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朱の丘














「御子息」



草一本生えていない岩丘に一人佇む少年。


幼い背中に、義務によって声を掛けた。



「・・・マーカー」

「陣にお戻りを」



面倒。



それの、一言に限る。


何故に第一線を駆ける自分達が、自分が。

上司の、兄の。

総帥の愛息子の世話を焼かなくてはならないのか。



人の内面を少年は当然知る事なく、ゆっくりと振り向いた。

自分や馬鹿弟子の様に黒い髪が風に流れる。



「悪い。面倒をかけた」



   まったくだ。



しかしそれを口にも顔にも出す事はせず、無言で少し小高くなっている場から降りてくるよう促す。

反抗する事なく丘を下る子息に別段満足を抱く事はなく、ぼんやりとその近づく姿を眺めていた。




そしてふと気付く。







その未だ頼りない手に握られた白刃、その銀光に被さる朱。









そのあまりに見慣れた色は彼の頬にも付着しており、考える事なくソレが何か理解する。






しかし、どうやら今度は迂闊な事に思考が表情に直結していたらしい。

自分より先に少年が声を発した。



「一人、敵兵が入り込んでた。

一通り見ておいたけど、俺まだ研修生みたいなモンだからさ、一応アンタ達でもう一度見回っておいて

くれないか」












         彼が戦場に立つのは、今回が初めてと聞いた。




今まで時機を見ていたが、養成所に入り、同年代の微温湯に浸かる前に死を感じさせる事が一族の大人

達で決定されたらしい。


そして選ばれたこの戦場。


此処は所謂激戦区と呼ばれる。








通常なら、まず有り得ない。



訓練も何も受けていないような少年が、自分達特戦部隊が投入される程の戦場に後方支援ではなく前線

部隊として立つという。




そして。




団の防衛線を掻い潜れる程度に力量を持った敵兵を、一対一とはいえ我々に気付かせる事なく抹消した。



相手は歴戦の戦士だっただろうに。




   

「      御意」






肌が粟立った。




今まで大切に守られてきた子息は、恐らく初めて人間を殺めただろうに。


          
彼は表情一つ変えず瞳に怯えの欠片も見せず、まるで買い物の使いを頼むような様子で指示を出した。







粟立ちがやがて震えへと変っていく。





それは強者への畏怖。


それは何れ彼が自分を支配するという歓喜。




初めの彼を侮っていた感情は霧散していた。



「シンタロー様」



初めて呼んだ名前。


シンタロー様も気付いたのか、目と口を真円に開いていた。

支配者然としていた先程とのギャップに、頬が些か緩む。



「陣営に戻る前に血を洗い流しましょう。隊長が心配されます」

「あの獅子舞が俺の心配なんかするかあ?」



胡散臭い。

その感情を前面に押し出している少年は年相応、下手すればより幼く見えた。



「ああ見えて叔父馬鹿ですからね」

「・・・・ふー・・・ん?」



信じきれないままのあやふやな返事。


無理もないだろう、あの人の愛情表現は子供のように拙いのだから。



くつくつと喉を鳴らしていると、突然、微か前を歩いていたシンタロー様が振り向いた。



  
振り向いた彼の、その姿にまた。



「だけど血はまだ落とさねェ」

「それは・・・何故かお訊きしても?」


つとその丸みを多分に残す双眸が見下ろした先の、昏さを帯び始めた朱色。



染まった両手を開き、零すまいとまた握りしめた。





「覚えておく。

刃が頭蓋を砕いて脳を裂く感触を。

断末魔も憎しみの目も血の温かさも色も」





団内でも複数見る事が出来る黒眼は、青ではなくてもあまりに強さを秘めていた。




「人を殺す事、全部」




目を閉ざした。



強い少年だ。

自分達や馬鹿弟子のような、『こちら側』の者は触れる事すらかなわない強さ。



唐突に理解する。




彼ら一族がある種異常な程シンタロー様を慈しむのは、手が届かないからだ。



だから焦がれる。



憧れる。






このような戦場に出したのも、彼に何ら害は無いと解っていたから。









目を開けた先のシンタロー様は、暗朱を拭わぬままの顔を照れたように歪めていた。








「俺、まだ全部覚え切れてねっからさ」

「・・・・そうですか」








再び歩きだした背は細く、成長途中の危うさの陰を負っていた。


けれど歩む路は覇道になるだろう。





「なあマーカー。親父は世界の何が欲しいんだろうな」




















しかしその時霞み掛かる思考の中で、現総帥とは覇道といえど違う路行を行きそうだと予感した。





















しかし私は期待を抱き続けるだろう。































彼の支配に。






























































桜華 椿様、12121踏み抜き申告有難う御座います!

お持ち帰りは椿さんのみで。

「崎シンかマカシン」との事でしたので、マカシンで行かせていただきました。

・・・・・・・・・・・。これ、カップリングか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?

ええと、マーカーさん短時間に感情がコロコロ変わりすぎですよ。

思春期乙女か。

あ、あと補足ですが。


シンタローが異様に強いのは親族に鍛えられていた為。(身を守る術は何でも教えてそうだ)

あと陣に戻った後、シンタローはハーレムに拳骨喰らいます。「一人でフラフラしてんじゃねーよ!」みたいな。


こんな文章でよかったら貰ってやって下さい、椿さん!




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