重ね合わせた掌と掌の温度が暖かい。
密着した胸で、鼓動の律動的な響きが静かに伝わって
何をするわけでもなく、ただ無言で一方的に互いの指を絡ませて
それをじっと眺めていた。
どれだけ強く握り締めても握り返して来る事は無く、
妙に切なかった。
―――――――――まるで自分とこの男との関係のようだ。
明け透けなようでいて、実は誰よりも他人を拒絶し本性を見せようとせず
人の心には容赦なく這入り込んで来るくせになんて狡いのだろう。
シンタローはベッドに身を任せて眠っているマジックから離れてシーツから出ると
近くの椅子に掛けていたガウンを羽織って、其処へ腰掛けた。
( あぁ、そう言や )
マジックはオレの事を何でも知っているのに
オレはマジックについて、知らない事の方が多いんだな。
・・・今さらだが。
自分が知っている事と言えば
血液型だとか誕生日だとか、自分以外の周りも知っているような事ばかりで
他は、ベッドの中での癖くらいのものだ。
笑える位一方通行で
今になって虐げていた感情が一気に全身を支配した。
溢れ出そうになっているものを必死に堪える。
心は痛くて悲鳴を上げているのに
声を上げる事ができないなんて。
これ程辛い目に合っても尚、想い続ける自分が憎かった。
太腿の内側に残る幾つもの紅い痕を、がむしゃらに掻き毟りたくなる。
この印は例え
身体から消えてしまっても魂に深く刻まれていて
生涯消える事は無いだろう。
彼の背中に残した爪跡も、同じように
彼の中に残れば良いのに。
シンタローは呪うように祈った。
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