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「すみませんでした」
彼が目の前にいたとき、私の口は勝手にそう言っていた。





私が、あなたの人生を変えてしまった。
あの時、私があなたの人生を変えてしまった。

私が、あなたを不幸にしてしまった。
許される事のない、深い罪を犯した。

「すみませんでした」

口からこぼれた謝罪を聞いて、目の前の方は目を瞬かせた。
何を言われたのか分からないと言った顔で。
私が、あなたにその重みを背負わせた。

重い重い荷物を、持たせてしまった。
深い深い穴に、あなたを突き落とした。

「…何が?」

訳が分からない。
何謝ってんの、お前?
彼の黒い瞳が、不思議そうに私を見ている。

「…本当に、すみませんでした」

その言葉以外、思い浮かばなくて。
目の前の人は、不思議そうに首をかしげている。
それでも私は、謝る以外言葉が思い浮かばなかった。

困ったような笑みを浮かべて、目の前の方は近づいてきた。
動くにつれて、長い黒髪が揺れる。
自分の黒髪とは、まったく違う美しい黒髪。

「気にするな」

彼はそう言って、私の頭を撫でるように触れた。
驚いている私を尻目に、彼は笑っていた。

「何に対して謝ってんのかはさ、さっぱりだけど」

気にするなよ。
彼はそう言って笑う。

あなたに重みを与えてしまった私に。
暖かく受け入れてくれる人。
あなたから、全てを奪った私に。

「本当に、申し訳が」

あなたの人生を狂わせてしまった。
あなたの肩に、重い荷物を背負わせた。
全て、全て。
私のせいなのに。

「ドクター」

彼はそう言って、私の頬に手を添える。
私の目を、その黒い瞳は真っ直ぐに見る。
逸らす事ができない、その瞳。

「俺は、あんたに謝られる覚えない」

俺が、あんたにお礼を言うことならあるけれど。
彼はそう言って困ったように笑う。

あなたを、苦しめる原因を作ってしまった私に。
あなたの笑みは輝いて見える。

「いいえ、私が、あなたの人生を壊した」

本当ならば、あなたはその服を着ていないはずだった。
両の肩に、何万、いや、それ以上の命を感じることはなかったのに。
あの、一つの出来事が、あなたにそれを与えてしまった。

「俺の人生は、壊れてねぇ」

あなたはきっぱりそういう。
あなたは前を見て、窓から下を見下ろす。
それはまるで、下界を見下ろすかのように高い。

ガラスに映るあなたの瞳は、ただただ透明で澄んでいる。

「俺は、後悔なんてしてない」

真っ直ぐな黒い瞳は、ただただ真っ直ぐで。

あなたのその言葉が、私の心を癒すなど。
きっとあなたは知らないだろう。

「グンマを、育ててくれてさ。それに、あいつに団をまとめるのは無理だ」

まぁ、育ち方によって違うのかもしれないけど。
彼はそう言って笑う。
そうして、また彼は外を見る。

あなたのその言葉が、私の心を溶かす。
罪悪感に固められていた心が。

気づけば、あなたを後ろから抱きしめたいた。
うお!?
あなたは驚く声を聞きながら、その肩に顔を埋める。

「…少しだけ、こうさせてください」

本当に、あと少しでかまいませんから。
そういうと、彼の笑った気配がした。
そして、彼の手が私の頭に触れる。

「かまわねぇよ、少し疲れてんだろ」

ナーバスになってるんだ。
ぽんぽんと、彼の手が私の頭に触れる。

どうして、そんなに、あなたは暖かいのか。
どうして、そんなに、あなたは優しいのか。

許されることのない罪を、許してくれる。
許されることのない罪を、洗い流してくれる。
許されることのない罪を、受け止めてくれる。

「ありがとうございます…シンタロー様」

おう、感謝しろ。
彼はそう言って笑ったようだった。




あの時、私があなたから全てを奪った。
あの時、私があなたの人生を壊した。
あの時、私は許されない罪を犯した。

けれど。

あなたはその事を受け止めて、全てを受け入れる。
許される事のない、『あの時』の私の罪も。
あなたは全てを許して、救ってくれる。
全て受けいれて、そして笑ってくれるのだ。

あなたが、私にくれるものは多い。
あなたが、私に与えてくれるものは数え切れない。

あの時、あなたから全てを奪った私を。
決して許される事のない罪を。
あなたは許し、温かく迎えてくれる。
あなたは受け入れてくれる。

そして、暖かな温もりをくれるのだ。


END

高松×シンタローor高松→シンタロー

高松弱いなぁ。
シンタロー、大好きです。

あなたから全てを奪った私を。でも、奪ったのは秘石であって、高松じゃないよね?
全部秘石が悪いんじゃない?なんて、思ってみたり…。

05.12/24
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