シンタローが目を覚ますと、そこはベッドの中だった。
いや、普通だったらそれが当然なのだ。
けれど、シンタローはおかしいと思う。
それもそのはず、シンタローが寝ていた場所は医務室だったのだ。
シンタローの記憶が正しければ、執務室に居たはずだったのだ。
だが、気が付いたら自分は医務室のベッドの中。
誰か説明してはくれないだろうかとまわりを見渡す。
あいにく、誰も見当たらない。
医務室に居るはずの、むしろ主といっても過言ではない人物が居ない。
「…出てって良いのかな?」
ボソリと呟いてとりあえずベッドから抜け出す。
地に足をついて立ち上がると軽いめまいでベッドに手をつく。
クラクラとする頭をおさえる。
力が抜けてベッドに座る。
もしかして倒れたのか?
めまいがひどかったので予想をしてみるシンタローだった。
ガラッ
扉が開いて誰かが入ってきた。
シンタローの目にはまだ誰かは分からない。
カツカツと足音が近づく。
「…高松」
シンタローの目に映ったのは医務室の主だった。
ほんの少しホッとした、シンタローが息を吐く。
キンタローだったらクドクドと説教される所だ。
高松はじっとシンタローを見ている。
「…シンタロー様」
静かな声で名を呼ばれる。
ハッとして高松を見る。
声はとても静かなのに顔はとても笑顔で。
あぁ、しまった。
キンタローを教育したのはコイツだった。
頭の隅にそんな事を考える。
普段見れないようなニコニコ顔でシンタローに近づいてくる。
はっきり言って、恐い。
引きつった笑みを浮かべたシンタローは、ベッドの隅に避難しながら、
「えっと…ごめん…?」
とりあえず謝ってみた。
高松は、
「謝るという事は怒られる事をしたんですね」
いや、わかんないけど。
と言う事もできず引きつった笑みを続けている。
「とにかく、ちゃんと横になってください」
ふぅと息を吐いた高松が言う。
仕事が、と言いかけて止める。
とんでもない眼力で睨まれた。
「はい…」
おとなしく返事をし、先程抜けた布団のなかに戻る。
横になると、掛け布団をかけられる。
ベッドの横に椅子をもってきて高松は座る。
「まぁ、あなたの事ですからどうして此処に居るのか分からないのでしょう?」
ずばり図星をさされ、シンタローはベッドの中で頷く。
はぁ、とこれ見よがしに高松がため息をつく。
なんだよぉ、と掛け布団を顔まであげる。
シンタローの様子に苦笑する。
コレが本当にガンマ団のトップなのだろうか。
まるっきり子供だ。
口にすれば子供のように拗ねるのだろうと思い、高松は言わずに置いた。
「執務中に倒れて、あわてた秘書達に連れてこられましたよ」
高松は言いながらシンタローの頭を撫でるように手を動かす。
子供扱いするなよぉ。
口を尖らせたシンタローは言う。
しかしその手を払ったりはしないし、顔は笑顔だ。
「まぁ、今日はゆっくりお休みなさい」
とことん怒ろうと思っていたのに怒れず、高松は苦笑をする。
こんな子供のような対応をされては、おとなしく寝ていてもらう以外言えない。
せっかくなんだから話でもしようぜ。
シンタローの発言に頭を押さえる。
休んでほしいのだ、高松は。
「話しでしたらいつでもお付き合いしますから、今は寝てください」
倒れるほど無理などしないでほしい。
えぇ~と不満声をあげるシンタロー。
あぁ、体調が崩れたせいで子供らしさがアップしている。
「ゆっくり休んでください。そして、もう倒れないでくださいよ」
じゃないと私が今度は心労で倒れます。
大きくため息を吐く。
シンタローは、わかったぁ。と笑う。
本当に分かっているのかと不安になる。
大きく、大きく息を吐く。
「とりあえず、今は寝なさい」
高松の手がシンタローの目を覆う。
視界が暗くなると人は眠くなる。
寝るまで目隠しになろう。
一人で勝手に高松が誓っていると、シンタローに呼ばれた。
なんですか?
高松も返事を返す。
シンタローは目の上に置かれた高松の手を取る。
少し照れたように笑い、
「目隠しは良いからさ、手、握っててよ」
瞬きを繰り返す。
ダメ?と赤い顔で尋ねてくる。
ダメなどといえるはずがない。
握った手と反対の手でシンタローの髪を梳く。
「良いですよ。起きるまで握っていてあげますよ」
ありがと。と照れるように笑ってシンタローが目を閉じる。
「おやすみなさい」
と高松が言うと、消え入りそうな声で、おやすみぃ。と返事があった。
シンタローが寝たのをみて、高松がため息を吐く。
呆れているとか、そんなんじゃなくて。
高松の顔は赤い。
こんなに信用しきった顔で眠られて。
子供みたいに甘えられて。
幸せだと思うのは、人として当然だろう。
「あなたには振り回されてばかりですよ」
ボソリと呟いて、笑った。
握られた手は、外れそうもなく。
もちろん高松には外す気はなかった。
約束ですしね。
照れたような顔で呟いた。
END
とあるサイトで本を購入しました。
その高シンが素敵で!
あぁ、高シン書きてぇ!!という思いだけで書きました。
私じゃ書ききれないのが残念です。
大好きです、高シン!
06.2/17
いや、普通だったらそれが当然なのだ。
けれど、シンタローはおかしいと思う。
それもそのはず、シンタローが寝ていた場所は医務室だったのだ。
シンタローの記憶が正しければ、執務室に居たはずだったのだ。
だが、気が付いたら自分は医務室のベッドの中。
誰か説明してはくれないだろうかとまわりを見渡す。
あいにく、誰も見当たらない。
医務室に居るはずの、むしろ主といっても過言ではない人物が居ない。
「…出てって良いのかな?」
ボソリと呟いてとりあえずベッドから抜け出す。
地に足をついて立ち上がると軽いめまいでベッドに手をつく。
クラクラとする頭をおさえる。
力が抜けてベッドに座る。
もしかして倒れたのか?
めまいがひどかったので予想をしてみるシンタローだった。
ガラッ
扉が開いて誰かが入ってきた。
シンタローの目にはまだ誰かは分からない。
カツカツと足音が近づく。
「…高松」
シンタローの目に映ったのは医務室の主だった。
ほんの少しホッとした、シンタローが息を吐く。
キンタローだったらクドクドと説教される所だ。
高松はじっとシンタローを見ている。
「…シンタロー様」
静かな声で名を呼ばれる。
ハッとして高松を見る。
声はとても静かなのに顔はとても笑顔で。
あぁ、しまった。
キンタローを教育したのはコイツだった。
頭の隅にそんな事を考える。
普段見れないようなニコニコ顔でシンタローに近づいてくる。
はっきり言って、恐い。
引きつった笑みを浮かべたシンタローは、ベッドの隅に避難しながら、
「えっと…ごめん…?」
とりあえず謝ってみた。
高松は、
「謝るという事は怒られる事をしたんですね」
いや、わかんないけど。
と言う事もできず引きつった笑みを続けている。
「とにかく、ちゃんと横になってください」
ふぅと息を吐いた高松が言う。
仕事が、と言いかけて止める。
とんでもない眼力で睨まれた。
「はい…」
おとなしく返事をし、先程抜けた布団のなかに戻る。
横になると、掛け布団をかけられる。
ベッドの横に椅子をもってきて高松は座る。
「まぁ、あなたの事ですからどうして此処に居るのか分からないのでしょう?」
ずばり図星をさされ、シンタローはベッドの中で頷く。
はぁ、とこれ見よがしに高松がため息をつく。
なんだよぉ、と掛け布団を顔まであげる。
シンタローの様子に苦笑する。
コレが本当にガンマ団のトップなのだろうか。
まるっきり子供だ。
口にすれば子供のように拗ねるのだろうと思い、高松は言わずに置いた。
「執務中に倒れて、あわてた秘書達に連れてこられましたよ」
高松は言いながらシンタローの頭を撫でるように手を動かす。
子供扱いするなよぉ。
口を尖らせたシンタローは言う。
しかしその手を払ったりはしないし、顔は笑顔だ。
「まぁ、今日はゆっくりお休みなさい」
とことん怒ろうと思っていたのに怒れず、高松は苦笑をする。
こんな子供のような対応をされては、おとなしく寝ていてもらう以外言えない。
せっかくなんだから話でもしようぜ。
シンタローの発言に頭を押さえる。
休んでほしいのだ、高松は。
「話しでしたらいつでもお付き合いしますから、今は寝てください」
倒れるほど無理などしないでほしい。
えぇ~と不満声をあげるシンタロー。
あぁ、体調が崩れたせいで子供らしさがアップしている。
「ゆっくり休んでください。そして、もう倒れないでくださいよ」
じゃないと私が今度は心労で倒れます。
大きくため息を吐く。
シンタローは、わかったぁ。と笑う。
本当に分かっているのかと不安になる。
大きく、大きく息を吐く。
「とりあえず、今は寝なさい」
高松の手がシンタローの目を覆う。
視界が暗くなると人は眠くなる。
寝るまで目隠しになろう。
一人で勝手に高松が誓っていると、シンタローに呼ばれた。
なんですか?
高松も返事を返す。
シンタローは目の上に置かれた高松の手を取る。
少し照れたように笑い、
「目隠しは良いからさ、手、握っててよ」
瞬きを繰り返す。
ダメ?と赤い顔で尋ねてくる。
ダメなどといえるはずがない。
握った手と反対の手でシンタローの髪を梳く。
「良いですよ。起きるまで握っていてあげますよ」
ありがと。と照れるように笑ってシンタローが目を閉じる。
「おやすみなさい」
と高松が言うと、消え入りそうな声で、おやすみぃ。と返事があった。
シンタローが寝たのをみて、高松がため息を吐く。
呆れているとか、そんなんじゃなくて。
高松の顔は赤い。
こんなに信用しきった顔で眠られて。
子供みたいに甘えられて。
幸せだと思うのは、人として当然だろう。
「あなたには振り回されてばかりですよ」
ボソリと呟いて、笑った。
握られた手は、外れそうもなく。
もちろん高松には外す気はなかった。
約束ですしね。
照れたような顔で呟いた。
END
とあるサイトで本を購入しました。
その高シンが素敵で!
あぁ、高シン書きてぇ!!という思いだけで書きました。
私じゃ書ききれないのが残念です。
大好きです、高シン!
06.2/17
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