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俺の私室の空調は、常に快適であるように保たれている。
夏の暑い日も涼しいし、冬の寒い日も暖かい。

けれどその晩は、寝苦しさに目が覚めた。額を拭うと汗が纏わりつき、腕に触れる人肌が気持ち悪い。
……人肌?
「あ、起こしてしまいました?」
ベッドに入ったときは、確かに一人だった。主にアラシヤマ対策の防犯の為にしっかりと扉もロックした。
なのに、何で俺の隣にこいつがいる?
「すんまへんな、やっぱり視線感じはりました?」
笑いながら、さも当たり前のように俺の隣に陣取っているアラシヤマを睨み付けてやると、照れたように
「静かに寝顔を眺めとったんどすけど」
と、気色悪く頬を染めて俯いた。

窓を開けて、風を肺に飲み込む。
部屋の中の蒸し暑さが少しずつ流れ出て、代わりに冷たい空気が入ってくる。
「寝てる間までクーラーつけとったら、風邪引きますやろ。とっくに消しましたわ」
「そうじゃなくて」
窓枠に体を預けて、そのまま言葉を返す。
「まず何でお前がここにいるかが問題なんだよ」
動くのも面倒くさい。追い出すのも面倒くさい。眼魔砲も面倒くさい。
何もかもが面倒くさくて、アラシヤマとの会話を続けた。
先刻ちらりと見たら、ベッドの上で俺の枕を抱えて座って上目遣いでこちらを伺っている様子が気持ち悪かったので、視界に入れないようにしながらだが。
「シンタローはんに添い寝しとォて…」
「…だからそうじゃなくてだな」
会話が通じない。何故この部屋のカードキーを持っているのか問い質そうかとも思ったが、無駄な会話をするのも面倒くさくなって、口を閉じた。鍵は明日付け替えよう。
部屋の暑さが、行動力を奪う。あの島とは違う不快な暑さが。
「……あーッちい…汗かいちまったぜ」
窓の外へ胸から上を投げ出すようにうな垂れてた俺の体に、アラシヤマの重さが圧し掛かる。
「後で、シャワーでも浴びればええでっしゃろ」
その言葉の、「後で」に含まれた意味に少し眉を顰めたが、抗う気も起きなかった。

全ては、この暑さのせいだ。


(04/07/29)


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