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ss
【すれ違い】

自分が与えられてきた愛情は、当然、
自分の弟にも同じように与えられるものだと思っていた。

周りから見れば父の愛し方は常軌を逸していた部分もあっただろう。
けれど昔は、それに嬉しいとさえ感じていた事もあった。
年が経つにつれ、父の仕事が何であったかを知り、
その他人が流した血で今まで自分は養われていたのかと
そう思うと憤りの念を禁じえなかったが、それでも何処かで父を、
マジックを尊敬していた。
父の背中を追い、父の名に恥じぬよう何事にも努力してきた。
殺し屋と言う家業も、いつしか受け入れていた。
どんなに素っ気無い態度をとってみせても、オレは
今も昔も変わらずにずっとマジックに憧れていたのだ。

それなのに

彼は弟を拒絶した。

愛されるべき対象から突き放された弟の気持ちを思うと
胸が張り裂ける思いだった。
どうして、一族の異端である自分はあんなにも優しく愛してくれたのに
弟の事は愛してくれないのだと、
どんな理由を突きつけられても納得する事ができずに父に抗議した。
マジックの口から出る言葉はどれも理解できないものばかりで
オレの言葉も、父には理解する事ができなかった。

どうしたらオレの言っている事がアンタの耳に届くのだろう。

オレは、アンタを、失望したくないのに・・・。

否、
きっと一生オレはアンタに失望する事ができない。
例えアンタがどんなに最低な事をしているとしても

オレはやっぱり
アンタの子供だから

だから諦めきる事ができないでいるんだ。今も。
とっくに見限って良い筈なのに、それでもまだ、
マジックに期待している自分がいる。

オレの事を大切だと、愛してると言ってくれるなら、

頼むから
弟に会わせてくれ。

オレはこれ以上、弟が悲しい思いをするのも
アンタが人の道に外れていくのも
もう見たくないんだ!!!

――――――――はぁ、と息を零す。
団を抜ける際に持ち出した秘石の入ったリュックを抱えて空を見上げた。

あの男は追いかけて来るだろうか。

そうでなければ困る。

これはあの男を  『父親』に戻すための

最後のチャンスなのだから。
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