グンマ博士作の薬のせいで、猫耳と尻尾が生えたシンタローであったが、肝心のグンマはおやつを食べに行ってしまってその場にいなかった。キンタローが代わりに薬の成分を分析したところ、明日になれば消えるので、薬品などで無理に消そうとしない方がよいとのことであった。しかし、猫耳のついた姿をむやみと他人に見せるわけにもいかないし、シンタロー自身決して見られたいものではない。午後からの会議は決定事項の報告のみであったので、キンタローに代わりに出席してもらうことにした。
「そんじゃ、俺の代理をお前に頼んだからナ!」
「あぁ、任せておけ」
シンタローは、もっと猫耳姿をみていたかったらしいキンタローが名残惜しそうに書類を抱えて会議に向かう姿を見送り、ドアが完全に閉まるとソファーに行儀悪く寝転んだ。
(・・・ったく。馬鹿グンマのせいでとんでもねぇ目にあったゼ。でもまぁ、キンタローは絶対今日中にこのクソ忌々しい猫耳と尻尾が消えるって言ってたし、面倒くせぇ会議にも出なくてすんだのはよしとするか)
目が疲れた気がしたので少し目を閉じたところ、シンタローはいつの間にか眠ってしまった。
シンタローは、気持ちよく眠っていたが、ドアをノックする音で目が覚めた。眠っていたのは時間にして十数分程度であったらしい。コンコンという音と共に、
「シンタローはーん!あんさん今から会議とちゃいますの?遅れますえ~!?」
と叫ぶ声が聞こえた。
(ウッセーなぁ・・・)
シンタローは、眠りを妨げられて不機嫌であった。寝起きで頭がボーッとしていたが、一言文句を言ってやろうといつものようにドアを開けると、アラシヤマが、
「あの、どないしましたん、ソレ・・・?」
おそるおそる、シンタローの頭上を指差した。
シンタローは、アラシヤマに廊下で色々と叫ばれると嫌だったので、仕方なく部屋に入れた。アラシヤマは何らかのショックを受けていたようで、ソファに座ったまま無言であった。いつもとは違う様子のアラシヤマに、対面に座っていたシンタローは少々居心地が悪く感じた。
「・・・なぁ、」
「・・・シンタローはん」
沈黙に耐えられず、シンタローが何か言おうとした時、同時にずっと何か考えていたらしいアラシヤマも口を開いたので、
「何だヨ?」
シンタローが先を促すと、アラシヤマは真顔で、
「―――も、もしかして、遠まわしに誘ってはるんどすか?照れ屋なあんさんも可愛いおますけど、そんな凝ったものつけはらんでもわてはいつでも準備OKどすさかい、安心しておくれやすーvvvあっ、でも控えめに希望を言わせてもろたら、猫耳には鈴のついた首輪一つ(あとは裸)で!」
と力強く言った。
「―――死ね。眼魔砲ッツ!!」
部屋が半壊状態になった中、シンタローは、
「誘ってもいねェし、これは好きでつけてんじゃねぇッツ!馬鹿グンマのせいでこーなったんだよッツ!!」
そこだけはしっかりと主張しておいたが、はたして部屋の隅で伸びているアラシヤマに聞こえていたかどうかは分からなかった。
「シンタローはーんっ、おぼこうおます~vvv」
シンタローが机に戻って書類に判を押していると、いつの間にか立ち直っていたらしいアラシヤマが、背後から抱きついてきた。
「―――超ウゼぇ。離れろ!」
そう言ったが、アラシヤマは、
「嫌どすえ~」
と、シンタローにますますギュッと抱きつき、猫耳に頬擦りした。
「柔らこうおます・・・!たまには、グンマはんもええことしますナ!!」
シンタローはムカついたので、前に回されていたアラシヤマの腕に噛みついた。が、
「痛いけど、幸せどす!!ってことで、死んでも離れまへんえvvv」
アラシヤマは一向に離れる気配は無い。
「あっ、シンタローはん!耳をこう折ると“おたべ”みたいどすえー!!新商品の“黒おたべ”どすvvv」
耳を動かし、悪戯をするアラシヤマの手を払いのけたりしながら、シンタローは、普段よりも疲れが倍増しているような気がした。相変わらず背後霊のようにベッタリとくっついているアラシヤマを振り払う気力は既になかったが、せめてもの意趣返しに尻尾でアラシヤマの体をパタリ、パタリと叩くと、
「えっ?『はようキスして』!?すんまへん、わてとしたことがッツ!」
座っていた椅子をアラシヤマの方に向けられ、キスされた。
「ん――――ッツ!!(違うッツ!!)」
やっと、固定されていた頭を解放され、
(今日はとんでもねぇ厄日だゼ・・・)
そう思いつつ、アラシヤマの肩にコトンと頭を預けると、
「今日はあんさんが積極的で嬉しおす~vvv」
もう一度、今度は少し深めに、キスをされた。
ロックさまー!いきなり勝手にこんなものを捧げましてすみません・・・!(土下座)
ロックさまの素敵萌え猫耳シン&アラ絵を観た時からいつか書かせていただきた
く思っておりました・・・!いつもほんまにありがとうございます!(涙)
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