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【差】

親父と二人で渋谷に買い物に出た。

断じてデートなどと言うものではない。

この男とオレの間にそんなもんはまったくの無縁だ。

ただこの男が買い物に行くからどうしても付き合って欲しいと泣いてせがんで
昼飯も晩飯も奢りで好きなものを好きなだけ買ってあげると言うから
仕方なく付き合ってやっているだけでオレは別に来たくて来ているわけではない。

大分歩き疲れて、何処かに入って一休みしようと提案すると
マジックは駅の近くにあるビルの中のスターバックスで休みたい。と言った。
それを拒否する理由も特に見当たらないし、下の階のTSUTAYAで探したいものがあったオレは
別に構わないぜ、とすんなり承諾したが店に入ってさっそく後悔した。
何だってこんなに並んでるんだ。階段まで列が続いている。
お前らはそんなにスタバのコーヒーが飲みたいのかよ。
諦めよう、とマジックに耳打ちするがマジックは‘まぁまぁ’とオレを宥めた。
こんなに並んでまで飲む価値が此処で出されるコーヒーにあるとは到底思えないが
金を出すのはマジックだからして、オレは渋々大人しく並ぶ。
ようやっと注文ができて、先に中へ入って席をとっているはずの親父を探す。
親父は窓際のカウンターに座ってにこにこ微笑みながらオレを待っていた。
たかがコーヒー一杯と、こんなマフィン一つに余計な体力使っちまったぜと文句を垂れる。
親父は嬉しそうに‘そうだね’と言った。

窓の外から見える景色は渋谷駅からうじゃうじゃと出てくる人の群れと
横断歩道を渡る人の群れ。
近くで見ると全然違うのに、こうして遠くの上の方から眺めていると
人間なんて、どいつもこいつも似たようなもんばっかだな。と思う。
きっとあん中に入っちまえばオレもその内の一人になるに違いない。
コーヒーを啜りながら暫く眺めていると親父の視線に気付いた。
楽しいでしょ?と聞かれる。そうか?と答えた。
楽しいよ、とマジックは笑った。

・・・この男の考えてる事はよく解からん。

大体何でこいつアイスコーヒー頼んでるんだ。さっき寒いねーつってたの誰だよ。
マジックは長い指で紙でできているストローの袋を縒り始めた。
そして机に置いて、カップからストローを抜き取り、ストローからそれに水滴を垂らす。
ほーら。戻っていく戻っていく。
こちらに笑顔を向ける親父の額を、オレは勢い良く指で弾いた。
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