ってしまう。
隠せてた。隠し通せてた。
確かにそう思ったのに。
どうしてこの男には解ってしまうのだろう。
考えを読まれてしまうのだろう。

「えッ、マジで?」
「は?」
ミヤギの慌てぶりを見たシンタローは内心慌てた。
冗談で言った言葉。
ミヤギとは士官学校時代からの知り合いであった。
昔からシンタローに対して尊敬しているような所があって。
シンタローと同じ学年の人間は三つのパターンがあった。
一つはガンマ団総帥の息子である自分に気に入られようと媚びを売る人間。
もう一つは、そんなシンタローを疎ましく思う人間。
そして、最後の一人は、シンタローをシンタローとして見て尊敬する人間。
ミヤギはこの三番目のタイプの人間であった。
だが、まさか惚れてるなんて。
「騙したんだべか!スンタロー!!」
「人聞きの悪い言い方すんなよナ。オメーが勝手にベラベラ喋ったんじゃねーか!」
「オラ、ベラベラなんて喋ってねーべ!」
「喋ったからこーなったンじゃねーかッツ!」
「それはスンタローが知ってるよーな口ぶりだったからだべ!」
「だからー……やめよう。水掛け論だ。」
ふぅ、と一息ついて、シンタローはその場に腰を落とした。
背負っていた籠を横に置いてミヤギを見上げる恰好になる。
立ち尽くしていたミヤギだったが、自分だけ立っているのも、と思い、地面に座った。
「ま、一回位なら抱かせてやってもいいぜ。」
「は?」
ミヤギが座ったと同時に言われ、これでもかという位、間抜けな顔をした。
何て言った?
パチクリと目をしばたかせた。
「俺、お前嫌いじゃねーし、お前の髪と目の色、結構好きだし。」
「え、と……」
これはスンタローも好き、とかいう美味しい展開なんだべか。
ドキドキしながらシンタローを見る。
動悸がしてるのだから当然顔も熱くなってきた。
静まれ~!静まるベ!オラの心臓ッツ!!
ゴクリと生唾を飲み込む。
そんな雰囲気のせいか、はたまた動悸のせいか、いつもよりシンタローが色っぽく見えた。
「だけど付き合うとか、そーゆーのはナシな。」
え。
シンタローの言葉にミヤギは固まった。
それは俗に言う体だけの関係ってやつだべか?
「………馬鹿にすんでねーべスンタロー。そんなの要らない。オメも、もっと自分の体、大切にすろ!」
そうだ、そんな心が伴っていない関係なんてなりたくない。
両思いかも、なんて浮かれていた自分が恥ずかしい。
「恋人なんてのになっちまったらその時点から別れのカウントダウンだぜ。俺はお前とはそうなりたくない。」

真面目な顔つきで言われた。
「そ、そんな事言われても騙されねーべ。心が大事なんだ!」
「俺はきっと誰とも付き合えない。オメーも解ってンだろ?秘石取り戻して、コタローを外の世界に出せたとしても、結局俺はマジックに掴まっちまう。そうゆう運命なんだよ。」
そう吐き捨てるように言うシンタロー。
オラと一緒に逃げよう。コタロー様の事は忘れちまえ!
そう言いたいのを喉元まで出かかって言うのを止めた。
言える訳がない。
だって、そうだろう?
コタローの為に危険を犯して、父であり、総帥であるマジックから逃げ出した。
そして。
ミヤギは思い出す。
学生時代、コタローを監禁された時のシンタローを。
あんなに明るくて元気だったシンタローが人が変わったようにニコリともしなくなった。
その位弟が大切なのだ。
自分はどうなってもいいから弟を助けたいのだろう。
ああ、そうか。
それが秘石を持ち出した理由か。
答えはこんなに簡単だったのだ。
「オメーだってガンマ団の人間である以上、総帥であるマジックには逆らえねーだろ。」
その腕を握って逃げていける程自分は強くもないし、弟を見捨てろ、なんて言える権利もない。
体だけの関係はシンタローにとっての最大限の愛情の証なのだと気付いた。
やはりシンタローは頭がいい。
常に自分の一歩先を見ている。
「で、すンの?しねーの?言っとくが、したからってイイ事なんて一つもねーぜ?」
少し間が開いてから、ミヤギの形の良い唇が動く。

「する。」










「ん、ふ、ぁッ!」
控え目な鼻にかかった声が辺りに漏れた。
既に暗くなっているので、ナマモノも家に帰っているらしく、昼間の喧騒が嘘のように静まりかえっていた。
街頭なんてものもないから、明かりは空に浮かぶ三日月だけ。
その三日月も雲に隠れようものなら辺りは真っ暗になってしまう。
体だけの関係をあれ程拒んでいたミヤギではあったが、それがシンタローの最大の譲歩だと気付いたお陰か熱くシンタローを抱く。
南国の島だから開放的になっているのも加わるが、真ん中の芯の部分は憧れの人を抱いている高揚感。
今オラが触ってる髪も、顔も、胸も、四肢も全てスンタローのモンだ。
そう考えると、益々興奮する。
「あ、あふ、ミ、ミヤギ……ッツ!」
「スンタロー……」
確かめるようにシンタローの顔を指で撫でる。

ミヤギの金色の髪がサラリとシンタローの汗ばんだ腹に落ちる。
シンタローの黒髪も辺りに散らばるように流れた。
「あ、あ、」
ツンと尖った乳首に手をかける。
一差し指と親指で摘んでやればさらに固くなって指を押し返す。
体を揺らし、シンタローの中へ既に入っている己の雄は内側から締まる肉に絡められ正直直ぐに達してしまいそうだった。
下と上。
その両方を犯されて、シンタローも気が狂いそうな程感じでいて。
ミヤギの事は昔から目についていた。
その金色の髪と青い目が好きだった。
そして何より、その屈託のない笑顔。
秘石眼とは違う温かい青い瞳。
隠す事のないお国言葉。
彼が自分を好きだという事は昔から知っていたが、恋愛対象として見ている事は知らなかった。
だが、そんなミヤギに今自分は抱かれている。
「……大丈夫だべか?スンタロー……」
白い肌だから頬が赤いのがよく解る。
「大丈夫に……ッツき、決まってんだろ……?」
そう言ってシンタローはミヤギを抱きしめた。
鍛え抜かれた肌がミヤギの布一枚ごしに密着する。
熱い吐息がミヤギの耳にかかり、益々興奮した。
そして。
「ミヤギッツ……もっと、もっと、激しく…ッツ!!忘れさせて……!!」
「……ッツ!!」
悲しくなった。
それはシンタローの気持ちがここにはないと勘違いした訳じゃない。
ダイレクトに気持ちが伝わったから。
この思い運命から逃れられないシンタロー。
一時でいいから全て忘れたいのだろう。
何も考えず、ただ子供のように全て忘れたいのだ。
あの頃に戻りたいのだ。
「ン、ふッツ!」
「いくぞ、スンタロー……。」
シンタローの足を思いきり開かせ、膝を肩の方まで折り曲げる。
流石に恥ずかしいのか、シンタローは己の手の甲で顔を隠した。
「オラが忘れさすてやるべ。」
今にも泣きそうなシンタローにそう投げかけ、ミヤギは自信をギリギリまで抜き取ると一気に貫いた。
「ああああああッツ!!」
声をあらわにシンタローが叫ぶ。
「んんッツ!!」
その瞬間、キュウウッ!と内壁が締まり、ミヤギは力を入れて堪えた。
シンタローの顔を伺うと、うっすらと涙で濡れている。
そのまま激しく揺さぶると、ガクガクと腰が揺れ、ビクビクと足が震えていた。
可愛いという思いと、可哀相という思いが交差する。

汗ばんでピッタリとくっついている黒髪の上からおでこにキスをした。
「ふ、う、」
そして、涙を舌で掬った後、唇にも。
「スンタロー、少し口さ開けるべ。」
情にまみれた熱い声で言うと、おずおずとだが、シンタローが口を開く。
そこにミヤギは舌を入れた。
「ん、ンンッツ……!ん、ふッツ!」
くちゅくちゅという水音が聴覚を刺激し、ぬめりとしたミヤギの舌が快感をより一層強いものにしていく。
トロンとした目がやけに官能的だった。
「スンタロー………」
唇を離すと、はっ、はっ、と息を吸うシンタロー。
溢れた唾液がシンタローの唇から流れ落ちた。
「あ、あ、ミヤギッツ!も、もぉやべぇ……ッツ!!俺、も、イッちゃ……!」
ヒクヒクとシンタローは体を痙攣させたかと思うと、ミヤギの服の端を強く握った。
「アッ、アッ、アアッ!いっちゃッツ―――!!」
「――ッツ!!」
ビクビクと体をわななかせ、シンタローは白濁の液体を思いきり吐いた。
その官能的な表情を見たミヤギも又、シンタローの中に己の精を吐き出したのであった。
事が終わり、肩で息をする二人。
荒い息遣いがやけに響いているな、と感じた。
トットリはまだ帰って来ない。
この有様を見せる訳にもいかなかったから良いのだが。
ほんの数分熱に浮かれた体を寄せ合っていた二人であったが、シンタローは直ぐに衣服を整え始めた。
それを止めたいミヤギであったが、止める術を彼は知らない。
恋焦がれていたシンタローを先程までこの腕で抱いていたのに。
一気に現実に戻される気分だった。
夢でも見ていたような気分になる。
唯一夢でないと理解出来る事があるとすれば、まだ覚めやらぬ熱と、中にまだ残る快感。
「忘れろとかは言わねぇ。この事は誰にも言うな、とも言わねぇ。」
見出した衣服を完璧に整え、腰の紐を縛りながらシンタローが呟いた。
シュ、と、布の擦れる音がした。
既に一つに縛った髪が暗闇より黒くて、振り向いた解きに綺麗に弧を描く。
「確かに俺はお前に抱かれてお前は俺を抱いた。でも、それ以上にはなれない。」
「解ってるべ。それを承知でオメを抱いたんだ。」
「だけど俺はお前を……」
最後の言葉は聞こえなかった。
言わなかっただけかもしれない。
ミヤギも衣服を整えた。
その間帰ろうとしたシンタローの後ろからミヤギの声が聞こえる。

「オラはオメが好きだ。」
「――ッツ!!」
ビクンとシンタローは肩を一瞬震わせた。
「サンキュ。」
消えそうな声でシンタローは走り出す。
ミヤギは止めなかったし、シンタローも振り向かなかった。
月明かりだけが二人を平等に照らす。

なんでこの道を選んでしまったんだろう。

二人の思いは交差するばかり。















終わり





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