忍者ブログ
* admin *
[1200]  [1199]  [1198]  [1197]  [1196]  [1195]  [1194]  [1193]  [1192]  [1191]  [1190
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

aa

 その日はシンタローの誕生日ということでガンマ団総出で誕生祝の宴会が開かれ、シンタローは日付が変わるまで酒を飲まされた。
 注がれた酒は律儀に全て飲んだが、自分の部屋の前まで戻った所で記憶が途切れていた。
 (なんか、違うんだけどナ。何が違うんだ?わかんねぇけど、いいか・・・)
 シンタローは、ぼんやりとした意識の中でそう思ったが、目を閉じたまま手近を探ると、かけぶとんと思しきものがそこにあったので、たぐりよせ、柔らかい布に包まった。
 (覚えてねぇケド、ここに布団があるってことは、自分で部屋に入ったのか?)
 違和感をやはり勘違いかと思いなおし、少し安心したが、
 「みの虫みたいで可愛いおすなぁ・・・」
 との聞き慣れた声が聞こえた。その男の声の調子からすると、感心しているようであった。
 思わずシンタローは目を開いたが、部屋は暗く、相手の姿は黒い影としか映らなかった。どうやら、影はベッドサイドに座っているらしい。
 「何でオマエがここにいんだよ?」
 黒い影はその質問には答えず、手を伸ばしてシンタローの顔にかかった髪の毛をそっとどかし、
 「シンタローはん、お誕生日おめでとうございます」
 と言った。
 ベッドサイドの時計に目をやったシンタローは、文字盤の緑色の光が思いがけず明るく感じたので、目を瞬かせた。
 「・・・もう、俺の誕生日じゃねーけど?」
 「いやわて、何とかギリギリにあんさんの部屋の前に着いたんどすが、あんさん、扉にもたれて眠ってはったんや。せやから、わて、自分の部屋まであんさんを運んできたんどすえ~vvv」
 「テメェ、俺の部屋の暗証番号知ってんだろ?」
 「知ってますけど、そんなの、もったいのうおます!シンタローはんと接触できる機会なんてそうそうあるもんやおまへんし、ちょっとでも長い時間の方が嬉しおすのに・・・!!」
 「そんな機会なんて金輪際ねェし!オマエと喋ってると頭痛ぇ。いいから、もう寝る」
 シンタローはこれ以上会話を続けたいとは思わなかったので、目を閉じ、寝返りを反対側にうつと
 「あっ、眠らはるんはもうちょっとだけ待っておくんなはれ。なるべく、あんさんの誕生日が近いうちにプレゼントを渡しときたいんやけど、よろしおますやろか?」
 影の気配が遠ざかったので、渋々身を起こし、シンタローはベッドの縁に座った。
 すぐに、影は何かを抱えて戻ってきた。
 「シンタローはん、お誕生日おめでとうございます」
 「花か?」
 触ってみた感触から見当をつけて、シンタローはそう言った。
 「残らんもんの方がええでっしゃろ?」
 「それだったら、酒とか何とか色々あんじゃねーの?」
 「いや、ほんまは『プレゼントは、わ・てv』とか、特大おたべケーキを焼く、とかそういうのにしたかったんやけど・・・」
 「全部却下。やっぱり、花でいい」
 「・・・そうなんどすか。とにかく、花屋に行ったら、この花が目に付いたんどす。あんさんに似合いそうな色やし、それに花言葉をきいたら、わてがシンタローはんを思う気持ちにもうピッタリや思いまして。聞きとうおますか??」
 「別に聞きたくもねーナ!」
 「花言葉は、“純粋な愛情”どすえ」
 「・・・花だけもらっとく。言葉はいらねぇ」
 「また、そんなイケズ言わはる」
 「いらねーもんは、いらねーんだヨ!」
 それを聞いた影は困ったようにしばらく黙り、
 「電気、点けてもええやろか?」
 と言った。
 「―――俺は眠いんだ。テメェ、ちょっとは気を遣えよ?」
 シンタローがそう言うと、ずっと立ったままでいた影は屈んでシンタローの頭を引き寄せ、口付けた。
 2人の間に挟まれた花束のセロハンが、グシャリ、と音を立てた。
 シンタローが軽く身じろぎすると、影はすぐに離れた。
 「あんさん、ただ照れてはっただけなんどすナ!可愛いおすvところで、わて、誰や分かります?」
 「ストーカー、変態、ド下手、のアラシヤマ」
 投遣りにシンタローがそう言うと、
 「もしかしたら、別人かもしれまへんえ?」
 応えた声は幾分笑いを含んでいた。
 「さっきから何馬鹿なこと言ってやがんだ、オマエ?いつものことだけど」
 シンタローが再びベッドに横たわると、
 「ひどうおます~」
 などと言いながら、嬉しそうに影も勝手に布団に入ってきた。
 シンタローは酔いが体中に回っていたせいか、追い払うのも面倒だったので放っておくと、
 「そうどす、アラシヤマどすえ。だから、安心しておくんなはれ」
 アラシヤマは真面目な声音でそう言って、背を向けたシンタローを後ろから抱き寄せた。
 そして、噛み締めるように、
 「ぬくといなぁ。あんさんは、確かにここにおるんやなぁ・・・」
 と、呟いた。
 返事はなく、しばらくすると規則正しい寝息が聞こえてきた。
 アラシヤマは、シンタローの髪を撫でると、
 「シンタローはん、ありがとうございます」
 そう言って、彼も眠りに就いた。







またまた、シンちゃんを祝えているかどうか不安です・・・。
アラシヤマに祝ってもらって、シンちゃんが手放しで喜べるかど
うかを考えますと、答えは色々難しいような気が。でも、やっぱり
アラシンで祝おうとしたところ、このような話とあいなりました・・・。


PR
BACK HOME NEXT
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最新記事
as
(06/27)
p
(02/26)
pp
(02/26)
mm
(02/26)
s2
(02/26)
ブログ内検索
忍者ブログ // [PR]

template ゆきぱんだ  //  Copyright: ふらいんぐ All Rights Reserved