途切れた糸を今またここで繋いで手繰り寄せる(シンタロー)
名前を叫んでこちらへ手を伸ばすけれど、届かないことは互いにわかっていたはずだった。
父は左腕に弟を抱え、弟は父の腕から離れることはない。
永遠に続くような一瞬の中で、しっかりと二人の手が繋がれているのが見えた。
―――もう二度とその手を離すな。
遠くに見える二人に、場違いなほど安堵した。
紙切れ一つで天国へ(シンタロー)
目の前に置かれている司令書。
これに認証印を押すだけで、いくつもの命が失われる。
わかっていながら、いや、わかっているからこそ手が震えた。
自分の一声であっという間に消えていくものがある。それを知っていたはずなのに。
………俺はこんなにも弱い。
真紅の総帥服がじっとりと重さを増した気がした。
赤い惨劇(シンタローとマジック)
「パパの絵を描くとすぐになくなっちゃうんだよ」
息子が手に持つ赤いクレヨンと言葉に、
この身に浴びた血のことを言われているのかとゾッとした。
博士の憂鬱な水曜日(グンマ、シンタロー、マジック)
カレンダーをチェックしながらげんなり。
「学会めんどくさーい。行きたくなーい」
「でも行かなきゃなんねーんだろ」
「そうだけどぉ…」
マジックが駄々をこねるグンマの頭を撫でた。
「水曜日のおやつはミルフィーユにしようか。
学会のご褒美に、グンちゃんの好きないちごをいっぱい入れてあげるからね」
「わーい! 僕、頑張って行ってくるよ!」
大喜びで学会へ行く準備をするグンマに呆れながら、マジックを見た。
「…子供心を掴んでるな」
「伊達に親はやってないよ」
……会いたかったから(マジシン)
遠征帰りで疲れているはずのシンタローが部屋に来た。
珍しいことにコタローの部屋にも寄っていないらしい。
戦場独特の匂いを立ち上らせて、ぼんやりと扉の傍に立っている。
私の視線から何かを悟ったのか、ぽつりと呟いた。
「………来ちゃ、いけなかったのかよ」
「…そんなことないよ。おいで」
両手を広げてやれば素直に腕の中に来た。
「おかえり、シンちゃん」
「……ん」
シンタローは体の力を抜いて寄りかかり、頭を私の肩に乗せて目を閉じた。
「私に会いにきてくれたんだよね?」
「……………」
「お風呂に入って、一緒に寝よう?」
「……うん」
誰の前でも弱みを見せない君が、私の前でだけは子供に返る。
私だけの、特権。
とりあえず結婚しようよ(マジシン)
「そうすれば万事丸く収まるよ」
「…なあ、いつ俺の指のサイズ測った? 最後にお前と会ったのって3ヶ月前だっけ?
俺、その頃すげえ忙しかったよな? 話す時間もなかったはずだよな?」
「はっはっはっは」
「笑って済ませようとすんじゃねえ! いつ測ったのか吐け! 吐けええぇぇぇぇ!」
薬指にぴったりと嵌ったリングに青くなったり赤くなったり。
赤い赤い赤い!(マジック→シンタロー)
君を殴った右手が汚れた。
今日は君に初めて手を上げた日。
微かに残った血液に舌を這わせて舐め取る。
「ごめんね、お前には話せない」
私はお前に嫌われたくない。だから秘密。言えないよ、この両目に関しては。
もう大切なものを諦めたりはしない(シンタロー)
泣いてる暇はない。島を揺るがす弟の力は父を遥かに凌いでいる。
暴走した力を制御するには力が足りない。叔父は来るなと言った。
だけどこのままではいられない。
「誰も死なせない。みんなで生きて家へ帰るんだ」
従兄弟も叔父も弟も父も、全員であの場所へ帰りたい。
どんなに嫌っていた家であっても、思い出の詰まった場所だから。
It’s nothing to laugh at.それは、笑い事ではないんだ
(ハーレム、シンタロー、コタロー)
「マジでタマネギは食えねえんだって」
「おっさんいくつだよ。いい年して好き嫌い言うんじゃねえ」
「食えんもんは食えん! コタローも叔父さんと同じ意見だよなァ?」
「お兄ちゃん、僕もタマネギ嫌い」
「くっ……結託する気かよ! コタロー、何でも食べないと大きくなれないんだぞ!?」
「ハーレム叔父さんはタマネギ食べないけどお兄ちゃんより大きいよ?」
2対1でシンタローの負けだった。
さて、ここであいつを落とすにはどうしたらいいかについて話し合ってみたいと思う
(マジシン)
『どうしたらシンちゃんはパパのことを好きになってくれるのか、
本人に直談判しに来ましたッ!』
ふざけた奴はふざけた人形を抱え、ふざけた発言をして秘書たちに連れ出されていた。
本当にふざけてる。ていうかうざい。なんでそんなこと訊きに来るんだ。
落とすも何もとっくの昔にアンタに落ちてるよ、バカ。
いいからとにかくキスをちょうだい。(マジシン)
心も体もただひたすらにアンタを求めてる。飢えた空洞をその熱で早く満たして。
僕はずっと一人で生きてきたから(マジック→シンタロー。マジシン)
「どうしてお前は私の傍にいてくれるの? それが理解できない」
私が君に世界をあげよう(マジック→シンタロー)
父と弟を奪った小さな世界。その小さな世界の支配者となってどうするかだって?
手に入れたものに興味はないからお前にあげるよ。
私はただ、父と弟を奪ったこの世界を壊したいだけなんだもの。
最近あいつ見ないよね、(グンマ、キンタロー、シンタロー)
「近頃ドクター見かけねえんだけど、学会にでも行ってんの?」
「高松のこと? 2日くらい前に泣きながら出て行ったけど……」
「腹が空けば戻ってくるだろう、放っておけ」
犬か何かと勘違いしてないか? シンタローは呆れて何も言えなかった。
名前を叫んでこちらへ手を伸ばすけれど、届かないことは互いにわかっていたはずだった。
父は左腕に弟を抱え、弟は父の腕から離れることはない。
永遠に続くような一瞬の中で、しっかりと二人の手が繋がれているのが見えた。
―――もう二度とその手を離すな。
遠くに見える二人に、場違いなほど安堵した。
紙切れ一つで天国へ(シンタロー)
目の前に置かれている司令書。
これに認証印を押すだけで、いくつもの命が失われる。
わかっていながら、いや、わかっているからこそ手が震えた。
自分の一声であっという間に消えていくものがある。それを知っていたはずなのに。
………俺はこんなにも弱い。
真紅の総帥服がじっとりと重さを増した気がした。
赤い惨劇(シンタローとマジック)
「パパの絵を描くとすぐになくなっちゃうんだよ」
息子が手に持つ赤いクレヨンと言葉に、
この身に浴びた血のことを言われているのかとゾッとした。
博士の憂鬱な水曜日(グンマ、シンタロー、マジック)
カレンダーをチェックしながらげんなり。
「学会めんどくさーい。行きたくなーい」
「でも行かなきゃなんねーんだろ」
「そうだけどぉ…」
マジックが駄々をこねるグンマの頭を撫でた。
「水曜日のおやつはミルフィーユにしようか。
学会のご褒美に、グンちゃんの好きないちごをいっぱい入れてあげるからね」
「わーい! 僕、頑張って行ってくるよ!」
大喜びで学会へ行く準備をするグンマに呆れながら、マジックを見た。
「…子供心を掴んでるな」
「伊達に親はやってないよ」
……会いたかったから(マジシン)
遠征帰りで疲れているはずのシンタローが部屋に来た。
珍しいことにコタローの部屋にも寄っていないらしい。
戦場独特の匂いを立ち上らせて、ぼんやりと扉の傍に立っている。
私の視線から何かを悟ったのか、ぽつりと呟いた。
「………来ちゃ、いけなかったのかよ」
「…そんなことないよ。おいで」
両手を広げてやれば素直に腕の中に来た。
「おかえり、シンちゃん」
「……ん」
シンタローは体の力を抜いて寄りかかり、頭を私の肩に乗せて目を閉じた。
「私に会いにきてくれたんだよね?」
「……………」
「お風呂に入って、一緒に寝よう?」
「……うん」
誰の前でも弱みを見せない君が、私の前でだけは子供に返る。
私だけの、特権。
とりあえず結婚しようよ(マジシン)
「そうすれば万事丸く収まるよ」
「…なあ、いつ俺の指のサイズ測った? 最後にお前と会ったのって3ヶ月前だっけ?
俺、その頃すげえ忙しかったよな? 話す時間もなかったはずだよな?」
「はっはっはっは」
「笑って済ませようとすんじゃねえ! いつ測ったのか吐け! 吐けええぇぇぇぇ!」
薬指にぴったりと嵌ったリングに青くなったり赤くなったり。
赤い赤い赤い!(マジック→シンタロー)
君を殴った右手が汚れた。
今日は君に初めて手を上げた日。
微かに残った血液に舌を這わせて舐め取る。
「ごめんね、お前には話せない」
私はお前に嫌われたくない。だから秘密。言えないよ、この両目に関しては。
もう大切なものを諦めたりはしない(シンタロー)
泣いてる暇はない。島を揺るがす弟の力は父を遥かに凌いでいる。
暴走した力を制御するには力が足りない。叔父は来るなと言った。
だけどこのままではいられない。
「誰も死なせない。みんなで生きて家へ帰るんだ」
従兄弟も叔父も弟も父も、全員であの場所へ帰りたい。
どんなに嫌っていた家であっても、思い出の詰まった場所だから。
It’s nothing to laugh at.それは、笑い事ではないんだ
(ハーレム、シンタロー、コタロー)
「マジでタマネギは食えねえんだって」
「おっさんいくつだよ。いい年して好き嫌い言うんじゃねえ」
「食えんもんは食えん! コタローも叔父さんと同じ意見だよなァ?」
「お兄ちゃん、僕もタマネギ嫌い」
「くっ……結託する気かよ! コタロー、何でも食べないと大きくなれないんだぞ!?」
「ハーレム叔父さんはタマネギ食べないけどお兄ちゃんより大きいよ?」
2対1でシンタローの負けだった。
さて、ここであいつを落とすにはどうしたらいいかについて話し合ってみたいと思う
(マジシン)
『どうしたらシンちゃんはパパのことを好きになってくれるのか、
本人に直談判しに来ましたッ!』
ふざけた奴はふざけた人形を抱え、ふざけた発言をして秘書たちに連れ出されていた。
本当にふざけてる。ていうかうざい。なんでそんなこと訊きに来るんだ。
落とすも何もとっくの昔にアンタに落ちてるよ、バカ。
いいからとにかくキスをちょうだい。(マジシン)
心も体もただひたすらにアンタを求めてる。飢えた空洞をその熱で早く満たして。
僕はずっと一人で生きてきたから(マジック→シンタロー。マジシン)
「どうしてお前は私の傍にいてくれるの? それが理解できない」
私が君に世界をあげよう(マジック→シンタロー)
父と弟を奪った小さな世界。その小さな世界の支配者となってどうするかだって?
手に入れたものに興味はないからお前にあげるよ。
私はただ、父と弟を奪ったこの世界を壊したいだけなんだもの。
最近あいつ見ないよね、(グンマ、キンタロー、シンタロー)
「近頃ドクター見かけねえんだけど、学会にでも行ってんの?」
「高松のこと? 2日くらい前に泣きながら出て行ったけど……」
「腹が空けば戻ってくるだろう、放っておけ」
犬か何かと勘違いしてないか? シンタローは呆れて何も言えなかった。
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