忍者ブログ
* admin *
[43]  [42]  [41]  [40]  [39]  [38]  [37]  [36]  [35]  [34]  [33
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。










休 暇





『あ~~、ダリィ』

執務の合間、それも欠伸を噛殺しつつ漏らした小さな呟き。
それが全ての始まりだった。
気が付けば俺は、真っ青な海原が見渡せる瀟洒なテラスで、優雅にシェスタをきめこんでいた。



「…おい、キンタロー」
「ん?何だ、シンタロー」
ドロドロに不機嫌な俺の呼び声に眉一つ動かさず、俺の側で専門書を読んでいたキンタローが顔を上げる。
「俺の記憶に間違いが無ければ、自分の部屋のベッドに入った筈だが…」
そう。
俺は確かに、唯一安らげる自室のベッドに潜りこんだ筈だった。
しかし気が付けば、潮風薫るテラスで寝そべっていた。
これに疑問を持たない人間がいるだろうか。
良くらオーバーワークを続けていたとしても、ごっそり記憶が飛ぶような疲れ方はしていない。
そこまで俺も柔ではない。
決して無い。
そんな俺の苦悩を他所に、真実を知っている筈のキンタローは涼しげな顔で事も無げに言い放った。
「ああ、その事か。さすがにドクターの睡眠薬は効き目バッチリだな」

チュドーン…ッ!!!!

豪快に眼魔砲をぶっ放す。
「こらテメェ!!キンタロー!!!一体何を考えてやがる!!!
つか、薬盛ってココまで連れてきたのはどう言う訳だっ!!事と次第によっちゃあ、もう一発眼魔砲をくれてやるっ!!!!」
一気に捲し立ててやると、目の前のキンタローはふぅと小さく息を吐き、そして俺を抱きすくめた。
そして、聞かん気の子供を宥めるように、背中を軽く叩く。
その仕草が余計に怒りをさそうと気付かないのだろうか。
もう一度怒鳴ってやろうとしたとき、キンタローがボソっと呟いた。
「シンタロー、お前が疲れたと言ったから…」
「え?」
「普段、滅多にそんな事は口にしないお前が言うのだから、相当なものだと思ってな…」
その言葉に、俺は動きが固まる。
もしかして、キンタローは俺のぼやきを聞いてこんな事を…?
「お前は俺が休めと言っても聞く耳を持たんからな。悪いとは思ったが強硬手段を取らせてもらった」
そしてキンタローは「悪かった」と、俯いた俺の額に軽くキスをした。
何だか、どうしようもなく、申し訳無い気持ちと、恥ずかしさがこみ上げて来る。
普段からグンマを組んで、何をしでかすか解らない奴だが、今回のこの行動は俺の事を思っての行動だ。
それに、キンタローがこんな場所に俺を連れ出すからには、僅かな時間で仕事の調整をしたと言う事で…。
「…キンタロー」
「何だ?」
「…その、すまない」
俺の言葉にキンタローはフッと笑うと、俺の背に回した腕に力が篭る。
「そういう場合は“ありがとう”だ」
「ああ、そうだな」
ありがとうの意味を込めて、向かい合った頬にキス。
「折角貰った貴重な休暇だ。満喫させてもらうか」



e n d
copyright;三朗



◇ ◇ ◇

キンシンバカップル(笑)

置いてきぼりを食らったパパは、グンちゃんに泣き付いてる筈。


20050503
copyright;三朗

PR
BACK HOME NEXT
カレンダー
05 2025/06 07
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
最新記事
as
(06/27)
p
(02/26)
pp
(02/26)
mm
(02/26)
s2
(02/26)
ブログ内検索
忍者ブログ // [PR]

template ゆきぱんだ  //  Copyright: ふらいんぐ All Rights Reserved